プライバシーポリシーの合意が鍵
自分のスマホはIT部門に監視されている? BYODの“被害妄想”を払拭するには
従業員のプライバシーポリシーは、モバイルワーカーを抱えるあらゆる企業にとって必要だ。企業が従業員を安心させてデータを保護するためには。
いわゆる「スノーデン効果」によって、仕事中のプライバシー保護に不安を感じている従業員が出てきている。業務にモバイルデバイスを使用する従業員は、IT部門によってデバイスの使用状況が常時監視されていると考えるかもしれない。使用しているのが会社所有のデバイスかBYOD(私物端末の業務利用)デバイスかどうかにかかわらずである。ただしIT部門が従業員のデバイスを事細かに監視することはないので安心されたい。少なくとも普通はそんなことは起こらない。
だが、現在はインターネットスパイやハッカーが横行し、ボットがユーザーのあらゆる活動を追跡したり、広告やマーケティング目的でデータを収集したりする時代だ。従業員が少しばかり被害妄想を抱くのも不思議はない。IT管理者は自社のセキュリティ要件や法的要件とバランスを取りながら、従業員のプライバシー確保に四苦八苦することが往々にしてある。
「セキュリティ」と「プライバシー」は同じ意味で使われることが多いが、どちらの用語もはっきりと異なる概念を表している。セキュリティとは、重要情報の機密性を保つ仕組みだ。その仕組みは、モバイルデバイスを含む設備やインフラの物理的な安全に始まり、「認証」「承認」「ファイルとネットワークトラフィックの暗号化」「関連する管理業務や会計業務」へと広がる。そしてプライバシーは、個人情報の機密性が維持され、その情報が指定した個人や組織とのみ共有されることに関する個人の権利や希望を表す。Webの台頭により、事実上プライバシーというものが存在しなくなったのは周知の事実だが、IT部門による監視は従業員にとって深刻な懸念事項だ。
とはいうものの、ユーザーのプライバシーはなくなっていないと仮定して、しばしば引用される重要な法令である「合衆国憲法修正第4条」を見てみよう。この法令では次のように規定されている。「不合理な捜索および押収に対し、身体、家屋、書類および所有物の安全を保障されるという人民の権利は、これを侵してはならない。令状は、宣誓または確約によって裏付けられた相当な理由に基づいてのみ発行され、かつ捜索すべき場所および逮捕すべき人、または押収すべき物件を特定して示したものでなければならない」
プライバシーを規定しているように見えるかもしれないが、ちょっと待ってほしい。憲法で定義されているのは国民と中央政府の関係だ。個人と組織など、さまざまな形式における人と人との関係が定義されているわけではない。顧客と企業の関係も定義されていないため、ユーザーが同意していればWebサイトでユーザーのデータを収集するのも合法ということになる。従業員と企業の関係についても同様だ。
「IT部門に監視される恐怖」をなくす
めったにない例外を除き、雇用主がモバイルデバイスを盗み見たり、従業員の仕事に無関係な活動を監視したりすることはないと断言できるだろう。そして従業員の個人情報と企業データを正式に区別することが肝要だ。この線引きに関して、企業が取れる方法には以下の3つがある。
1.法律の順守
プライバシー法は、世界各国の行政区によって大きく異なる。そのため企業はビジネスでかかわる全ての場所で法規制を順守しなければならない。さらに従業員のプライバシー面で法律に違反しないようにすることも不可欠だ。処罰、罰金、パブリックイメージの低下という非常に手痛い制裁を受ける可能性がある。
2.プライバシーポリシー合意
推奨されるのは、適切な法的支援を受けて会社のプライバシーポリシーを確立し、会社と従業員の間で適切な合意を結ぶという方法だ。従業員には契約社員も含む。このプライバシーポリシーでは、多くのWebサービスと同様の形式で「どのような情報を収集するのか」「会社がどのような用途で情報を使用するのか」について詳しく規定する必要がある。この合意は、ポリシー適用対象の従業員に認可と同意を得るような内容にするといい。また文言は、既存の基本雇用契約に含められるくらい簡潔にしてもよいだろう。というのも、基本雇用契約にもセキュリティ、許容できる用途、BYODに関するポリシーを含めなければならないからだ。
3.管理
運用システムでユーザーのプライバシーポリシーを強化する必要もある。企業のEMM(エンタープライズモビリティ管理)サービスは、全てのデバイスで、関係ないデータを無視しつつ、企業のセキュリティポリシーにおいて機密情報と定義された全てのデータをコンテナ化しなければならない。またIT部門は、企業のコンテナに存在しない情報のバックアップを取ったりコピーしたりしてはならない。さらに力ずくでBYODデバイスをワイプすることもご法度だ。
プライバシー法は今も進化し続けている。従業員は、IT部門によってプライバシーが適切に保護されていると考えて差し支えないだろう。
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