「Android狙いのマルウェアに注意」 EMCの2011年インターネット脅威予測NEWS

EMCジャパン RSA事業本部は、2010年のセキュリティトピックと、2011年の脅威予測を発表した。

2011年01月24日 16時31分 公開
[TechTargetジャパン]

 EMCジャパン RSA事業本部(前RSAセキュリティ)は1月21日、オンライン詐欺対策に関する説明会を開催し、フィッシング攻撃トロイの木馬について2010年の動向と2011年に予想されるオンライン詐欺の手口を発表した。

複数のオンライン犯罪手口が確立した2010年

 RSA Anti-Fraud Command Center(AFCC:24時間365日稼働のオンライン不正対策センター)が調査したオンライン犯罪の統計によると、2010年は過去最高となる20万3985件のフィッシング攻撃が確認された。特徴はRSAセキュリティが毎月発表してきた「オンライン犯罪の現状と対策リポート」の中で2010年5月に「一般向けの無料Webサービスを利用した手口」、同年11月に「ホスティングサイトを介さない手口」など、年間を通じて複数の新手口が発見されたことであり、同社では「2010年は多種多様なオンライン犯罪手法が確立された年」であったとまとめている。

alt 2010年に確認されたフィッシング攻撃に関する統計情報(同社発表の資料より転載)

 気になるトピックとしては、「代表的なトロイの木馬である『Zeus』と『SpyEye』の統合」「重要インフラを狙う攻撃『Stuxnet』の登場」「さまざまな脆弱性を突くマルウェアやソーシャルエンジニアリングなど複数の手法を駆使した攻撃『APT(Advanced Persistent Threat)』の脅威の高まり」「特定の標的を狙う目的で独自設計されたトロイの木馬の増加」などが挙げられた。

2011年は昨年確立された手法を組み合わせた対処困難な攻撃が次々と実用化か

 2011年に予想される脅威としては、以下5点が挙げられている。

(1)スマートフォン狙いのモバイルマルウェア出現

 ユーザー数の増加に伴い、スマートフォンのアプリケーション市場は好調だ。2011年のダウンロード件数は前年比2倍の250億件に上るとの予測もある。これは、犯罪者にとっても魅力的な収入源であり、海外では既にマルウェアが仕込まれたオンライン銀行のアプリケーションなども発見されているという。同社では業務用途での導入も進むスマートフォンユーザーに対し注意を呼び掛けるとともに、特にAndroid向けアプリケーションについては事前審査がないことから、ダウンロード時には注意が必要であるとしている。

(2)ソーシャルネットワークなどを介して企業ネットワークに侵入するマルウェア被害

 2010年のトピックでも挙げられたAPT攻撃は、2010年1月に発生したOperation Auroraなどが代表例だが、いずれもGoogleといった世界的企業が標的とされていた。最近ではこの攻撃が一般企業にも及んでおり、その手口は従業員に巧妙なフィッシングメールを送り付け、そこから悪意のあるWebサイトへ誘導するというものである。Facebookの招待メールなどソーシャルメディアを利用した手口も発見されており、企業は従業員のWeb利用から情報漏えいが起きないよう、対策を進める必要がある。

(3)さらなる高機能化と開発サイクル短縮を果たすトロイの木馬

 世界中で猛威を振るうトロイの木馬ZeusがSpyEyeと統合することで、感染したPCのデスクトップGUIを制御するリモートデスクトップ機能などを搭載した高機能なトロイの木馬が出現する可能性があるという。また、各新機能をモジュール化して販売するなど、闇市場がさらに拡大する懸念もある。

(4)標的型攻撃を目的に開発されるトロイの木馬の増加

 物理的インフラ狙いのStuxnetをはじめ、特定の標的を狙うために作成されるマルウェアが増加すると予想される。いずれも国家規模の開発リソースを掛けて開発されているという。

(5)一度に複数ブランドを標的とするフィッシング攻撃

 同時に複数の標的を狙う攻撃は標的型のトロイの木馬よりも技術的・資金的にハードルが低いことから、この手の攻撃も引き続き発生することが予想される。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社エーアイセキュリティラボ

AIで人材不足を解消、セキュリティ担当者のためのDXガイド

DX推進によってさまざまなビジネスシーンでデジタル化が加速しているが、そこで悩みの種となるのがセキュリティの担保だ。リソースやコストの制限も考慮しながら、DXとセキュリティを両輪で進めるには何が必要になるのか。

製品資料 パロアルトネットワークス株式会社

セキュリティ運用を最適化し、SOCの負担を軽減する「SOAR」とは?

サイバー攻撃が巧妙化し、セキュリティチームとSOCは常に厳戒態勢を取り続けている。さらにデジタルフットプリントの拡大に伴い、セキュリティデータが絶え間なく往来する事態が生じている。このような状況に対応するには、SOARが有効だ。

製品資料 パロアルトネットワークス株式会社

現在のSOCが抱える課題を解決、AI主導のセキュリティ運用基盤の実力とは?

最新のサイバー攻撃に即座に対応するためには、SOCを従来の在り方から変革することが重要になる。しかし、何をすればよいのか分からないという組織も多い。そこで本資料では、現在のSOCが抱えている5つの課題とその解決策を紹介する。

市場調査・トレンド パロアルトネットワークス株式会社

セキュリティの自動化はどこから始める? SecOpsチームを楽にする正しい進め方

高度化するサイバー脅威に効率的に対処するには、セキュリティの自動化が欠かせない。だが自動化の効果を高めるには、使用ツールの確認、ワークフローの分析などを行った上で、正しいステップを踏む必要がある。その進め方を解説する。

製品レビュー ゼットスケーラー株式会社

AIで脆弱性対策はどう変わる? セキュリティ運用や意思決定に与える影響力とは

脆弱性対策は作業量や難易度を予測しづらく、限られたリソースで対応するのが難しい。さらに、単体の深刻度評価のみとなる一般的なセキュリティ監査ツールでは、包括的な分析は容易ではない。これらの課題を、AIはどう解決するのか。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...