ファッションサイト「Zalando」のアップル氏は、オープンソースにコードを提供するのに「実はかなりの費用がかかる」と言う。どのような費用がかかるのか。それでも同社がコードを提供する理由とは何か。
今や企業や政府のITシステムの大半は、そのどこかにオープンソースコンポーネントを使用している。さらに一歩進んで、オープンソースベースのコアシステムを自社の基盤として採用する企業まで現れた。
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ただし、そうしたシステムの維持に当たっている人々は、ユーザーコミュニティーのサポートをもっと受ける必要があるとGitHubの上級ソフトウェアエンジニアであるマイク・マクエイド氏は指摘する。
「われわれは、より多くの人々にオープンソースプロジェクトに関与してもらうために努力している」と同氏は話す。「人々がオープンソースに貢献するのに最適の場面は、個人としての自由な時間ではなく、勤務中だ」
個人としてオープンソースに貢献するのは楽しいかもしれないが、ビジネスが依存しているプロジェクトと一致するなら、組織にとってはさらに価値が高まるとマクエイド氏は主張する。
「昨今はどのエンジニアも週に2~3時間は、自社が採用しているオープンソースのプロジェクトに取り組んでいるはずだ」と同氏は話す。例えば「MySQL」を利用している企業であれば、その企業に少なくとも1人は、MySQLに貢献する方法を探っている人物がいるはずだとマクエイド氏は言う。
「さまざまな知識を積み上げた人が社内にいるなら、MySQLに問題が発生したとき、その人が非常に貴重な存在になる」
マクエイド氏は、GitHubでコードメンテナーの作業負担を軽減するプログラムの責任者を務めている。同氏は個人的な経験から、オープンソースを保守するという責務に圧倒され、過労になったりストレスを感じたりする人々がいることに気付いたからだ。
その問題の一端は、自動化されたツールよりも手作業のプロセスをメンテナーが選択することが多い点にあるとマクエイド氏は考えている。つまり、作業負荷を大幅に削減できる可能性がある。「オープンソースには、手作業でコツコツ仕上げたとしか思えないものや、自動化を試したくなるものがたくさんある」と同氏は指摘する。「自動化できそうな部分も手作業で進めるメンテナーが多いからだと思う。これは、切れ味の悪いおので木を切り倒そうとするようなものだ」
続けて、同氏は次の例を挙げた。誰かがプルリクエストを提出し、コントリビューターがプロジェクトにコードを提出したというシナリオだ。「ただしコードを受け取った側がテストやチェックの自動化を全くしていなかったり、コードカバレッジツールの用意がなかったりすると、そうした作業を全て手作業で進めなければならない。この場合、恐ろしく時間がかかる」と同氏は説明する。
Zalandoのアジャイルプロジェクトマネジャー、ローリー・アップル氏は、英ロンドンで開催されたカンファレンス「GitHub Europe」(2017年5月)に登壇し、「オープンソースへの提出物の管理」を取り上げた。Zalandoはドイツ発祥のオンライン専門ファッションショップで、アップル氏は同社のオープンソースエバンジェリストを務めている。
1700人の開発者がいるZalandoのIT部門はもともと、上意下達の雰囲気の中でシステムを運用していた。そのため、オープンソースソフトウェアへの参加に前向きな開発者はほとんどいなかった。ところが、「PostgreSQL」と「Python」をチームに導入すると、この空気が一変したとアップル氏は当時を振り返る。
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