「5G」はなぜホワイトボックスネットワーク普及の起爆剤になり得るのか?導入すべきか「ホワイトボックスネットワーク」【後編】

大半の企業はホワイトボックスネットワークの導入に消極的だ。その理由をおさらいしながら、導入を加速化させるために必要なことを紹介する。

2021年12月16日 05時00分 公開
[Deanna DarahTechTarget]

 特定ベンダーの製品に依存せず、ノーブランド製品のスイッチやルーターを活用する「ホワイトボックスネットワーク」。中編「実は高価? 『ホワイトボックスネットワーク』の注意点」は高価になる恐れがあるホワイトボックスネットワークのコストに焦点を当てた。後編となる本稿は、ホワイトボックスネットワークの普及を促すためにどうすればいいかを考える。

5Gの“あのデメリット”がホワイトボックスネットワーク導入の決断促す

会員登録(無料)が必要です

 ホワイトボックスネットワークはスイッチといったハードウェアの導入費が安価で、ネットワークOS(NOS)も自由に選べる、ユーザー企業にとってありがたいはずの仕組みだ。だが、移行作業が煩雑だったり、故障時のサポートが付いていなかったりすることから、企業はその導入に消極的だ。ホワイトボックスネットワークの普及をどう促せるか。

 調査会社IDCでネットワークインフラ部門のグループバイスプレジデントを務めるロヒト・メーラ氏によると、NOSベンダーは自社製品の提供と運用方法を簡素化する必要がある。そうすれば、IT人材が不足しがちな中小企業がNOSを導入するハードルは下がるという。「ベンダーがNOSに合わせてトラブル発生時のサポートも提供すれば、ホワイトボックスネットワーク導入の追い風になる」とメーラ氏はみる。

 前編で述べた通り、草分けとしてホワイトボックスネットワークを採用しているのは、Amazon Web Services(AWS)やGoogle、Microsoftなどの大手クラウドベンダーだ。米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Groupのシニアアナリストを務めるボブ・ラリベルテ氏は、一般企業がこうしたクラウドベンダーのハイパースケール(大規模)のクラウドインフラを模倣すれば、その一環としてホワイトボックスネットワーク導入も進むと指摘する。

 ラリベルテ氏は「一般企業もホワイトボックスネットワークを導入すれば、ハードウェアが故障したら簡単に交換できるようになる。ハードウェアの不具合に対処する作業も減らせる」と言う。

 ホワイトボックスネットワークの導入は、「5G」(第5世代移動通信システム)の普及とともに活発になることも考えられる。5Gがネットワーク刷新のきっかけとなり、導入費が発生する他、運用費が高価になる可能性がある。「コスト削減のためにホワイトボックススイッチの導入を検討する企業が増えるのでは」とラリベルテ氏は語る。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 パロアルトネットワークス株式会社

従来のSD-WANでは運用負荷が問題、アプリのパフォーマンスをどう高める?

分散環境におけるアプリケーションのパフォーマンスを高めることは多くの企業で課題となっているが、従来のSD-WANによるアプリケーションの識別/回線振り分けは、運用負荷の高さが課題だった。これを解決する、次世代のアプローチとは?

市場調査・トレンド 株式会社インターネットイニシアティブ

ネットワーク担当者への調査で知る、店舗・拠点におけるネットワーク起因の課題

多店舗/多拠点企業のネットワーク担当者216人を対象とした調査により、「SaaSへのアクセスなどネットワーク利用に不便なことや制限が多い」などの課題が浮き彫りになった。これらの課題を解消し、再構築を成功に導く方法を探る。

製品資料 株式会社インターネットイニシアティブ

電子決済のエラーで営業に支障、多店舗/多拠点企業ネットワークのあるある課題

複数の店舗や拠点を擁する企業にとって、電子決済の通信エラー、本部と拠点の間でのWeb会議品質の低下といったネットワーク課題は、事業運営に深刻な問題をもたらしかねない。よくある8つの問題と、その解決策を探る。

市場調査・トレンド ゼットスケーラー株式会社

ファイアウォールとVPN中心のセキュリティアプローチは危険? 4つの理由を解説

代表的なセキュリティツールとして活用されてきたファイアウォールとVPNだが、今では、サイバー攻撃の被害を拡大させる要因となってしまった。その4つの理由を解説するとともに、現状のセキュリティ課題を一掃する方法を解説する。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

複雑化したネットワークシステム、クラウド並みのアジリティを確保するには?

顧客や従業員のエクスペリエンスを向上させるとともに、インベーションを促進するには「アジリティ」の強化が鍵となる。しかし昨今、組織のネットワークは複雑化が著しく、アジリティの確保すら難しい。そこで求められるのが「簡素化」だ。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。