「WannaCry」といったランサムウェア攻撃が話題を呼んでいる。それらに悪用されているのは、「445番ポート」に関連する脆弱性だ。具体的に説明する。
ファイルやプリンタを共有するプロトコル「Server Message Block」(SMB)が使用する「445番ポート」。このポート番号を狙った攻撃には要注意だ。445番ポートの基礎知識を紹介した前編「『445番ポート』の“謎” どのような仕組みか? セキュリティのリスクは?」に続き、中編となる本稿はSMBの脆弱(ぜいじゃく)性を悪用した攻撃の危険性を考える。
445番ポートは、ファイルやプリンタを共有する役割を果たしているため、常にポートが開いていなければならない。これは、攻撃を招くシステムの穴になる恐れがある。
実は、SMBを狙った攻撃は少なくない。有名な例は脆弱性「EternalBlue」(CVE-2017-0144)。ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)「WannaCry」「NotPetya」の攻撃に悪用された脆弱性だ。SMBの初期バージョン「SMBv1」を使用しているシステムにはこの脆弱性がある。MicrosoftのOS「Windows」の他に、医療機器の一部もSMBv1を使用している。
EternalBlueは攻撃の入り口や、システムに侵入した後に情報を収集する目的に使われている。攻撃者はEternalBlueを悪用しシステムに入り込めば、任意のコードを実行できる。WannaCryの場合、攻撃者はEternalBlueによって対象システムをマルウェアに感染させた後、マルウェアを拡散させた。EternalBlueはNotPetyaの攻撃にも使用された。
ペネトレーションテストは、セキュリティ管理者がSMBの脆弱性を診断する方法だ。問題を発見したら、迅速に対処できる。大半のペネトレーションテストは最初にポートのスキャンを実施し、どのポートが開いていて応答しているかを確認する。企業はポートのスキャンによって、445番ポートを利用できるかどうか、利用できる場合にはSMBv1の脆弱性があるかどうかを把握できる。
ポートのスキャンを実施するためにさまざまなツールがある。オープンソースソフトウェアの「Nmap」の他、Northwest Performance Softwareの「NetScanTools Pro」やTenable Network Securityの「Nessus」、Qualysのスキャンツールなどが企業から支持を得ている。企業はどの製品を選んでも、定期的にポートのスキャンを実施することが重要だ。
後編は、445番ポートを悪用した攻撃に備える方法を紹介する。
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