生成AIツールから“良い回答”を引き出すには、生成AIツールへの質問や指示である「プロンプト」の改善が効果的だ。誰でも実践できる3つのテクニックを、実例を交えて紹介する。
「生成AIツールから的確な回答を得られない」と頭を抱えた場合に役立つのが、「プロンプトエンジニアリング」だ。これは、望ましい出力を得るためにプロンプト(生成AIに対して出す質問や指示)を設計したり改良したりする工程を指す。人工知能(AI)ベンダーOpenAIの「ChatGPT」といった生成AIツールをより使いこなすためのプロンプトエンジニアリングのテクニックを3つ紹介する。
プロンプトエンジニアリングに関する以下3つのテクニックを紹介する。
Few-shotプロンプティングは、大規模言語モデル(LLM)に幾つかの模範例を提示する手法だ。「教師あり学習」(事前に人間が正解データを用意する機械学習手法)を取り入れたもので、LLMは入力とそれに対する出力の模範例を参照し、タスクの取り組み方を学習する。
Few-shotプロンプティングは、特に文体を変更するタスクに最適だ。内容は変えず、文章のトーンやフォーマルさを調整できる。以下は、Few-shotプロンプティングの一例だ。
プロンプト:
以下は、文章を受動態から能動態に変換する例です。
では、以下の文を能動態に変換してください。
ChatGPTの回答:
能動態:「先生が講義を実施する」
LLMは、実際に文章を理解しているわけではない。プロンプトを基に、最も可能性の高い文字の並びを予測しているに過ぎない。そのためLLMは、複雑な方程式や謎解きといった推論タスクを得意としていない。
Chain-of-Thoughtプロンプティングは、推論が必要なタスクに使用される手法だ。まずLLMに問題の解き方を考えるよう指示して、次にそのステップを一つずつ説明してもらう。LLMは段階的に問題を解くことで、精度の高い回答を出力できる。
Few-shotプロンプティングとChain-of-Thought プロンプティングを組み合わせて、解き方の例を幾つか示すことも有効だ。以下に例を紹介する。
プロンプト:
Q:図書館の本棚には35冊の本があります。2冊貸し出され、4冊追加された場合、本棚には全部で何冊の本があるでしょうか。
A: 本棚には最初35冊の本がありました。2冊貸し出されたので33冊になります。次に4冊が追加されると、33+4=37です。合計は37冊です。
Q:あるパン屋で、午前中に40個あったカップケーキのうち36個を売りました。パン屋はその後12個のカップケーキを焼きました。午後には14個のカップケーキが売れました。一日の終わりには何個のカップケーキが残っていますか。
ChatGPTの回答:
問題解決の過程をステップバイステップで考えると次のようになります。
つまり、一日の終わりに、パン屋には2個のカップケーキが残っています。
メタプロンプティングは、LLM自体を使ってプロンプトを改善する手法だ。メタプロンプトでは、特定のタスク向けに最適なプロンプトを作成したり、既存のプロンプトを最適化したりするようLLMに依頼する。
例えば、以下のような具合だ。
文章を書くスキルを伸ばすための練習問題を作成してほしいです。どのように質問すればよいですか。
メタプロンプティングでは、LLMがプロンプトを生成するため、人間が思い付かないような面白い視点からの質問を見つけることができる。さらに、プロンプトの作成過程を自動化できるので、作業時間を短縮できる。
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