英Computer Weekly主催イベントで、「Windowsに代わるものは何か」というテーマで各社ITリーダーが考えを披露した。Windowsエコシステムからの脱却は現実的なのか?
ユーザーが(ITを使いこなす)力をつけてきたために、企業の経営者は自社のIT展開戦略を再考せざるを得なくなっている。従業員がモビリティ、コラボレーションなどの最新テクノロジーを要求するようになったからだ。旧来のシステムをアップグレードする必要性に迫られて、将来の社内システムを支えるソフトウェアやハードウェアの選定に取り掛かっている企業に対して、さらに新たな課題が突き付けられている。
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Computer Weeklyが主催したCW500 ClubミーティングにITリーダーたちが集まり、こうした課題に企業はどう取り組めばいいのか、次世代の企業ITはWindowsエコシステムから脱却するのか否かなどを話し合った。
「Windowsに代わるものは何か」という問いを掲げて、各種資格を認定する機関のCity & Guilds、銀行業のMetro Bank、英国政府機関のGovernment Digital Service(GDS)などの組織から代表が登壇し、それぞれの立場から考えを披露した。
City & GuildsのITディレクター、イアン・ターフリー氏は、柔軟性を要求するユーザーの声が高まっているために、従来のシステムに代えてサービス指向のアーキテクチャを導入することを検討している企業や組織が増えていると話す。
「われわれの現在の業務に適しているという観点から、全てがモノリシックなERPシステムよりもサービスに注目している。特に気になるのは、本当に必要なサービスはどんなものか、ということだ」と同氏は語る。
157年前に設立された歴史ある同団体は、2000年代にSAPシステムをベースとして構築したITシステム、つまりもはや時代遅れとなった従来型のデスクトップPCと通信システム、バックオフィスシステムが緊密に統合された業務システムを運用していたと、ターフリー氏は説明する。
この問題を解決すると同時にスタッフの要求にも応えるために、同団体は仮想デスクトップシステムに移行した。これで、スタッフはオフィス以外の場所からリモートで作業を進められるようになった。複数のサービスを採用して構築したアーキテクチャに移行したので、スタッフはホットデスキング(デスクやデバイスを複数名で共有)が可能になり、仮想内線電話も利用するようになった。また、外出しているスタッフについても、連絡を受け付ける状態かどうかなど、各自の状況が分かるようになった。
サービスはオンプレミスからハイブリッドクラウドへと移行した。さらに、段階的にクラウドサービスへの移行を進めている。ただしこの一連の移行によって、事業で利益を上げなければならない。
「例えばビデオ会議、デスクトップへのアクセス、情報共有、コラボレーションなどのコモディティ化したITは(システム移行中であっても)もちろん使えないと困る」とターフリー氏は語る。
サービスがクラウドへの移行を開始したときに、アクセスの問題が発生することが予想される。ここで重要なのは、帯域幅を確保してオフラインでもユーザーが望む通りの作業を継続できて、作業場所にも制約がない環境を実現することだ。
「米Microsoftの製品(Windows)が、われわれの将来のニーズも満たしていることを考慮すると、この製品をリプレースする必要があるだろうか。正直なところ、事業の観点からわれわれが出した答えは『ノー』だ」と、ターフリー氏は主張する。
柔軟性とモビリティに関する職員のニーズを満たしている限り、事業運営上の需要は満たしているのだから、Windowsエコシステムを捨てて他に移行する理由がない、というのが同氏の言い分だ。
英国Metro BankのITサービスデリバリー部門の責任者を務めるデイビッド・ヌデルマン氏も、この見方に同意を示す。ただしMetro Bankの場合、同様の課題に直面している他社の多くとは状況が異なる。
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