Hyper-VでVMを数クリックで複製する方法付属の管理技術SCVMMで

Hyper-Vの管理プラットフォームであるSCVMMを使い、既存のソースVMをカスタマイズしてVMテンプレートを作成することで、VMを迅速に展開する方法を紹介する。

2009年06月29日 08時00分 公開
[Greg Shields,TechTarget]

 仮想化の1つのメリットは、コピー&ペーストを利用して、仮想マシン(VM)の複製、つまり既存のVMをベースに新しいVMを作成することができることだ。新しいVMが必要になったら、VMのディスクファイルを別の場所にコピーすればよい。もっとも、大まかに言えばそうなるが、この一見シンプルなプロセスには、管理者が見落としがちな幾つかの追加作業がある。

 本稿では、Hyper-Vの管理プラットフォームであるSystem Center Virtual Machine Manager(SCVMM)を使って、既存のソースVMをカスタマイズしてVMテンプレートを作成することで、VMを迅速に展開する方法を紹介する。

テンプレートを使ってVMを迅速に展開

 VMの複製においては、VMのコピー&ペーストは作業全体の半分にすぎない。コピーを作成すると、ソースVMと同じものができるが、環境に合わせてVMをカスタマイズする作業も必要だ。Hyper-Vとその管理技術のSCVMMは、VMテンプレートを利用してこの後半の作業を自動化する機能を備えている。初めはこの自動化に必要な準備が手間に思えるかもしれない。だが、この準備をしておくことで、最終的に新しいVMを数クリックで迅速に展開できるようになる。以下では、SCVMMでVMテンプレートを作成し、これを用いてVMを展開する方法をステップを追って説明していこう。

ステップ1 ソースVMの作成

 最初に、ソースVMを用意する必要がある。ソースVMは、ソースVMを基にどのようなVMを作成したいかに応じて構成しなければならない。つまり、すべての必要なアプリケーション、構成、更新プログラム、ユーティリティを含める必要がある。Symantec Ghostでマスターイメージからクローンが作成されるように、ソースVMはほかのVMを作成する基になる「ゴールデンイメージ」だ。

 だが、ソースVMからテンプレートを作成するプロセスには、手間の掛かる部分がある。SCVMMは、ソースVMからテンプレートを作成する場合、ソースVMを破棄する仕組みになっている。あらかじめこのVMをライブラリにコピーし、電源をオフにしたオリジナルのVMをソースVMとして使わなければならない。SCVMMがSysprepツール(WindowsのOS展開ユーティリティ)を使用することから、テンプレートの作成プロセスではソースマシンの電源がオフになっていなければならないからだ。また、SCVMMは、チェックポイントを持つHyper-V VMからのテンプレート作成をサポートしていない。このため、テンプレートのソースとして使うVMのチェックポイントは、ロールアップするか、削除しておかなければならない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 SB C&S株式会社

仮想化環境のモダナイゼーションを加速させる、新しい運用管理方法とは?

さまざまなメリットをもたらす仮想化環境だが、2023年にVMwareが買収されたことで、ユーザー企業は難しい判断を強いられている。そこで、コストメリットも大きい、仮想化環境のモダナイゼーションの方法について解説する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

データ利活用基盤を強化:NTTコミュニケーションズのストレージ導入事例

データ分析・利活用のニーズが高まる中、アクションのベースとなるデータも膨大な容量となり、今後も増え続けていく見通しだ。そうなると、各企業はデータ利活用基盤として、信頼性や拡張性の高いストレージを求めるようになるだろう。

製品資料 横河レンタ・リース株式会社

Windows 11への刷新はデータ移行が重荷、作業負荷を大幅に軽減する方法とは?

OSの移行には「データ移行」が付き物だが、その業務負荷の高さに悩まされているIT管理者は多いだろう。Windows 11への移行を進める前に知っておきたい、「データレスPC」の有効性や、導入で得られる“プラスα”のメリットを解説する。

事例 ニュータニックス・ジャパン合同会社

サーバ250台の移行事例、東海理化が仮想環境を刷新した理由とその効果とは?

技術や市場の変化が激しい自動車業界にあって、長年、数多くの自動車メーカーに部品を供給してきた東海理化。同社は変化に柔軟に対応するためのDX推進に当たって、これまで運用してきたレガシー仮想環境からの移行を断行する。

製品レビュー ニュータニックス・ジャパン合同会社

クラウド同士の連携と運用の課題解消、WebスケールITの基準を採用した基盤とは

ハイブリッド/マルチクラウドへ移行する企業のIT環境だが、クラウド同士の連携は複雑な上に、運用も非効率になりがちだ。そこで、この問題を解消するためのハイブリッド/マルチクラウドプラットフォームを紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...