サーバ仮想化は、1台のサーバを抽象化し、複数の仮想マシン(VM)にリソースを分割して実行する仕組みを指す。VMは、サーバの台数や識別情報、プロセッサ、OSなどの属性を気にすることなく利用できる。(続きはページの末尾にあります)
Broadcomの買収によって、VMware製品のサブスクリプションモデルへの転換が進む可能性がある。ただし従来の買い切り型ライセンスを完全になくすことは難しい事情もある。
VMwareが単独での事業継続ではなく、Broadcomによる買収を選択した背景には、企業のIT利用に生じた“ある変化”があるという。それは何なのか。
Broadcomは買収するVMwareのブランドを維持する計画だ。ただしVMwareの従業員やユーザー企業の間には、“ある不安”がくすぶっているという。それは何なのか。
BroadcomによるVMware買収は、VMwareにとって、またVMware製品のユーザーにとって幸せなことなのか。もしそうではないとすれば、それは誰のため、何のための買収なのか。アナリストの見解は。
仮想マシン(VM)に代わる技術として、コンテナが注目を集めている。VM技術ベンダーの大手VMwareは、なぜRed HatやDockerに対してコンテナ市場で後れを取っているのか。
Dockerの事業見通しの不透明さから、一部の企業のIT担当者は「コンテナオーケストレーション」ツールの導入方針を決めかねている。
インフラ、特にストレージ環境に関する変化は著しい。かつて有望視されたスタートアップも、幾つかはすでに事業を畳んでいる。生き残った企業が選択した技術は何なのか。
機能性や拡張性、使いやすさに後押しされ、企業はハイパーコンバージドインフラ(HCI)を採用する方針を取りつつある。実際に導入してみてわかったHCIの魅力的な機能について市場調査結果と併せて説明する。
ハイパーコンバージド技術が進化している。従来のハイパーバイザーではなく、コンテナ技術をサポートする製品も登場。新しい課金モデルが現れるなど市場の変化が激しい。
ハイパーコンバージドインフラ構成をデータセンターに導入するに当たっては、必ずしも最初から全ての機能を盛り込む必要はない。
米VMwareのユーザーはハイパーコンバージドインフラ「EVO:RAIL」に関心を示しているが、競合製品が複数存在している。EVO:RAILは今後どう戦っていくのか?
「Docker」のコンテナとエコシステムは2014年に大幅な成長を遂げた。だが、2015年に企業で大幅な導入が見られる可能性は低い。
従来は1台のサーバで、1つのアプリケーションを実行するのが一般的だった。そのためアプリケーションによってはサーバのプロセッサコアやメモリ容量などのハードウェアリソースを十分に利用せず、無駄が生じることがあった。リソースの使用率に関係なく、サーバの台数が増えると、維持管理に掛かるコストや必要なスペース、電力消費量が増加することになる。
サーバのリソース使用率を高めるために登場したのが、サーバ仮想化だ。サーバ仮想化ソフトウェアは、アプリケーションとサーバの中間層に、ハイパーバイザーというソフトウェアを追加する。
ハイパーバイザーは、アプリケーションインフラとしてのサーバを抽象化し、複数のVMに分割する。各VMは、独立した個別のサーバとして機能する。サーバ仮想化によって、サーバの利用可能なリソースを全て活用して、複数のアプリケーションを同時に実行できるようになる。その結果、サーバの台数を減らしたり、データセンター設備の維持コストを節約したりできる。
当然ながら、ハイパーバイザーにはライセンスコストが掛かるだけではなく、運用管理が必要になる。こうした負担が、サーバ仮想化のメリットを相殺する可能性がある点に注意が必要だ。
ハイパーバイザーには、Microsoftの「Hyper-V」やVMwareの「ESXi」などがある。ハイパーバイザーは、サーバのプロセッサやメモリ、ストレージなどのリソースを認識し、これらのリソースを呼び出すためのエイリアス(別名)を作成する。例えばCPUはエイリアスの作成によって、複数の仮想CPU(vCPU)と呼ばれるリソースに分割される。ハイパーバイザーはVMの管理を担い、仮想リソースにひも付いたリソースとアプリケーション間のデータのやりとりを担う。
VMに対してハイパーバイザーは、プロセッサコアやメモリ容量、ストレージ容量といった管理下のリソースを割り当てる。VMは、インフラとなるハードウェアや、ハイパーバイザーが作成した他のVMから完全に分離される。つまりVMは、ハイパーバイザーを実行するサーバや、同じリソースを共有する他のVMの影響を受けない。
