磁気テープはストレージの中でも特に古い。従来はメインストレージやバックアップストレージとして利用されてきたが、こうした用途は他のストレージへの置き換わりが進んでいる。それでもテープは記憶容量の大きさとコストの低さ、耐久性の高さといったメリットを持ち、アーカイブデータの保管に適した選択肢として、今でもユーザー企業の支持を集めている。テープはデータの検索やカートリッジの交換にかかる待ち時間が長くなりがちであり、メインシステムのストレージには適さない。アーカイブデータであれば、待ち時間が問題になることはまずない。そのためアーカイブデータを長期間保管する用途で、テープは広く利用されている。(続きはページの末尾にあります)
企業が新たなデータを保管し続ける中で、独自の立ち位置を築いてきたストレージが「テープ」だ。専門家によれば、テープの代替になり得るストレージは、現状では見当たらない。テープ独自の利点とは。
大容量の動画データを保管する場合、コストや管理方法など幾つかのポイントを軸にして検討するとよい。テープに対して、クラウドストレージにはどのようなメリットがあり、何に注意すべきなのか。
日々さまざまなデータを扱う中で、企業が保管するデータは増える一方だ。こうした中でデータ保管用のストレージとして進化を続ける「テープ」の注目点を紹介する。
テープをバックアップ用として使用することには、メリットもデメリットもある。米国の2年制大学MVCCもテープを使用してきたが、同校のITインフラの責任者は、ある理由からテープへの不満と怒りが噴出した。
データを永久保存するには、長年にわたって適切にデータを扱わなければならない。貴重なデータを豊富に抱えるゲッティンゲン大学は、どのような方法を採用しているのか。
南極調査船は過酷な環境下で航行するため、船内で運用するストレージシステムも特別な要件を満たさなければならない。どのようなストレージシステムを採用し、どう運用するのか。
クラウドへのデータ移行が進む一方で、保管・転送コストの高さに悩まされ、「テープ回帰」を検討する企業が増えている。ストレージ戦略を見直す中で再評価される、単なるバックアップ手段ではない“現代型テープ回帰”の実像に迫る。
テープ規格「LTO」のテープストレージは、用途においても新たな動きが見られる。富士フイルムの欧州法人FUJIFILM Europeが、容量100TBのエントリーモデルを追加する狙いとは。
社内データをオンプレミスのファイルサーバや磁気テープに保存する“レガシーな企業”がDX先進企業へと変化を遂げた。一体何が起こったのか。担当者に話を聞いた。
データ保管のニーズが増大する中で、ガラスの素材を記録媒体に使用するストレージの研究開発が進んでいる。HDDやテープなど既存のストレージとは異なるその利点とは。
データをコスト効率よく保存できるストレージとして、テープの用途は広がっている。ただしテープを使うに当たって注意しなければならない点が幾つかある。HDD並みにはなれない、テープの短所とは。
企業は「テープ」の特性を生かすことで、データ保管に関するさまざまなメリットを享受できる可能性がある。意外に知られていない、テープの幅広い使い方を紹介する。
「LTO」準拠テープの年間出荷容量が増加する中で、業界団体TPCsは企業におけるテープの新たな使い道、特にAI技術関連での用途に着目している。なぜ最新技術にテープが活躍する見込みがあるのか。
「LTO」準拠テープが2021~2023年で年間出荷容量を更新し続けている。これは単純に企業が多くのテープを導入したというよりも、別の事象によって引き起こされている可能性がある。それは何か。
企業が使うストレージの一種「テープ」が、右肩上がりの出荷容量を維持していることが分かった。SSDやHDDなどのストレージも使われる中で、なぜテープが人気を呼ぶのか。
目的のデータに直接アクセスするランダムアクセスの速度では、テープはSSDなどのフラッシュストレージやHDDにかなわない。しかし一部の業界は、依然としてテープを有用なストレージとして評価している。
例えば映画制作会社は、フラッシュストレージやHDDを利用するとコストの高騰が課題となるため、自社の映像をテープで記録していることがある。石油・ガス業界では、データの取得や移送、保管にテープを用いている企業は珍しくない。テープカートリッジは、石油の探鉱現場から、地理的に離れたデータセンターへとデータを移送するのに適したメディアだからだ。
テープはフラッシュストレージやHDDよりも容量単価を抑えやすい。そのため大容量かつ長期にわたるバックアップストレージやアーカイブストレージとして有力な選択肢になる。記録容量やデータ書き込み速度といったテープの性能は、向上を続けている。テープのオープン規格である「LTO」(Linear Tape-Open)は、通常2、3年ごとに性能が向上した新しいバージョンが登場する。
IT業界団体の電子情報技術産業協会(JEITA)は、「LTO-7」準拠のテープがデータを50年以上保存できると推定している。その耐久性から、アーカイブデータのストレージにも適している。簡単に移動させることができることもテープの強みだ。災害復旧(DR:ディザスタリカバリー)の際には、バックアップデータを記録したテープが、被災したデータセンターから十分に離れた距離にあれば、これを復旧に用いることができる。
ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃を防止する際に、テープがオフラインであることは大きな強みになる。ネットワークに接続されていないテープにサイバー攻撃を加えることは難しい。テープの安全性は、この点でクラウドサービスを超えるとの見方がある。市場にはクラウドベンダーのデータセンターにバックアップデータを格納できるクラウドサービス(クラウドバックアップ)が存在するが、インターネットに接続されている点で、テープよりもサイバー攻撃に遭いやすいからだ。
データの復旧速度は、テープよりもHDDの方が総じて早い。そのためHDDはバックアップに望ましい媒体としてテープに取って代わった。HDDはランダムアクセスがしやすいので、特定のデータを探すプロセスが迅速になる。
HDDを用いたバックアップ製品では、リアルタイムでバックアップを実施するのが一般的だ。一方でデータの読み取り速度や書き込み速度が低いテープのバックアップ頻度は低く、1日単位になることも珍しくない。そのため直近のバックアップをテープで取得するのは適切ではない。