医用画像における読影効率やワークフロー連携の強化、標準規格に準じた“地域医療情報連携”を推進するためのソリューションの開発・提供に取り組む。
GEヘルスケア・ジャパンは4月8日、2013年の戦略発表と新製品群を発表した。“在宅医療ソリューションモデル”の構築と医療連携を推進するプロジェクトなどに取り組むという。
GEヘルスケア・ジャパン 代表取締役社長 兼 CEO 川上 潤氏は、「日本は、前例がない超高齢社会を一番早く迎えた“課題先進国”。当社は、超高齢社会における医療の在り方を変える“ヘルスケアカンパニー”として、日本の医療システムの変革を支援。日本の持つ強みを生かした製品開発を進め、それをグローバルに展開していく」と語った(関連記事:超高齢化社会のヘルスケア分野に注力 GEヘルスケア・ジャパンの成長戦略)。
GEヘルスケア・ジャパンは2010年から、高齢者のQOL(Quality Of Life)向上を支援する取り組み「Silver to Gold」戦略を進めている。川上氏によると、2013年は以下の3分野に注力するという。
疾患アプローチでは、認知症やアルツハイマー、肝臓疾患、リウマチ・関節症、骨粗鬆症など高齢患者が多い慢性疾患における早期診断・早期治療を支援することに取り組む。IJFGでは、圧迫感や騒音の軽減、検査時間の短縮、低被ばくなど、侵襲がより少ない患者に優しい治療支援装置の開発・提供を進める。
さらに、病院完結型医療から地域連携型医療へのシフトを見据えて「モバイル型医療機器の開発」「ドクターカー実験や高齢者見守りサービスなどの“在宅医療ソリューションモデル”の構築」に取り組むという。同社は2012年6月、青森県と共同で「ヘルスプロモーションカーモデル実証プロジェクト」を開始している。このプロジェクトでは、携帯可能な小型医療機器を搭載した小型ドクターカーを東通村保健福祉センターに配備し、過疎地における保健、医療、福祉包括ケアの提供に向けた新たな医療モデルの実証実験を行っている。
ヘルスケアITの取り組みとして、GEヘルスケア・ジャパンは2013年に「医療ITイノベーション3カ年プロジェクト」を開始した。このプロジェクトでは、医療コミュニティー全体と、病院内の診療部門や検査部門に存在する課題やニーズを見据え、それに対応する医療連携を推進するためのソリューションの提供を目指している。現在、グローバルの開発チームを組織しており、日本でも専任チームが国内の顧客ニーズを製品開発に反映しているという。
また、3年間の製品ロードマップとして「医用画像における読影効率や臨床部門の連携」(2013年)、「オーダー連携や画像・文書の統合管理による“ワークフロー連携の強化”」(2014年)、「標準規格に準じた“地域医療情報連携”」(2015年)を進めることを公表。
このロードマップに基づき、同社は2013年3月、放射線科の読影医向けビュワー「Centricity Universal Viewer」と、院内外での医療情報の共有を支援する統合管理・参照ツール「Centricity Clinical Archive」を販売開始した。
Centricity Universal Viewerは、読影専用や配信用など、機能が特化されていた複数の専門ビュワーを統合したソフトウェア。同社によると、「全てのユーザーが同じインタフェースやツールを共有可能とすることで、読影医の読影効率の向上、臨床医との情報連携強化を支援する」という。また、ユーザーが好む画像の配置を学習する「スマートリーディングプロトコル」機能を搭載。これによって、画像を並べ替えるためのマウスの移動距離やクリック回数を減らすことで、日々大量の読影を行う読影医の作業負担を軽減するとしている(関連記事:2D/3D画像を同時に表示可能な読影医向け統合ビュワー、GEヘルスケア)。
Centricity Clinical Archiveは、医療情報を地域に分散して格納する仕組みを規定する「XDS」(Cross-Enterprise Document Sharing:施設間文書共有)に準拠。同社によると、これまで個別のシステム上で保管・管理していた医用画像や患者・検査情報、紹介状などの情報を統合管理できるという。また、患者ごとに時系列や診療科横断で一覧参照できるビュワー「XDS Consumer」を備えている。
同日、GEヘルスケア・ジャパンは多目的X線撮影装置の最上位機種「Discovery IGS 730」、MRIの最新モデル「Brivo MR335 Inspire 1.5T」、臨床用CTの最新モデル3機種をラインアップした「Optima CT660」シリーズを2013年4月8日から販売開始することも発表した。
Discovery IGS 730は、血管内治療と外科手術を実施するハイブリッド手術室への設置を対象にした、自動走行可能な血管造影撮影法(アンギオ)装置。同社によると、従来の床置き式と天吊り式のアンギオ装置の利点を統合し、患者に優しい清潔な環境で低侵襲のインタベーション(IVR)と低侵襲外科治療の両手技を実施することを支援するという。
Brivo MR335 Inspire 1.5Tは、中小規模の病院やクリニック、検診センターにおけるルーティン検査向けのMRI。同社が2013年2月に発売した「Optima MR360 Advance 1.5T」と同様、患者の不安感を和らげるケアリングデザインを採用し、患者テーブルを49センチの高さまで降下できるなど、高齢者や身体の不自由な患者に配慮。また、造影剤を使用しない血管撮像ソフトウェア「InhanceSuite」などによって患者への負担を軽減する。
臨床用CTの最新モデルは「Optima CT660 Discovery Edition」「Optima CT660 Pro Advance」「Optima CT660 Advance」の3機種。国内の医療機関の声を基に日本で開発・製造した製品で、臨床現場のニーズにきめ細かく応える機能を追加したハイエンド臨床装置だという。
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