インドネシアでインテリアデザインと家具を手掛けるPT Gema Graha Sarana(Gema)は採用と新人研修のプロセスを自動化し、欠員の補充にかかる時間が平均で20%短縮した。従業員による申請が承認されるまでの時間は3日から1日に短縮された。(続きはページの末尾にあります)
リモートワークが急速に広がる中、効率的な人材育成がこれまで以上に重要になった。従業員が自ら学びたくなる仕掛けだけでなく、従業員エンゲージメントを高められる学習プラットフォームが求められる。
「働き方改革関連法」の施行により、従業員の就業管理がますます重要になっている。総務・人事部門の作業を減らすとともに、従業員や管理職に負荷をかけることなく正確な就業管理が実現できる「就業管理システム」とは何か。
財務会計において、業務の非効率さや情報収集の遅れといった問題が顕在化している。また人的資本経営が注目される中、「ヒト」に関する情報をどう経営に生かすかも課題となっている。従来型ERPの限界を指摘しながら、解決策を探る。
世界3カ国7拠点、1300人規模の組織でゼロからグローバル人事の組織と制度、システムを立ち上げろと言われたら、あなたならどうするか。HRのプロがたった1年で立ち上げた人材マネジメント環境は一体どんなものなのだろうか。
勤怠や給与、評価、採用など人事業務ごとに個別システムを使うことで貴重な人材情報が分散し、人材やビジネスの成長に活用できていない企業は多い。Sansanの人事システム改善事例から解決法やIT部門と人事部門の望ましい協調体制を考える。
ビジネス環境が激変する中、優秀な人財に企業の将来を託せるよう、タレントマネジメントに期待する経営者や人事部は多い。しかし、その思想を人事システムの設計に反映してしまうと、思わぬ結果を生むケースがある。
人材管理に関連するシステムを子会社が個別導入している企業グループでは、サイロ化が進みやすい傾向にある。この課題を解消する方法には、給与管理に特化したシェアードサービスや人事系のSaaSなどがあるが、それらには弱点もあるという。
テレワークが急速に進む中、対面で話す機会が減るからこそ人事情報を適切に把握、活用することは重要だ。だが、企業規模が大きくなるほど人事情報は分断されがちだ。どうすれば一元管理し、有効活用できるのか。
人材一人一人の能力を把握し、効果的に生かすべく統合的に管理するタレントマネジメントの重要性が高まっている。しかし、安易に導入しても必ず成功するわけではない。日本企業独特の成功ノウハウがある。
今までは「予算が」「ノウハウが」と言ってテレワークを導入できずにいた企業も、そう言ってはいられない。ポストコロナ時代に適合した働き方への移行が求められ、中堅・中小企業も人ごとではない。
新型コロナウイルスの流行により、2020年に事業環境が悪化した中堅・中小企業は少なくない。場所にこだわらない勤務スタイルとして「テレワーク」が注目されているが、対応するIT人材や予算が限られていることもあり、継続することが難しい。どうすればよいのだろうか。
「ここにも間違いがある……」。毎月、月末になると経理部門は経費申請の入力漏れやミスの確認に追われる。申請者に訂正を依頼してもなかなか返事が来ないこともしばしばだ。こうした状況を打開する解決策とは。
年末調整を「年1回だけの業務」と侮ってはいけない。紙で処理している場合、申告書の配布、回収、チェックと、多大な手間とコストが発生する。電子化で大きな効果が得られることは想像に難くない。マンガで具体的な効果を解説しよう。
日本は人材不足の危機に陥っている。企業は人材採用や労働時間の延長でこの問題を乗り切ろうとしているが、それ以前に取り組むべきことがある。
「HR Tech」に関連するベンダーや技術の買収が相次いでいる。買収により事業を強化したSAPやServiceNowの取り組みを紹介する。
紙ベースの経費精算業務を続けてきたことで、テレワーク全盛の今も、精算のために出社せざるを得ないという企業は多い。これを解消するには、経費精算を効率化するのではなく、フローそのものを「なくしてしまう」方法が有効だ。
新型コロナ禍で幅広い企業がテレワーク導入を迫られた。緊急的に導入した企業ではデバイスをセキュリティ管理やIT資産管理の対象外のまま運用しているケースもあるという。テレワークに対応した管理、運用のために必要なものは何だろうか。
テレワーク移行後でも、領収書や請求書の管理に紙ベースの処理が残っているので「原本管理のために出社」といった理不尽に悩まされる場合がある。こうした経理・財務業務のデジタルシフトに「AI-OCR」はどう貢献するのだろうか。
コロナ禍に直面して、テレワークに取り組み新たな働き方が定着した企業としなかった企業にはどんな違いがあるのだろうか。人員や予算の少ない中堅・中小企業でもテレワークを定着させる方法を紹介する。
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、政府はテレワークの実施を要請している。しかし決算期を迎えた企業の経理、財務部門は決算準備を進めるため出社せざるを得ず、業務に影響が出ている。ではどうすればいいのか。