クラウドやコンテナの誇大宣伝により、サーバ仮想化は終わったと思われているかもしれない。サーバ仮想化市場は成熟し切っていると思われるかもしれない。しかし サーバ仮想化市場は、新たな採用パターンに対応してパブリッククラウドプロバイダーやオープンソースプロジェクトから新しいイノベーションを受け入れている。
クラウド、コンテナ、インフラモダナイズの中で新たに実装されるアプローチを利用してサーバ仮想化も視野を広げ、新鮮な視点で検討しなければならない。サーバ仮想化において注目すべき7つのトレンドを紹介する。
コンテナを早期導入した企業にとって、コンテナ管理機能の有無が重要だった。ただし、コンテナとVMのコンバージェンスが増えるにつれて、既存の運用ツールやプロセスに影響が及ぶ可能性がある。
コンテナ管理への投資は、機能の重複やプロセスのサイロ化というリスクをもたらす。一方、コンテナとVMのコンバージェンスは可視性の向上、API主導の自動化、インフラ管理の標準化といったメリットがある。
ハイパーバイザーをベースとするサーバ仮想化では、機能拡張やインフラ要件のサポート能力が繰り返し実証されてきた。従来型仮想化プロバイダーも新興仮想化プロバイダーも、コンテナとの競争とイノベーションに対応するためにクラウドから着想を得た仮想化インフラを提供している。その例が「VMware vSphere 7」や「Red Hat OpenShift Virtualization」などだ。
コンバージド仮想化インフラは、ハイブリッドインフラソフトウェア、マルチクラウド、分散クラウド、エッジコンピューティング全体の一貫性を高める可能性を秘めている。
パブリッククラウドのIaaSがクラウドホスト型のサーバ仮想化を新たな規模に広げている。クラウドホスト型サーバ仮想化はハイパースケールのIaaSで運用される従来型のデプロイシナリオとは相反するアプローチであり、ハイパーバイザーがクラウドインフラサービスの統合セットの一部としてバンドルされる。
クラウドホスト型サーバ仮想化によって、ハイパースケールのIaaSプロバイダーにまたがって「ユーザー独自のハイパーバイザーを持ち込む/選ぶ」ことが可能になる。「VMware Cloud」や「Nutanix Cloud Platform」などがその例だ。
クラウドホスト型はホスト変更やリファクタリングの可能性がある特定セットのシナリオに適している。事業継続性/高可用性やデータセンター統合など、既存ワークロードの柔軟性とスケーラビリティを向上させるための選択肢を提供する。クラウド移行への入り口としての役割も果たすだろう。
HCI(ハイパーコンバージドインフラ)ソフトウェアはスケールアウトインフラの一形式で、インフラとIT運用の簡素化と標準化を目的に設計される。ハイパーバイザーを組み込み、ソフトウェアベースのストレージ仮想化を段階的に追加して、ネットワーク仮想化を組み込める「ビルディングブロック」方式のアプローチが提供される。ソフトウェアベースであることを前提とすると、HCIソフトウェアによってオンプレミスとオフプレミスにまたがる一貫性のあるハイブリッドソリューションが可能になる。
クラウドホスト型HCIソフトウェアは、クラウドに着想を得たサーバ仮想化と重なり合う部分がある。この傾向はHCIサプライヤーによるコンテナ管理への投資と並行して起きている。どちらも、MicrosoftやIBMなどの新しいソリューションとともに分散クラウドを導入する別のルートを生み出している。
仮想化用のハードウェア支援にはさまざまな形式がある。最近はハイパースケールIaaSプロバイダー用のカスタムハードウェアを通じて進化している。
ハードウェア支援の仮想化によって、既存および新興のさまざまなサーバワークロードをサポートする共有コンピューティングリソースのプールが提供される。AI向けのパフォーマンス向上はニーズが高い。例としては、「AWS Nitro System」をはじめIntel、NVIDIA、Pensandoなどが提供している。
ハードウェアサプライヤーは、クラウド移行に対応するためにサブスクリプションライセンスや使用量ベースの形式でクラウドに似たサービスを導入している。クラウドホスト型も使用量ベースも、将来のインフラ費用を設備投資から運用支出に切り替える能力を向上させる。例として「HPE GreenLake」や「Dell APEX」などがある。