安物スマートスピーカーには要注意
「Amazon Echo」に未来を感じる人、拒絶する人 動き出す市場の今(1/2 ページ)
音声で買い物や家電の制御などを可能にする「スマートスピーカー」が充実し始めた。可能性に期待が高まる一方で、そのセキュリティ面を懸念する声もある。スマートスピーカーがもたらす脅威とは。
われわれの住宅は、安全でいられる場所だと考えられてきた。だが近年、住宅内の家電やIT機器をネットワーク経由で制御可能にする「スマートホーム」の実現に向けて、住宅がますますネットワークに接続する状況下においては、住宅の安全性に関して疑問符が付くようになっている。住宅がサイバー攻撃の温床になっている可能性があるのだ。
調査会社Gartnerの予測によると、世界中で使用されているインターネット接続型デバイス(コネクテッドデバイス)の数は、2017年の終わりまでに84億台に達する。この数字は2020年までには204億台に急増する見込みだ。同社は、米国の家庭の75%が2020年までに「スマートスピーカー」を保有するであろうことも指摘している。スマートスピーカーは、人工知能(AI)技術を搭載した音声作動式インタフェース「音声アシスタント」の機能を搭載したスピーカーのことだ。
同じく調査会社Global Market Insights(GMI)はこの予測を支持し、スマートスピーカー市場が急成長するであろうことを示す。ネットワーク接続の高速さと利便性に対する消費者ニーズの高まりと、それに応えようとするデバイスベンダーの積極的な販売努力が、その根拠だ。実際にGMIは、2024年までにはスマートスピーカーの市場規模が130億ドルを超えると予測している。
「スマートスピーカー市場」の誕生
こうした中、デバイスベンダーは競争優位性を維持するために、スマートスピーカーの機能を向上するために投資し、音楽再生機能にとどまらない製品機能の開発を推し進めている。Amazon.comのスマートスピーカー「Amazon Echo」は、スピーカー市場に真の破壊的イノベーションをもたらした最初の製品だ。スマートスピーカーへの消費者の関心を高め、目覚ましいほどの急速さで消費者に浸透するという転換期をもたらした。
Amazonのような支配力を有する企業は、数年前から音声技術の開発に再び注力していた。恐らく「どのようにすれば、音声が第2世代の検索エンジンになり得るか」というビジョンに基づいて開発を促進したのだろう。スマートスピーカー市場におけるこの革新的な変化は、他の企業にこのイノベーションに乗り遅れないように、と駆り立てた。GoogleとAppleの両社がAmazonのすぐ後を追い、スマートスピーカーの進化が加速していくのを、われわれはこの目で見てきた。
会話のやりとり
さらに多くのデバイスベンダーが市場に参入するにつれ、Amazonのような企業が繰り出す戦略的な価格設定が、さらに競争を激化させたのだろう。今日のスマートスピーカーの価格がより手頃になったことは、その普及率に好影響を与えた。ただし価格だけで普及が拡大したわけではない。
スマートホームのコンセプトは、われわれの生活の仕方を変えつつある。コネクテッドデバイスは、例えば生活をより良くしたり、プログラム可能な全自動のホームシステムを実現にしたりといったメリットを消費者にもたらす。こうした利便性があれば、スマートスピーカーの利用はさらに広がるだろう。
利用方法は
スマートスピーカーは普及しつつあるものの、消費者と開発者の両者とも、導入に対してある程度のためらいがある。「それなしでは生きていけない」といった利用方法は、まだ誰も明示できていない。さらに開発者の視点から見れば、特に音声技術の背後に大きな制約がある。
現在のところスマートスピーカーの技術は、音楽の再生や簡単なリマインダーなど、「iPhone」などのスマートフォンからでもできるような単純なコマンドをベースにしている。例えばタクシーの配車サービスやレストランの予約など、Appleの「Siri」などの音声アシスタントが実現可能な、特定の用途に限定して使われている。
スマートスピーカーは戦略的な価格設定によって、一部の消費者を引き込みつつある。一方その他の人々の手には必ずしも行き渡っていない。少なくとも現時点では、消費者はBluetoothスピーカーとあまり代わり映えのしない製品の購入に対して、何倍もの出費を正当化する必要がある。スマートスピーカーは役に立つ製品というよりも、愉快なガジェットという見方が優勢な中、全ての消費者がその投資を価値あるものだと感じているわけではない。
価格以外にも、製品の流通経路も普及の弊害となっている。消費者は一般的に、棚に置いてある製品を手に取って見たいと考えるものだ。主要なスマートスピーカーはこれまでオンラインでの販売が中心であり、消費者はスマートスピーカーを手にとって試す機会があまりなかったため、購入する気にならなかった。高級スーパーマーケットチェーンWhole Foods Market買収後にAmazonが最初にしたことの1つが、Amazon Echoの店頭販売だったことは驚くべきことではない。
製品の普及に立ちはだかる障害を克服するには、困難が伴う。住宅がその象徴だ。われわれの限られたプライベートな空間として、住宅はますます重要な場所となっている。従って自宅に自分を“監視する”ものを持ち込むことは、消費者にとって大きな一歩を踏み出すことになる。
いずれの技術にもあてはまることだが、消費者は技術そのものを所有することを目的に、その技術を駆使した製品を所有するわけではない。その製品は何らかの形で機能し、日常生活をより良く、より便利に、より容易にする、といったプラスの影響を及ぼす必要がある。
現時点では、脅威対利便性のバランスでいえば、脅威が勝っている。実際の具体的な利用方法とその利点がより明確になれば、このバランスは利便性の方に傾くはずだ。Facebookは、エンドユーザーがプライバシーと利便性をてんびんにかけ、どのようにすれば簡単に利便性の方に傾けられるのか、という強力な手本を示している。
スマートスピーカーがひとたび必需品となり、生活をより良くする手段になった暁には、信頼性やセキュリティに関する未解決の懸念は、その見返りとしてデバイスが与えてくれる効率化と利便性の向上によって相殺される可能性がある。
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