欧州企業や大企業だけではなく、幅広い企業に影響するEUの「一般データ保護規則(GDPR)」。GDPRにはさまざまな誤解が残っているだけではなく、課題も少なくない。
欧州で暮らす人々は、個人情報やプライバシーについて真剣に考えている。この状況を受けて欧州連合(EU)は、1995年から個人情報の取り扱いについて規制を課していた「EUデータ保護指令」に代わり、2016年に「一般データ保護規則(GDPR)」の導入を決めた。
新たなプライバシー規制であるGDPRには、個人情報保護に関する規定が含まれている。個人情報が第三者に開示されないことを保証し、自分のデータを確認して管理する権利を個人に与えるだけでなく、“忘れられる権利”も認めている。
米国マサチューセッツ州ローエルに本拠地を置くネットワークとITセキュリティ会社のCSPiで、統括マネジャーを務めるゲアリー・サウスウェル氏は前編に引き続き、EUでの適用開始まで残り1年となったGDPRの順守に関する課題について、TechTargetのインタビューに答えた。
―― GDPRの適用開始まで残り1年となりました。EUに暮らす人々を対象にビジネスをしている企業は、GDPRを順守しなければなりません。ただし欧州でも、この新しいプライバシー規制の認知度は、いまだ低いと専門家は指摘しています。この状況についてはどうお考えですか。
サウスウェル氏 欧州の企業を見れば、GDPRの認知度の低さは明らかだ。比較的大きな企業は認識しているものの、中小企業の多くは気に留めていない。中小企業は自分たちに影響はないと考えているのかもしれないが、それは間違っている。
―― 米国での認知度はどうでしょうか。
サウスウェル氏 米国での認知度も非常に低いが、徐々に浸透しつつある。GDPRは、多くのセキュリティ関連のイベントで大きく取り上げられている。そのため最高情報セキュリティ責任者(CISO)のポストがある企業と、セキュリティに注目している人々の多くは、GDPRを認知しているといえるだろう。だが、まだGDPRの影響を見積もろうとしている段階にすぎない。「米国内に拠点があるため問題はない。あらゆる処理は米国内で済ませている。問題となるのはEUに拠点がある場合だけだろう」と短絡的に考えている人も少なくないのが実情だ。
GDPRでは、それを否定している。どこでビジネスをしていても、EUに暮らす個人に関する情報を処理している場合は、GDPRの規制対象となる。つまりGDPRを順守しなかった場合は、罰金が科される。
―― GDPRの適用が始まったら、何が起きると予想していますか。
本記事は抄訳版です。全文は、以下でダウンロード(無料)できます。
■併せて読みたいお薦め記事
EUの「一般データ保護規則」(GDPR)、施行日までに確認すべきポイントは
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
セキュリティ対策チームの57%が人材不足の影響を受けているといわれる昨今、インシデントや脆弱性への対応の遅れが、多くの企業で問題視されている。その対策として有効なのが「自動化」だが、どのように採り入れればよいのだろうか。
さまざまなITツールの導入が進んだことで、脅威アクターにとっての攻撃対象領域も拡大し、ランサムウェア攻撃が増加し続けている。しかし、多くの企業で対応が後手に回ってしまっている。この状況から脱却するにはどうしたらよいだろうか。
世界中の企業が取り扱う個人データには、不正使用による悪影響やデータ侵害による被害といったリスクが付き物だ。今やグローバル課題となった適切なデータ利用と保護を実現するためのアプローチを、具体的に解説する。
サイバー脅威に対するレジリエンスと脆弱性管理を強化することは、多くの企業にとって喫緊の課題になっている。リソースとコストが限られている中で、効果的に進めるにはどうすればよいのか。そのヒントを解説する。
激化するサイバー攻撃に対抗すべく複数のセキュリティツールを導入する企業は多いが、アラート対応に追われたり、データ管理が煩雑になったりといった、新たな課題に悩むケースも少なくない。これらを解決するための6つのステップとは?
「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...