中小企業がサーバ仮想化を導入した場合、どれくらいのコストが掛かるのだろうか。具体的なシナリオとともに2つのモデルケースでコストを算出した。果たして、費用に見合うのか?
「中小企業にとってのサーバ仮想化とは何か?」を考える本連載、第1回「【導入効果】台数削減だけではないサーバ仮想化のメリット」では、サーバ仮想化にはサーバの台数削減以外にもさまざまなメリットがあることを紹介した。第2回「サーバ仮想化導入の障壁、ハードウェアコストの課題を解決する」と第3回「中小企業がサーバ仮想化の投資対効果を最大化するには?」では、サーバ仮想化における課題を大きく3つ挙げ、それぞれの解決策について述べた。特に、ハイパーバイザーやストレージといったモノに関する負担を極力軽減しながら、導入効果を最大限に引き上げるための考え方をご理解いただけたのではないだろうか?
最後に必要なのは、「ここまで述べた取り組みを実践するにはどれくらいのコストが必要か?」という点である。最終回となる今回は、サーバ仮想化に必要となる具体的なコスト感を俯瞰し、十分な導入効果を得るためのポイントについて考えていく。
サーバ仮想化の活用シナリオは実にさまざまであり、それらを全て網羅したコスト算出をここで網羅することは難しい。そこで、ここまで説明してきたことを踏まえ、中小企業が導入効果を得ることができると考えられる1つのシナリオを下記の通り設定してみた。
物理サーバは2台、それぞれで2つの仮想サーバを稼働させる。単なるサーバ台数削減ではなく、仮想サーバを移動させることによるさまざまなメリットを享受できるようにする。ストレージはSAN環境を構築せずに中小企業でも実現可能な、手軽な手段を採用する。各仮想サーバに割り当てる仮想CPUは1ずつ。
仮想サーバは計4つなので、対象となる業務システムも全部で4つとなる。例えば、販売管理システム、顧客管理システム、ファイルサーバ、グループウェアをサーバ仮想化環境に移行させるといった状況に該当する。上記のシナリオに基づいて、以下の2つのモデルケースを作成してみた。
物理サーバとして「ブレード」を採用した例である。ブレード自体は高価なイメージがあるかもしれないが、物理サーバの統合による省電力・省スペースを実現するのには有効な手段だ。さらに、エンクロージャと呼ばれる筺体が各サーバブレード(筺体に差し込む薄型サーバ)とストレージの間を仲介することにより、SANを構築せずにサーバ仮想化に必要なストレージ環境を実現することができる。このストレージ形態は「共有SASストレージ」と呼ばれる。
第2回でも取り上げた物理サーバの内蔵HDDを共有ストレージの代替とする例である。ここではネットワールドが提供する「StorMagic SvSAN」などの利用を想定している。
それぞれのモデルケースにおける構成要素の想定は下記の通りである。
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