ロシアのサイバー犯罪者は“あれ”の利用禁止で稼げなくなったウクライナ侵攻で露サイバー犯罪者は苦境【第1回】

ウクライナ侵攻を受け、ロシアのサイバー犯罪者は攻撃戦略の見直しを余儀なくされている。それはなぜなのか。ウクライナ侵攻による、サイバー犯罪への影響を探る。

2022年10月21日 08時15分 公開

 ロシアによるウクライナ侵攻は、ロシアのサイバー犯罪者の「ビジネス」に悪影響を及ばしているもようだ。ウクライナ侵攻を受け、ロシア企業に対して制裁が課せられたり、国際企業がロシアでサービスを停止したりしている。こうした中、ロシアのサイバー犯罪者は攻撃に用いていた従来の手口が使えなくなり、収入が減っている、と英国のセキュリティベンダーDigital Shadowsはみる。

 Digital Shadowsの研究チームは、ロシア語を使うサイバー犯罪者に人気の交流サイトの投稿を分析。ウクライナ侵攻以降、サイバー犯罪を取り巻く環境が激変し、サイバー犯罪者が収入減に直面していることが分かった。

いつもの“あの手口”が使えない

 ウクライナ侵攻後、ロシアに本拠を置く企業のデジタル活動が監視されるようになり、サイバー犯罪を仕掛けるハードルが高くなったとDigital Shadowsは説明する。ロシアにおけるサービス停止がサイバー犯罪者に与える影響もあるという。「例えば、Googleの支払いアプリケーション『Google Pay』がロシアで使えなくなったので、Google Payを悪用したサイバー犯罪は不可能になった」とDigital Shadowsは述べる。

 Digital Shadowsによれば、こうした動きを受けて、サイバー犯罪者の活動は低迷状態に陥った。攻撃活動を再び軌道に乗せるためには、新しい手口を探す必要があるという。英Computer Weeklyは、あるサイバー犯罪者による投稿のスクリーンショットを入手した。投稿でそのサイバー犯罪者は「上り調子のときは金銭を搾り取れたとしても、やがてその手口が使い物にならなくなれば、別の手口を探すことになる。これには非常に長い時間がかかる」と不満を漏らした。


 第2回は、ロシアのサイバー犯罪者の収入がどのくらい減っているのかを見る。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news064.jpg

2025年のマーケターが「生成AIでテレビCMを作る」よりも優先すべきことは?
AIが生成した広告に対する反発が続いた1年を経て、マーケターはパフォーマンス重視で非難...

news070.jpg

CMOはなぜ短命? なぜ軽視される? いま向き合うべき3つの厳しい現実
プロダクト分析ツールを提供するAmplitudeのCMOが、2025年のマーケティングリーダーに課...

news214.jpg

トラフィック1300%増、生成AIがEコマースを変える
アドビは、2024年のホリデーシーズンのオンラインショッピングデータを公開した。