データを永久保存するには、長年にわたって適切にデータを扱わなければならない。貴重なデータを豊富に抱えるゲッティンゲン大学は、どのような方法を採用しているのか。
データの「永久保存」にはどのような方法が求められるのか。ドイツのゲッティンゲン大学(Georg-August-Universität Göttingen)の情報処理センターGWDG(Gesellschaft für wissenschaftliche Datenverarbeitung mbH Göttingen)が、永久保存しているデータについては前編「データを『永久保存』する方法 ドイツの大学が持つ歴史的に貴重なデータとは?」で説明した。本編は同機関が採用する永久保存のより具体的な方法を紹介する。
GWDGはテープでデータを永久保存している。ただしテープはHDDよりもデータへのアクセス時間が長くかかるため、頻繁に利用するデータ用にHDDも併用している。ゲッティンゲン大学の教授でCIO(最高技術責任者)のラミン・ヤヒヤプール氏は「アーカイブするデータの大半はほとんど使用しない。データ管理のポリシーが重要だ」と話す。
データを長期にわたって保存する場合、さまざまな課題がある。ヤヒヤプール氏によれば、GWDGは数十年にわたるデータ管理の中で、アーカイブの仕組みを何度も見直し、その都度データ移行が必要になった。GWDGは過去15年ほどQuantumのストレージを使用しており、この間にもテープライブラリを更改した。ヤヒヤプール氏によれば、テープカートリッジの寿命は20~30年なのに対し、テープを管理する技術は8~10年で古くなる。データ移行には2年かかることもあるという。同氏は「いつでも次のデータ移行を頭において動かなければならない」と話す。
ファイル形式もデータの長期保存において考慮しなければならない点だという。バージョンアップの一環として、データ保存時の標準ファイル形式を変更するアプリケーションは珍しくない。中には最新バージョンだと、過去のファイル形式のデータを正しく読み出せないアプリケーションもある。そこで役に立つのが、新旧のファイル形式を管理するツールだ。ヤヒヤプール氏によれば、GWDGはデータを損失させることなくデータの長期保存に成功している。「非常に手間のかかる作業だが、それだけの価値はある」と同氏は言う。
Quantumのプロダクトマーケティング担当シニアディレクターのエリック・ベシア氏によると、データの永久保存を特に必要としているのは研究機関やエンターテインメント系のメディア企業などだ。エンターテインメント業界なら、映画やスポーツのオリジナル版の映像を残したいと考える可能性がある。
ベシア氏によると、オブジェクトストレージはデータの検索とアクセスが容易になるので、永久保存のアーカイブになくてはならない技術だという。テープも重要な役割を果たしている。テープは他の記録メディアに比べて容量単価が安く、電力消費が少なく済む上、寿命も比較的長い。
データを永久保存する際は、データの保管場所を把握し、次の世代のストレージに引き継ぐための複製を作成するソフトウェアも重要になるとベシア氏は述べる。
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