エンタープライズアーキテクトは、サービス指向アーキテクチャ(SOA)がもろ刃の剣であることを知っている。つまり、SOAが成功し、コンポーネントが再利用されると、よく使われるサービスが酷使され、パフォーマンスが低下してしまう恐れがあるというわけだ。これは、新たに台頭しているクラウドコンピューティングによって対処できる問題の1つだと、早くからクラウドを手掛けてきた草分け企業の幹部が指摘している。
「人々がSOAで目指しているのは、高度な再利用だ。具体的には、サービスを切り出し、別のアプリケーションに取り込んで再利用することだ」とAppistryの製品管理担当副社長、サム・チャリントン氏は語った。
しかし、サービスの利用が著しく増大したらどうなるのか。そこで頼りになるのがクラウドだと、チャリントン氏は言う。「クラウド環境では、サービスやサービスセットが別のアプリケーションで利用されて処理負荷が大幅に増えても、クラウドプロバイダーに追加の仮想マシンを立ち上げてもらえば済む」
クラウドコンピューティングは実質的に、サービスにスケーラビリティと信頼性を持たせることができると、チャリントン氏は述べた。
この点は、クラスタコンピューティングやデータグリッドと似ている。

「われわれが提供する製品『Appistry Enterprise Application Fabric』は、サービス統合を管理し、サービス機能を非常にスケーラブルに提供する」とチャリントン氏。「SOAによる高度な再利用を実現するのに不可欠な仕組みを用意している」
AppistryはAppistry Enterprise Application Fabricを開発し、クラウドの概念を実現するソリューションの先駆者となった。チャリントン氏は、この製品の開発段階では目指すものをクラウドとは呼んでいなかったが、やはりクラウドという言葉がふさわしそうだと認めている。「われわれはこの製品で目指すものを『アプリケーションファブリック』と呼んでいた。それはグリッドとはぴったり重ならない。グリッドよりもっと機動的なものだ。また、クラスタともぴったり重ならない。クラスタよりもっとスケーラビリティが高く、管理しやすいものだ」(チャリントン氏)
2001年創業のAppistryは、かなりの歴史がある分散コンピューティング企業といえる。「われわれは、クラウドがもてはやされる前からクラウドに取り組んでいる」とチャリントン氏は語った。
Appistryは2008年9月、クラウドプロバイダーのGoGridおよびSkytapとの提携を発表した。この提携は、WindowsおよびLinuxアプリケーションをクラウドアーキテクチャに移行するためのソフトウェアを企業IT部門が無料で使えるようにすることで、クラウドコンピューティングを促進することを目的としている。