2011年上半期ホワイトペーパーランキングベスト10 〜仮想化ホワイトペーパーレビュー

仮想化に関するホワイトペーパーの中から、2011年上半期にダウンロード数が多かった上位10コンテンツを発表。本稿では上位3つのホワイトペーパーをレビューする。

2011年07月22日 09時00分 公開
[荒井亜子,TechTargetジャパン]

 TechTargetジャパン「仮想化」では、2011年1月1日〜6月30日の上半期にダウンロードされた仮想化に関するホワイトペーパーのダウンロード数上位10位を集計した。

 ランキングを見ると、サーバ仮想化はもちろん、デスクトップ仮想化、クラウドコンピューティング(IaaS:Infrastructure as a Service)、共有ストレージ、ネットワークと、読者は仮想化を基に幅広くインフラ技術に関心を寄せているといえる。

 仮想化製品では、KVM(Kernel-based Virtual Machine)のベンチマークテスト結果が2位(参考:Linux標準のオープンソースハイパーバイザー「KVM」。注目のベンチマークを公開)だった以外は、VMware製品の紹介や事例のホワイトペーパーが多くランクインしていた。1位と2位の結果から分かるように、事例とベンチマークテストはホワイトペーパーにおいても人気コンテンツのようだ。

2011年1月1日〜6月30日のホワイトペーパーダウンロード数ランキング(仮想化)
順位 ホワイトペーパータイトル 提供ベンダー
1位 【事例】物理サーバの抑制と、将来的なシステム拡張にも対応できる仮想化インフラ構築を実現した盛岡市事例 デル
2位 Linux標準のオープンソースハイパーバイザー「KVM」。注目のベンチマークを公開 レッドハット
3位 仮想化データセンター/クラウドに必要なネットワークの要件とは? ブロケード コミュニケーションズ システムズ
4位 売れる仮想化提案! ノベル
5位 クラウドコンピューティングを巡るもやもやを払拭する 日本アイ・ビー・エム
6位 VMwareが選ばれる7つの理由 NEC
7位 ストレージは意外な盲点! 仮想化のコスト削減とパフォーマンスを両立する方法とは 〜VMware vSphere編 日立製作所
8位 【VMware×HP事例】全64拠点の業務用PCの仮想化をするための、たった1つの冴えた方法 ヴイエムウェア
9位 仮想化マシンパフォーマンスの最大化 クエスト・ソフトウェア
10位 徹底検証!! ディスクI/Oから見たデスクトップ仮想化のテスト結果を公開 〜VMware View編 デル

 今回はランキングから上位3つのホワイトペーパーを紹介する。

1位:盛岡市の「VMware vSphere 4.0」導入事例

【事例】物理サーバの抑制と、将来的なシステム拡張にも対応できる仮想化インフラ構築を実現した盛岡市事例

画像 提供:デル、ページ数:4

 サーバ仮想化のシステム構築を2010年6月に開始し同年9月末に本番稼働と、短期間でサーバ仮想化を導入した岩手県盛岡市の事例。このホワイトペーパーには、盛岡市がサーバ仮想化に至るまでの過程、製品・ベンダー選びのポイント、サーバ仮想化による効果、今後の展望が書かれている。

 サーバ仮想化の導入を決定した盛岡市は2010年4月、公募型プロポーザルを実施し、ベンダー各社に提案を募ったという。公募の条件は、「VMware vSphere 4.0」の利用だ。また、ベンダー各社からブレードサーバ内にセットアップするハイパーバイザーを提案してもらうに当たり、「VMware ESX」と最新版の「VMware ESXi」でどちらを提案するかもベンダー選びのポイントにしていたという。

 結局、盛岡市は複数あった提案の中から日立情報システムズとデルのパートナーシップによる提案を選んだわけだが、サーバ仮想化プラットフォームにVMware vSphere 4.0、ベンダーに日立情報システムズとデルを選択した理由とは何か。製品選びだけでなくベンダー(SIer)選びのポイントも盛り込まれたホワイトペーパーである。

2位:KVMのベンチマークテスト結果

Linux標準のオープンソースハイパーバイザー「KVM」。注目のベンチマークを公開

画像 提供:レッドハット、ページ数:8

 このホワイトペーパーは、仮想環境でオープンソースソフトウェア(OSS)を利用するメリットと、KVMのベンチマークテスト結果を報告している。

 レッドハットは、独立系の仮想化導入コンサルティング企業である日本仮想化技術の協力の下、KVMのパフォーマンスにおけるベンチマークテストを実施。ホワイトペーパーでは、CPUとネットワークのパフォーマンス結果を公表している。

 CPUの性能に関する検証では、Red Hat Enterprise Linux(RHEL) 5.5を導入し、KVMで仮想化環境を構築。さらに仮想マシンのゲストOSにRHEL 5.5を導入している。使用したハードウェアは、HP ProLiant DL360 G7(Intel Xeon X5650)とHP ProLiant DL380 G5(Intel Xeon X5355)。Intel Xeon 5600番台とKVMの組み合わせの相性について考察している。

 ネットワークの検証においては、LinuxディストリビューションのFedora 13(64ビット版)を導入し、KVMで仮想化環境を構築。仮想マシンに対する通信速度を計測した。

3位:仮想化/クラウドで変わるネットワーク

仮想化データセンター/クラウドに必要なネットワークの要件とは?

 仮想化の普及やトラフィックの増大、クラウドへの流れを受け、データセンターネットワークは大きな転換期を迎えている。従来のイーサネットネットワークでは何が問題なのか。

画像 提供:ブロケード コミュニケーションズ システムズ、ページ数:8

 例えば、従来のイーサネットネットワークでは、スイッチ間を接続するISL(Inter Switch Link)がループの形成を許さず、ループがあるとフレームを転送しなかった。よって、スパニングツリープロトコル(STP)では、ツリー型トポロジを実装してループを回避し、スイッチ間の複数の経路を禁止することでISL帯域幅を単一リンクに限定していた。トラフィックの大半が同一ラック内のサーバ間にある場合は問題がなかったが、サーバ仮想化のようなサーバクラスタ構成の場合、複数のラックにあるサーバ間でトラフィックが発生する。スイッチ間が単一リンクでは帯域幅が制限され、通信の非効率を招く。これ以外にも、ホワイトペーパーによると、STPによる可用性の低下や、スイッチの増加に伴うレイテンシなど、さまざまな問題があるという。

 そこで新しく登場したのがイーサネットファブリックという技術だ。このホワイトペーパーでは、従来のイーサネットネットワークと比較したイーサネットファブリックのアーキテクチャ、特徴、要件を解説している。

 今回紹介したホワイトペーパー以外にも、ホワイトペーパーダウンロードセンターでは、技術文書や製品資料、事例紹介などを掲載している。ぜひダウンロードしてご活用いただきたい。

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