OracleがCedarCrestoneに知的財産権を侵害されたとして提訴した。サードパーティーによるメンテナンスを提供させないため、脅しをかける狙いがあると専門家はみる。
米Oracleがサードパーティーのサポート企業、米CedarCrestoneを相手取って起こした裁判は、尽きるところ、ベンダーの知的財産権か、それとも顧客の権利か、という問題に行き着くと専門家は指摘する。
Oracleは、パートナーだったCedarCrestoneに知的財産権を侵害されたとして提訴した。CedarCrestoneがOracleのアプリケーションのアップデートを許可なく提供し、パートナーとしてのログインIDを使ってOracleのサポート資料を不正にダウンロードしたとして、著作権侵害、契約違反、不当競争で損害賠償を求めている。請求額は現時点で明らかにしていない。
この裁判について、米Constellation Researchのアナリスト、R・レイ・ワン氏は次のように解説する。「要するに、顧客が製品を買うときに何を期待するかということだ。ほとんどの顧客は、製品を自分たちの好きなように使って、不要になればライセンスを売却できると考えている。ソフトウェア以外の車、電話機、コンピュータといった製品ではそれが可能だ。だがソフトウェアだけは特許権と(知的財産)権の問題がある。そこにグレーゾーンが生じる」
この件についてOracleとCedarCrestoneにコメントを求めたが、返答はなかった。
企業がかつて緊密な関係にあった相手を訴えるのはなぜか。Oracleは訴訟に関して一貫した姿勢を保とうとしている、とワン氏はみる。Oracleはここ数年で、独SAPの子会社だったTomorrowNowや米Rimini Streetなど、複数のサードパーティーサポート企業を提訴してきた。これら各社がOracleのソフトウェアや資料などを不法にダウンロードして、顧客に割引料金でサポートを提供するために使ったと主張している。
「CedarCrestoneについて興味深いのは、同社がOracleの筆頭級のパートナーだったことだ。同社は最も長期にわたりOracleと最高レベルの関係を持つパートナーであり、2010年にはOracle Titanと呼ばれる賞も受賞していた。だが、Oracleの訴訟に関する姿勢は変わらない。CedarCrestoneがサポートを提供しているのを知らなかったというわけではない。Oracleの観点からすると、自社の知的財産権を守るためには訴訟する必要があった。サードパーティーに保守サービスを提供させないための脅しをかけようとしているのだ」(ワン氏)
Rimini Streetのデービッド・ロウ上級副社長もワン氏と同じ見方を示し、今回の訴訟にも驚かなかったと話す。「Rimini Streetを相手取った裁判書面の中でOracleは、CedarCrestoneを提訴する以外に選択肢はなかったと述べている。もしOracleがCedarCrestoneを提訴していなければ、Rimini StreetはOracle対Rimini Streetの訴訟において、その部分を突いていた。Oracleは予想通りにCedarCrestoneとのパートナー契約を打ち切り、同社を提訴した」(ロウ氏)
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