米Oracleは2012年7月にI/O仮想化アプライアンスベンダーの米Xsigo Systemsを買収。Xsigoのユーザーの間には、製品の今後や価格設定、サポートをめぐり懸念が広がっている。
米OracleがI/O仮想化アプライアンスベンダーの米Xsigo Systemsを買収する意向を明らかにした。この発表を受けて、Xsigoのユーザーの間には、同社製品の今後や価格設定、サポートをめぐる懸念が広がっている。
この買収計画は2012年7月30日(米国時間)に発表された。買収金額は非公開。手続きは2012年秋に完了する見通しという。
OracleはFAQページにおいて「Xsigo Systemsの製品と非Oracle製品との相互運用性は今後も維持される」と明言している以外、両社製品の将来的な統合の計画には言及していない。
これまでOracleが競合製品との相互運用性についてどのように対処してきたかを考えれば、Xsigoのユーザーが不安を感じるのも無理からぬことだ。
「Oracleが何を計画しているのか、成り行きを見守る必要がある。だが私は今回の買収にはあまり好感を持っていない」と語るのは、米VMwareの仮想マシンとともにXsigoの製品を使用し、国際的な金融サービス会社でシステム管理者を務めるフィリップ・シュッテ氏だ。
また情報技術コンサルタントの米Server and StorageIO Group(StorageIO)の創設者でアナリストのグレッグ・シュルツ氏によれば、「Oracleによるこれまでの企業買収の歴史も、ユーザーの不安をあおるには十分だ」という。
「例えばVirtual Ironなど、Oracleがこれまでに買収した企業のことを考えてみてほしい。そうした企業が今どうなっているかということだ」とシュルツ氏。
Oracleはサーバ仮想化管理ソフトウェアを手掛ける米Virtual Iron Softwareを2009年に買収した(関連記事:新バージョンOracle VM 3.0に向けられるユーザーの猜疑の目)。目的は、ユーザーに仮想システムと物理システムを一括で管理する機能を提供することだった。Oracleは結局、買収の1カ月後にVirtual Ironのスタンドアロン版の開発を打ち切り、数年後に発表したサーバ仮想化ソフトウェア「Oracle VM 3.0」でVirtual Ironの技術を幾つか採用している。
まだOracle製品やSun Microsystems製品に何ら投資していないユーザーが不安を抱くのは当然のことだ。米Dellとの長年にわたる提携関係を通じてXsigo製品に投資しているユーザーはなおのこと不安だろう。
「OracleはユーザーがXsigoのソリューションを単体で購入できるようにするだろうか。あるいは、Oracleの製品パッケージの一部として購入させるのだろうか」とシュルツ氏。
「これまでの実績からして、Oracleは自社パッケージへの統合を好む傾向にあるようだ」とさらに同氏は続けている。
また今後のXsigo製品の価格設定やサポートについて不安を抱く声も聞こえる。
ある地図作成会社のIT管理者によれば、OracleがSunを買収した後、製品価格が40%も値上がりしたため、この会社ではSun製品の使用を打ち切らざるを得なかったという。
「Oracleは今回どうするつもりなのだろう。Oracleは経験から学んだはずと期待したい。OracleはSun買収後、Sunのハードウェアを再度採用するよう、当社に何度も持ち掛けてきている。価格は適正だ。だが必要に迫られでもしない限り、私は今後プロプライエタリな技術を採用するつもりはない」とこのIT管理者は匿名を条件に語っている。
「OracleはXsigoの製品から一部の機能やソフトウェアモジュールだけを取り出し、今よりも高い価格で販売しようとするかもしれない」と指摘するのは、米SYS/TOMS Technology Partnersのシステムアーキテクト、トーマス・ピーコック氏だ。SYS/TOMS Technology Partnersは米バイオ産業大手のNew England BioLabsなどのシステム運用管理を請け負っており、現在はXsigoの「Fabric Director」を2台利用している。
サポートにもマイナスの影響が及ぶ可能性がある。ピーコック氏によれば、これまでXsigoのサポートでは、最初から最後まで同一のエンジニアが問題解決にあたる高品質なサービスが提供されてきたという。
「今まではサポート期間中にサポートレベルを変更されるようなことはなかった。Oracleに買収されたことで、それが今後どう変わるかが心配だ」と同氏。
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