PayPalも活用、消費を伸ばす「トランザクションデータ」PayPalに聞く、ビッグデータ分析の今後【第3回】

取引情報が詰まったトランザクションデータこそが、コンシューマーの購買行動を予想する上での「最強のシグナル」となる。米PayPalの主席サイエンティストは、こう主張する。

2012年11月08日 08時00分 公開
[Linda Tucci,TechTarget]

 第2回「PayPalも苦慮、ビッグデータツールはなぜ使えないのか」では、米電子決済サービスプロバイダーPayPalの主席サイエンティストを務めるモック・オー氏に、PayPalがデータ分析をする動機やビッグデータの活用で可能になること、現状のビッグデータ活用ツールに欠けている要素などについて語ってもらった。今回は、ビッグデータツールを用いて人間の潜在意識に迫る取り組みについて語ってもらう。

―― 具体的には、どのようにしてコンシューマーとマーチャントを結び付けているのですか?

オー氏 例えば、米高級百貨店のNeiman Marcusは、好調な売れ行きを誇っています。同社は、マーケティング費用を適切に使いたいと望んでいます。つまり、コンシューマーにとってよりうれしい情報、より適切な情報を広告で提供したいと考えているのです。PayPalは、そのためのリストを作成できます。当社は、他のどの企業よりもはるかに上手にコンシューマーをターゲティングできます。

 こうした取り組みを「データサイエンス」と呼ぶのは、そこに科学的な要素が含まれているからです。当社には科学分野の優秀なリーダーがおり、学界とも強いつながりがあります。学問の世界では、最新かつ優れた研究が数多く進められています。

 データに関しては、PayPalには素晴らしいデータ、つまり取引に関わるトランザクションデータがあります。思い切って言わせてもらえば、トランザクションデータこそが、コンシューマーの購買行動を予想する上での最強のシグナルとなります。

 純粋なオンラインデータとは違って、トランザクションデータは行動データです。人々はさまざまなWebサイトを見たりします。世の中には、われわれの予想に役立つさまざまなシグナルがあります。商売の上では、トランザクションデータが最強のシグナルです。

―― 要するに、時間の経過に沿ってわれわれの購買行動を追うことで、本人よりも詳しく個人の購買動向を理解できる、ということですか? こうしたデータサイエンスは、バイヤーの潜在意識を利用するということでしょうか?

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