POWERプロセッサを活用?
Googleがクラウド用コンピュータを自社開発か IBMとの協力で臆測
米Googleは米IBMとともにとオープン開発コンソーシアム「OpenPOWER Consortium」を設立した。この取り組みの狙いは、次世代クラウド基盤に必要なハードウェアなどの技術開発だと臆測されている。
米IBMは「POWERプロセッサ」搭載サーバの販売のてこ入れを図り、Intelベースのサーバとの競争力を強化すべく、米Googleとオープン開発コンソーシアムを設立した。この団体は「OpenPOWER Consortium」と呼ばれ、IBMはクラウドデータセンター向けのハイエンドコンピューティングプラットフォームを加盟各社に提供する。
新分野の開拓を目指すIBMは、「IBM Power Systems」で使われている主要なサーバ技術とファームウェア技術を「OpenPOWER Consortium」の加盟企業にライセンス提供する。加盟各社は、これらの技術をベースとして、次世代のクラウドコンピューティングプラットフォームに必要なサーバ、ストレージ、GPUアクセラレーションなどの技術を開発することができる。
OpenPOWER Consortiumの創設メンバーには、GPUメーカーの米NVIDIA、台湾に本社を置くサーバメーカーのTYAN、インターコネクトプロバイダーの米Mellanox Technologiesなどの企業が名を連ねている。
IBMのシステムテクノロジーグループの最高技術責任者(CTO)を務めるIBMフェローのブラッド・マクレディー氏は「POWERベースを新たな市場で推進するつもりだ。成長中のWeb 2.0とクラウドの分野で当社は有力なプレーヤーではないので、この分野に進出したいと考えている。しかしそのためには、当社の知的財産を市場に提供する必要があるが、従来のUNIX市場をターゲットにしたのとは異なる方法で臨まなければならない」と話す。
Googleがどのような形でコンソーシアムに協力するのか、また、創設メンバーになることでどういった目標を達成しようと考えているのかについて、Googleの幹部は言明を避けている。同社の広報担当者は電子メールの発表文の中で「当社はオープン主義を支持しており、OpenPOWER Consortiumがデータセンター向けハードウェアとソフトウェアの業界に革新をもたらすことを期待している」と曖昧に述べている。
しかし「Googleは独自のハードウェアデザインを開発することに強い関心を抱いている企業なので、同社がIBMのPOWERプロセッサおよびコンソーシアム加盟企業の技術とGoogle独自のサーバ技術を組み合わせることによって、より強力なコンピューティングプラットフォームを開発する可能性がある」と指摘するアナリストもいる。
技術調査会社、米IDCで調査担当副社長を務めるジーン・ボズマン氏は「Googleは社内開発に熱心な企業であり、加盟各社の技術をライセンスしてPOWERベースのコンピュータを開発する可能性がある。IntelとARMのプロセッサをベースとするシステムに加え、クラウド用に新たなプラットフォームを同社は手に入れることになる」と話す。
あるITプロフェッショナルによると、x86ベースのサーバと比較したコンピューティングパワーの優位性、そして当然ながら、どの程度のコスト削減が期待できるかという点が明らかになるまでは、この団体が大きな注目を集めることはなさそうだという。
「この団体は、クラウドベースのプロジェクトに適した技術を提供できるかもしれないが、何が提供されるのか、そして価格はどのくらいなのかを詳しく知る必要がある。IBMとGoogleが同じ団体に所属しているところが興味深い」と匿名希望のIT管理者は語る。
IBMのPOWERシリーズの売り上げは低迷しており、同社の最近の報告によると、2013年4~6月期の売り上げは前年同期と比べて25%減少した。新コンソーシアムの狙いの1つはPOWERシリーズの販売をてこ入れすることだが、Googleなどの企業が提供するモバイル端末やアプライアンスの普及を背景として、クラウドデータセンターでPOWERベースのエコシステムを確立するという狙いがある。その一方でIBMは、不振にあえぐSystem X、BladeCenterサーバ事業を売却する方針が伝えられている。
ボズマン氏によると、OpenPOWER Consortiumは、標準的な業務処理やハイパフォーマンスコンピューティングなど多岐にわたるクラウド市場でIBMがLinuxのシェアを拡大するのに貢献する可能性があるという。IBMはUNIXから撤退する一方で、この数カ月、Linuxへの取り組みを強化しており、多数のLinuxベースのPOWERサーバをリリースした。
「最近の各種Power SystemsにLinuxを組み込み、OpenStackをサポートすることが拡販につながる」とIBMのマクレディー氏は語る。「今回の発表は、POWERとLinuxの両分野で当社が推進している成長戦略に沿ったものだ」
IBMがライセンス提供を予定している主要な技術はPOWERファームウェアだとみられる。これは、プロセッサの基本機能をコントロールするもので、これによりライセンシーは各種のワークロードを処理する能力を備えた新タイプのサーバをカスタマイズしたり、スクラッチから開発したりすることが可能になる。
マクレディー氏によると、OpenPOWER Consortiumは2013年秋に本格的に立ち上げられる予定で、創設メンバー各社は認可された技術をベースとした製品開発計画をその時点で発表するという。
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