テープ規格「LTO」のテープストレージは、用途においても新たな動きが見られる。富士フイルムの欧州法人FUJIFILM Europeが、容量100TBのエントリーモデルを追加する狙いとは。
テープ規格「LTO」(リニアテープオープン)のテープストレージは、容量増大の進化があるばかりではなく、用途においても新たな動きが見られる。富士フイルムの欧州法人FUJIFILM Europeは、テープストレージ製品群「FUJIFILM Kangaroo」に、容量100TBのエントリーモデルを追加する。容量100TBで導入できるより手軽なテープストレージを同社が市場投入するのは、データ利用の“ある変化”が背景にあるからだ。
FUJIFILM KangarooはLTOの第9世代「LTO-9」に準拠した製品群だ。テープカートリッジやテープライブラリの他、アーカイブ用ソフトウェア、モニター、キーボードなどをセットにして、簡単に利用開始できるよう設計されている。FUJIFILM Europeは、100TBモデルの提供を2024年に開始する方針だ。
FUJIFILM Europe役員のピーター・ストルイク氏によると、テープはHDDなど他のストレージに比べて消費電力量が少なく済む傾向にあることと、寿命が長いことから、コストを抑えられることが大きな強みだ。「テープはアーカイブ用ストレージに適する」とストルイク氏は述べる。
FUJIFILM Kangarooのソフトウェアは「Linux」をベースとしている。ファイル共有プロトコルの「NFS」(Network File System)や「SMB」(Server Message Block)の他、オブジェクトストレージ「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)のプロトコルに準拠している。データアーカイブのファイルフォーマットは「tar」となっている。「FUJIFILM Kangarooのオープン性はここ40年間、ずっと変わっていない」(ストルイク氏)
FUJIFILM Kangarooは容量1PBまでのモデルで大企業を主なターゲットにしてきた。100TBモデルが狙うのは、中小企業の需要だ。ストルイク氏によると、中小企業でもコールドデータ(アクセス頻度が低いデータ)が増えており、データ保存の仕組みを見直す必要がある。
中小企業はIT予算が限られる傾向にあるため、大量のデータをいかに低コストで保存するかが課題だ。100TBモデルは、主に中小企業の需要を想定している。「テープを導入しやすくし、費用を抑えられるアーカイブ用ストレージとして普及させたい」(同氏)
クラウドストレージの利用を開始したものの、コストが想定以上に増えるといったデメリットに気付いて利用をやめる企業もあるとストルイク氏は説明する。「長期間保持する必要があるがほとんどアクセスしないデータは、テープに保存すればコストを抑制できる可能性がある」(同氏)
テープの利点はコストだけではない。後編はテープのさまざまなメリットを解説する。
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