デスクトップ管理問題の解決や物理デバイスの削減を目的に、Microsoftのアプリケーションを使った仮想化の導入を考えるITマネジャーが増えている。
ITマネジャーにどの技術が自社とIT業界全体に最大の変化をもたらすと思うかと尋ねると、彼らがすぐに思い浮かべるのは仮想化だ。
一部のITマネジャーは仮想化によってデスクトップ管理の問題を解決することを考え始めている。ウェイクフォレスト大学バプティストメディカルセンターのブライアン・J・ウズウィアック氏もその1人だ。同氏は同メディカルセンターのネットワークと情報サービスを管理している。
「われわれはMicrosoftのSoftGridを使ったアプリケーションの仮想化を検討している。それによって、ソフトウェアの導入展開やアプリケーションの非互換の問題に関するCitrix Systemsの製品とMicrosoftのSMS(Systems Management Server)の機能のギャップを埋められるからだ」(ウズウィアック氏)
Office 2007が仮想化を利用して導入展開するソフトウェアの候補になるだろう、と同氏は付け加えた。
また、Windows Server 2008とそのネットワークアクセス保護(NAP:Network Access Protection)機能は、ウズウィアック氏が同メディカルセンターのデスクトップのセキュリティを確保するための切り札になるかもしれない。この機能は、デバイスを隔離してセキュリティリスクをチェックしてからユーザーにネットワーク接続を許可するものだ。
同センターのIT部門は、WindowsサーバおよびクライアントでNAPをテストしてきた。「この技術はソフトウェアアシュアランスでカバーされている。われわれは、これまで多額の投資を行ってきた802.1xベースの無線技術にサードパーティーのセキュリティレイヤを追加せずに済むだろう」(ウズウィアック氏)
医療スタッフや医師助手はセンターにいないことも多い。無線アクセスとNAPの組み合わせにより、当センターはクライアントのネットワークアクセスと更新を安全に実現できるだろう、と同氏は語った。
法律事務所Eisenhower & Carlsonのボブ・ウィリアムソン氏は、仮想化を利用して物理デバイスをできるだけ減らしている。
ほとんど1人で同法律事務所のITを管理しているウィリアムソン氏は、仮想化技術を積極的に活用している。同事務所のITの80%は、VMwareのESX ServerとiSCSI SANを使った仮想環境で運用されている。「仮想化は盛んにもてはやされているが、わたしの事務所でも既になくてはならないものになっている」とウィリアムソン氏。「IT部門が好むと好まざるとにかかわらず、仮想化の普及が進んでいる。この技術はさまざまな目的に大いに役立つ」
ウィリアムソン氏は2008年、Windows Server 2008の新機能を利用して、ユーザーがどこにいても、仮想XPマシンからアプリケーションにアクセスできるようにしたいと考えている。
「Windows Server 2008が手に入るのを楽しみにしている。このOSにより、ユーザーはダブルクリックするだけでターミナルサーバのシームレスウィンドウでアプリケーションにアクセスできるようになる」とウィリアムソン氏。「Windows Server 2008のこの新しいリモートデスクトップ機能を使えば、ユーザーはWebサイトにアクセスし、そこからリモートデスクトップを利用できる。ノートPCは不要になる」
一方、仮想化技術のハードウェアへの統合により、新たな構成が実現される可能性が開けるだけでなく、企業の技術ライセンス購入の在り方も変わりそうだ。
Citrix Systemsのデータセンターオペレーション部門の主席システムプログラマーを務めるトーマス・イントマン氏は、仮想化によって高価なソフトウェアやライセンスをサードパーティーから個別に入手する必要がなくなる可能性があると考えている。
「ハードウェアベンダーが、仮想化技術をシステムのチップだけでなくBIOSにも組み込む取り組みに携わる例が見られる」とイントマン氏。「こうした取り組みにより、サーバを最初に構成する際に、サーバを仮想化ホストとするかスタンドアロンサーバとするかを指定できるようになる」
仮想化技術がハードウェアに密接に統合されれば、サードパーティーソフトウェアのライセンスは個別に提供されるものではなくなり、ハードウェアの一部として購入されることになるだろう、とイントマン氏は考えている。
仮想化は企業のリソース配分とハードウェアの更新サイクルに大きな変化をもたらし、IT部門は新しいブレークスルー技術に速やかにアクセスできるようになるだろうと、Kroll Factual Dataの主席技術アーキテクト、クリストファー・ステフェン氏は語った。同社はリスクコンサルティング会社Krollの子会社だ。
ステフェン氏は、仮想化によってKroll Factual Dataでは、新しいハードウェアリソースを購入する必要性がほぼ半減し、浮いた費用が先進的な技術の購入に充てられると予想している。デスクトップやアプリケーションを含むさまざまなレイヤーで仮想化が行われる結果として、多くのIT部門がこうした見通しを持つことができるという。
「しかも、仮想化によって極めて高い冗長性が確保できる」とステフェン氏。「クライアントがダウンしても、すぐに別のマシンに切り替えられる。ユーザーへの恩恵は絶大だ」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
エンタープライズ向け技術は、Linuxを中核に据え、オープンソースで動作しているものが多い。しかし近年、一部のベンダーが契約による囲い込みを強めており、ベンダーロックインのリスクが高まっている。安定したLinux運用を実現するには?
ITサービスへの要求は年々増大しており、その対応を手作業でカバーするには限界がある。そこで導入されるのがITSMツールだが、特に自動化機能には注意が必要だ。自社に適した運用自動化や作業効率化を実現できるのか、しっかり吟味したい。
業務効率を高めて生産性を向上させるために、多くの企業がITシステムの導入を進めている。しかし、自社の業務に合わないITシステムを導入してしまっては、逆に生産性が低下する可能性も高い。この問題をどう解決すればよいのだろうか。
世界中で広く利用されているChromeブラウザは、業務における重要なエンドポイントとなっているため、強固なセキュリティが必要となる。そこでChromeブラウザを起点に、企業が安全にWebへのアクセスポイントを確立する方法を紹介する。
Google Chromeの拡張機能は生産性の向上に不可欠な機能であり、ユーザーが独自にインストールできる一方、IT管理者を悩ませている。ユーザーデータを保護するためにも、効率的な運用・監視が求められるが、どのように実現すればよいのか。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。