AIと対話を重ねる「プロンプトチェーニング」実践術 役立つ業務は?AIから理想の答えを引き出す対話術【後編】

AIモデルに望ましい回答を効率的に出力させるためにプロンプトを分割するのが「プロンプトチェーニング」だ。プロンプトチェーニングの実践方法や、業務における具体的な応用例を紹介する。

2025年03月14日 06時00分 公開

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 AI(人工知能)技術を使って望ましい回答を生成するためには、プロンプト(情報生成のための質問や指示)を設計する「プロンプトエンジニアリング」が欠かせない。大規模言語モデル(LLM)を使ってタスクを実行する際に、プロンプトを分割する手法が「プロンプトチェーニング」だ。プロンプトチェーニングの実践方法と、プロンプトチェーニングの具体的な応用例を紹介する。

プロンプトチェーニングを実践する5ステップ

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 基本的なプロンプトチェーニングの手順を以下に示す。

ステップ1.タスクの目標を定義する

 タスクの目標を定義してLLMに与える指示を検討する。その内容は、最初のプロンプトを入力する前に慎重に検討しておきたい。

ステップ2.適切なLLMを選ぶ

 タスクの目標や目的に合ったLLMを選択する。

ステップ3.データやタスクを整理する

 複雑なタスクを複数のプロンプトに分割し、LLMに負担を掛けないようにする。

ステップ4.プロンプト集を作る

 新しいプロンプトを作成したら、将来のプロンプト作成を効率化するために、プロンプト集に記録する。

ステップ5.テストを実施する

 LLMに最初のプロンプトを入力したら、出力に呼応する追加のプロンプトを入力する。LLMの出力を確認し、プロンプトを調整しながら望ましい回答を得られるかどうかを見極める。

プロンプトチェーニングの用例

 プロンプトチェーニングは、アイデア出しといった創造的なタスクや、複雑な問題解決に適している。使い方の例を以下に紹介する。

用例1.ソフトウェア開発

 品質の高いソースコードを生成したいときにプロンプトチェーニングは有効だ。最初のプロンプトでソースコードを生成した後、プロンプトチェーニングを使って最適化する。次のプロンプトを使ってそのソースコードが特定のコーディング標準に準拠しているかを確認し、デバッグ(エラー修正)を実施する。

用例2.製品設計

 製品設計の初期段階でプロンプトチェーニングを使用するとよい。例えば、製品デザイナーがLLMを使用して製品のデザイン案を作成する。その後、プロンプトチェーニングを用いて、技術的な実現可能性や市場調査の結果などに基づく改良を重ねる。

用例3.マーケティング施策用コンテンツの制作

 ブログエントリ(投稿)や広告のキャッチコピー、ソーシャルメディアへの投稿といったマーケティング資料を制作する場面でもプロンプトチェーニングは有効だ。ブランド特有の表現、文章の長さやスタイルなどの要件に合わせて、コンテンツのたたき台を洗練させることができる。

用例4.戦略立案の支援

 経営幹部やビジネスリーダーがビジネス上の意思決定を進める際にプロンプトチェーニングを使うことも一考だ。最初のプロンプトを使って一般的な市場分析データを作成した後、次のプロンプトで特定の領域を掘り下げ、関連情報を組み込むといった作業を実施する。そこから、戦略を組み立てるに当たって、将来発生し得る不確実性が高い要因を洗い出し、その要因に対処するためのシナリオを複数組み立てて分析する「シナリオ分析」を実施したり、特定の領域の市場予測を作成したりできる。

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