従業員の生産性とモチベーションの向上は、今や全ての企業にとって喫緊の課題。だが新たなことに取り組もうにも、中小企業には予算や人的リソースの問題が立ちはだかる。中小企業が働き方改革を成功させるには何が必要か。その要件を探る。
多くの企業にとって重要な施策と捉えられるようになった「働き方改革」。さまざまなサービスや取り組みが登場しているが「わが社の場合はどうすればいいのか」と迷う経営者は少なくない。働き方改革のスモールスタートはどうすべきなのか。
組織が拡大するにつれて従業員は「見えなく」なる。従業員の能力を無駄にしていないだろうか。従業員の能力を逃さず生かす仕組みは4週間で作れると豪語する人事のプロがいる。詳細を聞いた。
こうした成果はクラウドベースの人事管理(HCM)サービスによるもので、これにより離職率が下がり、競争が激しい求人市場で人材を引き付け、つなぎ留めることが可能になった。
Gemaのように、HCMソフトウェアを使って人材採用と管理の効率を高めてコスト削減に結び付ける企業は、アジア太平洋地域(APAC)全体で増えている。
IDCによると、日本を除くAPAC地域のHCM市場は2023年まで毎年19.4%の伸びが予想され、中国、オーストラリア、インドが全体の売り上げのほぼ70%を占める。
インドのバンガロールを拠点とするIDCのAPACソフトウェア調査部門の市場アナリスト、シリニバス・サミール・ジャバディ氏によると、2016年からはシンガポール、台湾、タイでもHCMソフトウェアが堅調な伸びを示している。
ジャバディ氏によれば、クラウドHCMサービスの存在がHCM市場の成長を促す原動力の一つとなっている。そうしたサービスは優れたユーザーエクスペリエンスや分析機能、APIを提供する。加えて組織は、長年の間にカスタマイズされ、メンテナンスやアップグレードにコストがかかる昔ながらの人事制度から離れたいと望んでいる。代わって目を向けているのが、カスタマイズコードをそれほど必要とせず、構成オプションがもっと多い技術の採用だ。
ビジネスの観点から見ると、人材を求める競争の高まりやスキル不足、ソーシャルリクルートツールの普及によって、労働者が転職するのはかつてなく容易になった。
Oracle APACのHCMアプリケーション責任者、シャークン・カーンナ氏によれば、そうした課題が原動力となって、顧客やビジネスに優れたサービスを提供する優秀な従業員エクスペリエンスの創出に向けた人事管理、データ、人材戦略へと人事担当幹部を突き動かしている。
「OracleとWHU - Otto Beisheim School of Managementが実施した調査では、多くの組織が適切な技術に投資しながら、真に有効活用するために必要な文化やスキル、行動は欠いていることが分かった」。カーンナ氏はそう語る。
「競争に勝ち、市場を主導する価値を打ち出したいと考える組織にとって、順応性と動きの速さは極めて重要だ。順応性の高さはどんな企業においても、組織を前進させるスキルを持った従業員を採用し、つなぎ留める大きな要因でもある」
HCMソフトウェアには人材管理から給与や経費の支払いに至るまで、幅広い機能がある。HCMソフトウェアを検討する際は、現在のシステムを深く掘り下げて分析し、どんなデータを取得し、そのデータがどう流れ、どこに行き着くのかを把握しなければならない。これはソフトウェアの基盤であるデータベースから始まるとOracleのカーンナ氏は言う。
導入するモジュールは全て、同じプラットフォーム上にあって共通のデータを共有し、相互にうまく連携し、従業員のシームレスなエクスペリエンスを実現しなければならない。これによって重複するシステムに関係した管理上の非効率性が縮小する。
ビジネスの成長に伴って拡張できるソリューションを導入することも重要だ。
選定したHCMソフトウェアは、成長に伴って構造やレポート体系が変化する組織のニーズに対応できなければならない。「究極的には、リアルタイムで更新される真実の根本を見通せるHCMソフトウェアが必要だ」とカーンナ氏は話す。
Workday Asia社長のロブ・ウェルズ氏によると、新しいHCMソフトウェアへの投資は、非常に人間的な形で人に影響を与えるデリケートなプロセスだという。「大抵の場合、これは一生に一度のチャンスなので、必然的にうまくやりたいと考える。そうした理由から、われわれはWorkday製品の導入を、従来のような顧客とサプライヤーの関係ではなくパートナー関係の構築と見なしている。われわれはプロセスを通じて継続的にフィードバックを求め、本番前に問題に対応できるよう製品を調整する」
SAP SuccessFactorsのAPEC・日本担当シニアバイスプレジデント、ジル・ポペルカ氏によると、企業がHCMソフトウェアを検討する際は自分たちの目標や課題を理解しておく必要がある。
「従業員の高齢化が進んで人材の獲得に苦労しているのか。急成長モードにあって向こう2〜3年の間に何社も買収する見通しなのか。組織のデジタル対応はどの程度なのか」
