SalesforceとGoogle Appsの連携で「SAP、オラクル、MSへの依存は終わる」か?NEWS

セールスフォース・ドットコムは米国で発表済みの「Salesforce for Google Apps」に関して国内で説明会を行った。米Salesforce.comのジョージ・フー氏は「ユーザーのSAP、オラクル、マイクロソフトへの依存が終わる」と語る。

2008年04月18日 16時09分 公開
[納富友三,TechTargetジャパン]

 セールスフォース・ドットコムは4月17日、グーグルのSaaS(Software as a Service)型オフィススイート「Google Apps」をセールスフォース・ドットコムのSaaS型CRMソフト「Salesforce」から利用できる「Salesforce for Google Apps」の提供に関して国内で説明会を行った。Salesforce for Google Appsは既に4月14日(米国時間)に米国で発表されており、同日よりSalesforceの既存ユーザー向けに無料提供を開始している。Salesforce for Google Appsで提供している内容は以下の通り。

アプリケーション 内容
Salesforce and Gmail SalesforceからGmailで電子メールの送受信を行い、その内容をSalesforceに顧客コミュニケーション記録として保存する
Salesforce and Google Docs 「Googleドキュメント」「Googleスプレッドシート」「Googleプレゼンテーション」をオンラインで作成でき、Salesforce上で管理・共有できる
Salesforce and Google Talk Salesforceから「Googleトーク」を利用できる。オプションでSalesforceに格納されている顧客レコードや見込み客レコードにGoogleトークでの会話内容の関連付けが可能
Salesforce and Google Calendar Salesforceに登録しているセールスタスクやマーケティングキャンペーン情報を「Googleカレンダー」に公開できる

 「われわれ2社はエンタープライズ、コンシューマー、それぞれの業界をリードするクラウドコンピューティングアプリケーションを提供してきた」と語るセールスフォース・ドットコムの代表取締役社長、宇陀栄次氏は、両社のクラウドコンピューティングとSaaS型アプリケーションの実績を強調。今回の連携でSaaS型のCRMとオフィスアプリケーションを一元的に提供することで、「ユーザーは場所を選ばないクラウドコンピューティング環境でビジネスを遂行できる」(宇陀氏)とした。

画像 「クラウドコンピューティングの世界では、地方、中小をはじめさまざまな人々にビジネスチャンスを与える可能性があると考えている」と語る宇陀氏

 米Salesforce.comのマーケティング、アプリケーション、教育統括責任者でエグゼクティブ・バイスプレジデントのジョージ・フー氏は「この連携は『ソフトウェアの終えん』が始まったことを意味し、ユーザーのSAP、オラクル、マイクロソフトへの依存が終わる」と語った。

 また、両社はサードパーティーや開発者がセールスフォースのオンデマンド開発プラットフォーム「Force.com」とGoogleのオープンAPIを使ってサービスを開発できるクラウドコンピューティングプラットフォームの提供も開始している。

画像 「今後パートナーがどういう取り組みをしてくるかも非常にエキサイティングだ」と語るフー氏

 オラクル、SAP、マイクロソフトなどもCRMをSaaS型で提供しているが、フー氏は「インターネットの世界では検索ならGoogle、音楽ならAppleと、特定の分野にフォーカスした企業が勝利している。これと同じことがエンタープライズアプリケーションでも起こり始めている」とし、セールスフォース・ドットコムがSaaS型CRMにフォーカスしてきたことで「他社製品へのアドバンテージを持っている」(フー氏)と語った。

 今後の展開としては、同社は2008年夏より「Salesforce for Google Apps Supported」を提供予定。これは、電話サポート、請求とプロビジョニングの一元管理、プラットフォームAPI、追加のサードパーティーアプリケーションのすべてを1ユーザー当たり月額10ドルで提供するパッケージとなる。

 宇陀氏は「両社の連携がもたらすのは圧倒的な生産性だ。システムの開発・改修、サポート&サービス、エンドユーザーの業務、さまざまな場面で生産性が大きく変わってくる」とし、説明会を締めくくった。

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