大半の企業はホワイトボックスネットワークの導入に消極的だ。その理由をおさらいしながら、導入を加速化させるために必要なことを紹介する。
特定ベンダーの製品に依存せず、ノーブランド製品のスイッチやルーターを活用する「ホワイトボックスネットワーク」。中編「実は高価? 『ホワイトボックスネットワーク』の注意点」は高価になる恐れがあるホワイトボックスネットワークのコストに焦点を当てた。後編となる本稿は、ホワイトボックスネットワークの普及を促すためにどうすればいいかを考える。
ホワイトボックスネットワークはスイッチといったハードウェアの導入費が安価で、ネットワークOS(NOS)も自由に選べる、ユーザー企業にとってありがたいはずの仕組みだ。だが、移行作業が煩雑だったり、故障時のサポートが付いていなかったりすることから、企業はその導入に消極的だ。ホワイトボックスネットワークの普及をどう促せるか。
調査会社IDCでネットワークインフラ部門のグループバイスプレジデントを務めるロヒト・メーラ氏によると、NOSベンダーは自社製品の提供と運用方法を簡素化する必要がある。そうすれば、IT人材が不足しがちな中小企業がNOSを導入するハードルは下がるという。「ベンダーがNOSに合わせてトラブル発生時のサポートも提供すれば、ホワイトボックスネットワーク導入の追い風になる」とメーラ氏はみる。
前編で述べた通り、草分けとしてホワイトボックスネットワークを採用しているのは、Amazon Web Services(AWS)やGoogle、Microsoftなどの大手クラウドベンダーだ。米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Groupのシニアアナリストを務めるボブ・ラリベルテ氏は、一般企業がこうしたクラウドベンダーのハイパースケール(大規模)のクラウドインフラを模倣すれば、その一環としてホワイトボックスネットワーク導入も進むと指摘する。
ラリベルテ氏は「一般企業もホワイトボックスネットワークを導入すれば、ハードウェアが故障したら簡単に交換できるようになる。ハードウェアの不具合に対処する作業も減らせる」と言う。
ホワイトボックスネットワークの導入は、「5G」(第5世代移動通信システム)の普及とともに活発になることも考えられる。5Gがネットワーク刷新のきっかけとなり、導入費が発生する他、運用費が高価になる可能性がある。「コスト削減のためにホワイトボックススイッチの導入を検討する企業が増えるのでは」とラリベルテ氏は語る。
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