「ソフトウェア定義境界」(SDP)とは【後編】
次世代セキュリティ概念「ソフトウェア定義境界」(SDP)を知る6つのシナリオ
「ソフトウェア定義境界」(SDP)は、セキュリティの強化を考慮して設計された概念だ。SDPを具現化する6つのシナリオを見てみよう。
「ソフトウェア定義境界」(SDP)は、クラウドセキュリティ推進団体Cloud Security Alliance(CSA)が定義したセキュリティの概念だ。SDPはデバイスの種類と接続方法に応じて、さまざまなシナリオで動作する。現バージョンの仕様である「SDP Architecture Guide v2」において、CSAは以下の6つのシナリオを定義している。
- クライアント-ゲートウェイ
- クライアント-サーバ
- サーバ-サーバ
- クライアント-サーバ-クライアント
- クライアント-ゲートウェイ-クライアント
- ゲートウェイ-ゲートウェイ
ここでいう「クライアント」は、一般にSDPを具現化した製品(以下、SDP製品)を実行するデバイスだ。ノートPC、タブレット、スマートフォンなどがその例に当たる。「サーバ」は、SDPに必要なサービスをクライアントに提供するシステムだ。
「ゲートウェイ」は、認証済みのデバイスやユーザーが、セキュアな状態を確立したプロセスやサービスにアクセスできるようにするシステムを指す。ゲートウェイは概して、SDP製品を実行していないシステムのフロントエンドの役割を果たす。
併せて読みたいお薦め記事
通信プロトコルとセキュリティ
- “危ない無線LAN”が嫌なら「WPA3」を使うべきこれだけの理由
- 無線LAN新プロトコル「WPA3」の目玉は認証簡素化、暗号強化、IoT対応
- 「Wi-Fi 6」をセキュアにする新技術「WPA3」「OWE」「Easy Connect」とは
セキュリティの新たなアプローチ「ゼロトラスト」
シナリオ1.クライアント-ゲートウェイ
クライアント-ゲートウェイのシナリオは、「リモートアクセスが可能なサーバ」という考え方をソフトウェアとして実装したものだ。企業がこのシナリオを利用する一般的なケースは、ゲートウェイを通じてセキュアなレガシーリソースにアクセスすることだ。
シナリオ2.クライアント-サーバ
クライアント-サーバのシナリオは、今日のモバイルデバイスとクラウドとの間の接続を考えると分かりやすい。これはSDPで保護されたクラウドにデバイスからリモートアクセスするシナリオだ。
シナリオ3.サーバ-サーバ
サーバ-サーバのシナリオは、パブリック/プライベートクラウド内の複数の仮想マシンやコンテナを保護する際に導入されることがある。
シナリオ4.クライアント-サーバ-クライアント
例えば互いに別の企業に勤務するボブとアリスが接続を希望する場合など、企業間の接続において一般的に使用されるシナリオが、クライアント-サーバ-クライアントになる。
シナリオ5.クライアント-ゲートウェイ-クライアント
クライアント-ゲートウェイ-クライアントのシナリオは、クライアント-サーバ-クライアントのシナリオのバリエーションだ。これはデバイス間で直接通信するピアツーピア(P2P)プロトコルに相当する。このシナリオでは、クライアント同士がSDPのアクセスポリシーに従った上で直接接続する必要がある。
シナリオ6.ゲートウェイ-ゲートウェイ
ゲートウェイ-ゲートウェイのシナリオはまだCSAが開発中であり、何らかの理由でクライアントにソフトウェアを導入できない状況での使用が想定されている。例えばIoT(モノのインターネット)デバイスを扱うシナリオでは、SDP機能を実行するためのエージェントを稼働させるための能力が、そのIoTデバイスに欠けているといった状況があるだろう。
SDPの未来
CSAはSDPの仕様拡張に対して積極的だ。とはいえCSAによれば、SDPを完全に理解している組織はまだ多くないという。「SDP導入のハードルは、導入に関する技術的な詳細情報が不足していることだ」とCSAは考えている。SDPを理解している組織では、主にネットワークアクセス制御とVPN(仮想プライベートネットワーク)の代わりにSDPを利用している。
SDPに関心があるなら、CSAに問い合わせて詳細を知る価値はある。SDPは、画期的なサイバーセキュリティモデルである「ゼロトラストセキュリティ」の構成要素としての役割を果たす可能性があるためだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ソフトウェア定義境界」(SDP)とは
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
3
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
10
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー