機密性とセキュリティも改善
臨床医も満足、看護師主導で開発されたモバイルアプリ
英国の医療機関では、看護師が開発を主導したモバイルアプリが成果を挙げている。病棟全体の状態を簡単に確認できるようになり、臨床医の診察にも活用されているという。
英ロンドン市内のチェルシー地区とウェストミンスター地区にあるNHS基金トラスト(注)は、ある治療用アプリを導入した。このアプリは、医療関係者が患者のバイタルサイン(生体情報)をモバイル端末でモニタリングし、記録する。
注:NHS基金トラストは英国保健サービス(NHS)の医療機関。
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このアプリの名前は「ThinkVitals」という。NHS基金トラストに勤務する看護師とIT企業ThinkShieldのコラボレーションによって誕生した。看護師や医療従事者は、このアプリを使って気温、心拍数、呼吸数、血圧などの情報を電子的に記録できる。
このアプリは、英国国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Care Excellence)のガイドラインを基に、早期警告スコア(Early Warning Score)を迅速に計算する。臨床医は、交通信号のように色分けされたリスク評価システムで、治療の優先順位を設定できるので、病棟の概略を把握しやすくなる。
同トラストで看護部門副部長を務めるバリー・クイン氏が本誌Computer Weeklyのインタビューに応え、アプリに表示されるバイタルサインは、紙に出力されていたチャートと非常によく似ていると語った。
アプリと紙の違いは、臨床医が「全てのスコアが正確に加算されていることを確認できる」点だという。加えて、医師たちが物理的に病棟まで足を運ぶ前に、患者のスコアを見ることができる点も挙げられると同氏は指摘する。
「仮に私が35人の患者を見ていたとする。それぞれの患者のリスクは、赤色、琥珀(こはく)色、緑色の3段階で評価されており、患者の状態は一目瞭然だ。だから私には、アクションプランが必要な患者は誰なのか、誰を最初に診察すべきかをすぐに判断できる」とクイン氏は話す。
アプリの開発は3年前に始まり、同トラストは18カ月(1年半)前にパイロットプロジェクトとして救急診療科での運用を開始した。その14カ月後、アプリは成人入院病棟全体へ展開された。
同トラストは、アプリの開発を監督するステアリンググループを設立し、臨床医とITスタッフの両方がこのグループに参加した。クイン氏によると、パイロットプロジェクトの実施中に、新しい仕事の開始直後にありがちなトラブルが何度か発生し、「ある程度の微調整」が必要になったが実装は「とても簡単」だったという。
「このプロジェクトのあらゆる側面から、臨床医が治療にITを活用するとどうなるのかを学んだし、コラボレーションの効果も実感したと思う」と同氏は語る。「看護師は患者のケアの専門家であり、臨床現場ではITによるサポートの必要性が高まっている。看護は医学的なスキルと対人スキルの両方が必要な仕事だが、これからはITソリューションの支援が受けられる」
NHS基金トラストの病院では、「Samsung Galaxy」のタブレットを使っている。これは看護師の制服のポケットに収まるほど小さい。ただしクイン氏は「この端末は少し重いので、デスクトップPCも併用している。デスクトップPCをワゴンのような車輪付きの台に載せ、ある程度移動させられるようにして使っている場合もある」とも報告する。
さらに同氏は次のように付け加えた。
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