そうした目標を理解すれば、何が必要で、何を選べばいいのかの枠組みが決まるとポペルカ氏は指摘する。
全般的には、長期的な視野を持った実用的なアプローチを取ることが、組織のニーズを見極める最善の方法になる。加えて社内で聞き取り調査して、成功するため、仕事をこなすためには何が必要かを質問する。
「多くの場合、人事部門は孤立した環境にあり、従業員のニーズよりも組織のニーズに重点を置いている」とポペルカ氏は言う。「包括的で、思慮深く、正直であること。そのアプローチを取れば、自分たちが本当に必要としているものを見極めるための枠組みが出来上がる」
IDCのジャバディ氏によると、バイヤーはHCMソフトウェアの評価に当たって、給与やセキュリティなどに関連した現地の法令の順守、クラウド移行能力、人事のベストプラクティスなどを判断基準とする。
「アジア太平洋ではわれわれの中核的な人事ソリューション『SAP SuccessFactors Employee Central』を採用する企業が増えている。これはモジュール性を備えた包括的なソリューションで、顧客はどこからでもスタートできる」とポペルカ氏は言い添えた。
Workdayによれば、従業員エクスペリエンスや職場でのエンゲージメントを向上させる機能に投資する会社が増えているという。
「恐らくそれは、生産性の高い職場をつくり出す最善の方策に関する考え方が変化していることに起因するのかもしれない」とウェルズ氏は推測し、今は従業員エンゲージメントが改めて脚光を浴びており、それが業績に影響を与えることを裏付ける調査も増えていると指摘した。
マレーシアのAirAsiaは、Workdayを使って2万2000人を超す従業員それぞれに合わせたエクスペリエンスを実現している。
AirAsiaのWorkdayプラットフォームは、個々の従業員についてキャリアパスや技術スキルのレベル、専門能力の開発といった情報と、従業員が仕事をこなすために必要とする一般的な情報を継続的に記録する。
これには出先で働く従業員の支援も含まれる。「モバイルプラットフォームでのHCMソフトウェア利用が増え始めている。その一因は、常に進化を続ける現代の職場の力学にある。多くの企業で、時間単位の従業員やオフィスでコンピュータの前に座っていない従業員が増え始めている」
企業のモバイル化に加え、HCMソフトウェア市場では人工知能(AI)の台頭、ギグエコノミー(訳注:インターネットを通じて単発の仕事を請け負う働き方)の成長、労働者の定義の変化、意思決定における高度な分析の利用増大といった別のメガトレンドも浮上しつつある。
中でもAIはHCMソフトウェアへの導入が進んでいる。
Oracleのカーンナ氏によると、AIで最適な結果を引き出すためには、正確で精密かつ関連のあるデータが求められる。このためOracleは、いわゆるアダプティブインテリジェントアプリケーションに供給するデータには特に気を配り、ファーストパーティーとサードパーティーのデータを組み合わせて利用している。
「調整のためには、われわれが最適化を行うプロセスや特定の用途専用に選定したトレーニングデータをOracleの機械学習モデルに注入する必要がある」と同氏は話す。
「時がたつにつれ、このモデルは顧客独自のデータで継続的に精度を上げ、結果は継続的に向上する。事前に調整されたデータモデルの概念は、データサイエンティストが必要とされないことを意味する」
結果として、採用担当者が大量の求職者に対応でき、従業員による選考の手順を合理化し、従業員の実績のモニターや向上につなげられるAI対応HCMソフトウェアが形成される。
従業員はまた、HCMソフトウェアに組み込まれたインテリジェンスを使ってキャリアに関する具体的なアドバイスや、ネットワーク形成のチャンスを見つけることもできる。
「それがなければ気付かなかった、あるいはずっと後になってからしか気付かなかったかもしれない役に立つ学習ポイントに到達できる」とカーンナ氏は説明する。
一部の組織は、新しいHCMソフトウェアの導入後もコンプライアンスや報告の必要性のため、さらには解雇した従業員に訴訟を起こされた場合に備えて、レガシーHRシステムを維持することを選ぶかもしれない。
レガシーシステムを維持する必要があるかどうか判断する際は、サプライヤーのサポートがまだ受けられるかどうか、料金はどの程度なのか、データ紛失やデータ破損のリスク、さらにはデータをアーカイブシステムに保存する可能性について検討する必要がある。
新しいHCMソフトウェアの費用対効果について判断する際は、レガシーシステムを維持するコストの他、新しいシステムにかかるライセンス、導入、サポートの経費を、予想される人手の削減や生産性の向上といったビジネス成果に照らして検討しなければならない。
また、オンプレミスに導入する場合は新しいハードウェアやハードウェアのアップグレードにかかるコストや、研修およびデータ統合、ソフトウェアのカスタマイズに関連したコストも考慮する必要がある。