PayPalに聞く、ビッグデータ分析の今後【第3回】
PayPalも活用、消費を伸ばす「トランザクションデータ」
取引情報が詰まったトランザクションデータこそが、コンシューマーの購買行動を予想する上での「最強のシグナル」となる。米PayPalの主席サイエンティストは、こう主張する。
第2回「PayPalも苦慮、ビッグデータツールはなぜ使えないのか」では、米電子決済サービスプロバイダーPayPalの主席サイエンティストを務めるモック・オー氏に、PayPalがデータ分析をする動機やビッグデータの活用で可能になること、現状のビッグデータ活用ツールに欠けている要素などについて語ってもらった。今回は、ビッグデータツールを用いて人間の潜在意識に迫る取り組みについて語ってもらう。
連載:PayPalに聞く、ビッグデータ分析の今後
―― 具体的には、どのようにしてコンシューマーとマーチャントを結び付けているのですか?
オー氏 例えば、米高級百貨店のNeiman Marcusは、好調な売れ行きを誇っています。同社は、マーケティング費用を適切に使いたいと望んでいます。つまり、コンシューマーにとってよりうれしい情報、より適切な情報を広告で提供したいと考えているのです。PayPalは、そのためのリストを作成できます。当社は、他のどの企業よりもはるかに上手にコンシューマーをターゲティングできます。
こうした取り組みを「データサイエンス」と呼ぶのは、そこに科学的な要素が含まれているからです。当社には科学分野の優秀なリーダーがおり、学界とも強いつながりがあります。学問の世界では、最新かつ優れた研究が数多く進められています。
データに関しては、PayPalには素晴らしいデータ、つまり取引に関わるトランザクションデータがあります。思い切って言わせてもらえば、トランザクションデータこそが、コンシューマーの購買行動を予想する上での最強のシグナルとなります。
純粋なオンラインデータとは違って、トランザクションデータは行動データです。人々はさまざまなWebサイトを見たりします。世の中には、われわれの予想に役立つさまざまなシグナルがあります。商売の上では、トランザクションデータが最強のシグナルです。
―― 要するに、時間の経過に沿ってわれわれの購買行動を追うことで、本人よりも詳しく個人の購買動向を理解できる、ということですか? こうしたデータサイエンスは、バイヤーの潜在意識を利用するということでしょうか?
オー氏 その通りです。購買習慣は幾つかのタイプに分類できます。1つは、明確な買い物の意図です。一方、楽しい買い物を期待する人たちは、自分でも気付いていない買い物の意図を持っていることがあります。
多くのマーケティング担当者、とりわけ小売部門では、レイアウトの最適化に多くのコストを投じています。つまり、人々が歩いて通るトラフィックパターンの最適化です。
楽しい買い物体験の提供を目指し、トラフィックパターン最適化の分野では、多くの研究が進められています。買い物の途中に思わぬ発見があれば、買い物の額も増える。「靴を探しているのだけれども……。あら、ここにすてきな靴下があるわ。これも買おうかしら」といった具合です。
当社は、何とかしてコンシューマーの購買意欲を高め、もっとコンシューマーを楽しませて、常に何かしらの商品に目を向けてもらえるようにしたいのです。私は、こうした買い物体験の潜在意識の部分を具現化したいと考えています。
―― 米Amazon.comやクレジットカード会社の取り組みとよく似ているように聞こえます。これらの会社も、ビッグデータのこうした側面を活用しようとしているのでしょうか?
オー氏 はい、それが皆の究極の目標です。私は、ぜひ全ての最高情報責任者(CIO)の皆さんにビッグデータ分析に取り組んでほしいと思っています。ビッグデータ分析は、誇大に宣伝されているわけではありません。
全体としては、われわれは皆、同じような取り組みをすることになるでしょう。ただし、当社は最終的には、ユースケースごとに取り組みを進めることになるはずです。当社は、マーチャントとバイヤーの間に効率的かつ強力なつながりを確立させたいと考えています。
最終回である第4回「PayPalが明かす、非構造化データ活用に必要な3つの要素」は、小規模な企業におけるビッグデータ活用の必要性、オー氏が「Analyst 3.0」と呼ぶビッグデータ分析の将来像などについて語ってもらう。
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