日本IBMは、デジタルハリウッド大学大学院が事務局となる「コンテンツ制作共有基盤研究会」の高性能デジタルコンテンツ制作基盤が、IBMのx86サーバ「IBM System x」で構築されたことを発表した。
日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)は6月1日、デジタルハリウッド大学大学院 産学官連携センターが事務局となる「コンテンツ制作共有基盤研究会」の高性能デジタルコンテンツ制作基盤を構築支援したことを発表した。同基盤にはIBMのx86サーバ「IBM System x」シリーズが採用された。デジタルハリウッド大学大学院は今後、この基盤を活用して適切な制作環境の研究を実務的に行う。コンピュータプログラムを用いて画像や映像、音声を生成するレンダリングなどに関して実証実験を行う。
アニメーション、映画、TV、ゲームなどの分野で制作される高精細のデジタルコンテンツは、その処理量やデータ容量が急増している。このため、超高速かつ微細な画像処理に対応するシステム基盤の整備が急務になっている。こうした高性能の制作基盤を個々の制作会社が導入、維持することは難しいとされ、デジタルコンテンツ制作業界全体での制作作業の効率化やシステム投資の最適化が課題となっている。
デジタルハリウッド大学大学院は、デジタルコンテンツ制作業界が抱えるこれらの課題を解決するために、「コンテンツ制作共有基盤研究会」を2010年5月に発足させ、研究会の参加企業が共同活用できる汎用的な制作共有基盤を導入した。同大学院では、制作プロダクションなど制作の現場業務の効率化のスキームやクラウドコンピューティングを活用した新しいワークフローの導入などの研究を進め、日本のコンテンツ制作者が本来追求すべきクオリティの保持、向上の提案を行っていくという。
IBMによれば、この基盤は、これまで会員企業各社が独自に導入していた基盤に比べ20倍以上の処理性能を発揮するとしている。全編3D画像で制作する映画は、従来およそ2年の制作期間を必要としたが、この基盤を活用することで4カ月程度にまで制作期間を短縮することが可能になるという。
この基盤の運用管理はデジタルハリウッド大学大学院が実施し、IBMはデジタルハリウッド大学大学院とコンテンツ制作共有基盤研究会会員企業各社に対し、基盤の運用管理、活用、将来の基盤拡張やクラウドコンピューティング対応のために必要な技術情報の提供、サポートを実施する。
デジタルハリウッド大学大学院は、この基盤を同大学院の授業にも活用する。音声処理など映像制作以外の作業を実施するアニメーションスタジオと連動し、コンテンツ制作の人材育成を行う。IBMもこうした人材育成施策に関する講習会への講師派遣や、個別作業のサポートなどを実施する。
IBMによれば、この基盤を今後、ネットワークを経由したクラウドコンピューティングに対応させ、全国の会員企業がリモートで活用できるよう機能拡張していく予定だという。
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