英国の卒業認定試験GCSEで、受験科目に「コンピュータサイエンス」を選択する女子生徒の数は減少傾向にあった。その傾向に変化が生じているという。何が起きているのか。GCSEの受験者動向から探る。
英国には義務教育後の卒業認定試験「GCSE」(General Certificate of Secondary Education)という制度がある。これは英国で中等教育を受けたことを証明する資格で、主な対象は14歳から16歳の学習者だ。一般的には、必修科目や選択科目を2年間学び、試験を受けることで取得できる。成績は、最も良い評価が9、最も悪い評価が1だ。
2022年のGCSEにおいて、選択受験科目の一つである「コンピュータサイエンス」を受験する女子の人数が2019年の水準まで回復した。この数字は2020年、2021年と2年連続で減少していた。
選択受験科目にコンピュータサイエンスを選択した女子受験者数は、2022年には1万7264人と前年比で増加に転じ、2019年の1万7158人よりも微増している。
コンピュータサイエンスを選択した女子受験者数は、2020年が1万6919人、2021年が1万6549人と減少が続いていた。これを受けて業界専門家からは、コンピュータサイエンスを学び、STEM(科学、技術、工学、数学)分野でキャリアを追求することを、若い女性に奨励する取り組みの強化を求める声が上がっていた。
2022年にコンピュータサイエンスを選択した全受験者数(男女合計)は、8万1120人だった。2021年の7万9964人から1.4%増という結果だ。男子受験者数は6万3856人で、2021年の6万3415人とほぼ横ばいだった。女子受験者数が前年比4.3%増加したことが、全体の受験者数の増加に大きく寄与した形だ。
コンピュータサイエンスを選択した全受験者のうち、7以上の評価を獲得した成績上位層の受験者の割合は、2022年は34.1%にとどまった。2021年の39.7%から大幅に低下した。英国の8つの試験実施・資格授与機関から成る会員制組織Joint Council for Qualifications(JCQ)は「他の科目を選択した受験者にも、同様の傾向が見られた」と指摘する。
英国の資格・試験監督機関Ofqual(Office of Qualifications and Examinations Regulation)によると、2022年は2019年と比べて全体的に成績が良好だった。だが2021年と比べると成績が低下していた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の影響で、2020年と2021年は夏季のGCSE試験が中止になり、教員による評価に基づいて成績が付いていた。2019年は、2022年と同様の試験を実施した直近の年だ。
GCSEでコンピュータサイエンスを選択し、7以上の評価を獲得した受験者の割合を男女別に見ると、女子が男子を上回っていた。これは例年通りの結果だ。女子受験者の40.6%、男子受験者の32.3%が7以上の評価を得ていた。
中編は「もっと多くの女子にコンピュータサイエンスを学んでほしい」と考える専門家の意見と、その理由を紹介する。
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