家電や医療機器にも組み込まれるようになったAndroid OS。そのビルドを高速化するツール「ElectricAccelerator」の新版を、Electric Cloud Japanが3月末に販売する。
Electric Cloud Japanは2013年3月4日、ソースコードのビルドを高速化するツール「ElectricAccelerator」の新版を発表した。Android OSのビルドについて、以前のビルド時から変更された部分だけをビルドする「インクリメンタルビルド」を高速化する工夫を盛り込んだ。ビルドに必要なヘッダファイルやライブラリといった依存関係を示すMakefileの解析結果をキャッシュすることで、解析処理の頻度を抑えた。新版は3月末に提供開始。
ソースコード間にある依存関係を精査し、本当に依存関係があるファイルのみをコンパイルやリンクしてビルドするのが、ElectricAcceleratorの基本的な機能だ。Makefileに余分な依存関係が指示されてしまうと、無駄なコンパイルやリンクの作業が発生し、ビルドにかかる時間が増加する。ElectricAcceleratorは、ソースコード自体を解析することで、本当に存在する依存関係だけに絞り込む。
本来は依存関係が存在しないにもかかわらず、依存関係があるとMakefileに指示してしまうケースは「想像以上に多い」と、米Electric Cloudの社長兼CEOであるスティーブ・ブロディ氏は説明する。特にAndroid OSの場合、バージョンアップや機能拡張でソースコードが肥大化した結果、「ビルドや検証を合わせて半日以上かかるケースも珍しくない」という。
Electric Cloud Japanは、ElectricAcceleratorに加えて、ビルドやテスト、リリースのワークフローを定義し、一連の作業を自動化/高速化する開発支援ツール「ElectricCommander」も販売している。両製品を併用することで、「開発業務に占める時間の大半を占めるテスト工程を短縮し、製品をより早く市場に提供したり、テストの回数を増やして品質を高めるのに役立つ」とブロディ氏は強調する。
Electric Cloudのツールは、米Facebookや米Cisco Systemsなど世界250地域200社以上が利用している。国内では直販はせず、日立ソリューションズなどのパートナー経由で販売する。現在はオンプレミスのツールとして販売するが、「2013年にはSaaS形式でも提供する」考えだ。価格はパートナーによって異なるが、ElectricAcceleratorが300万円程度から、ElectricCommanderが900万円程度から。
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