英国自治区のカウンシルが職員のテレワークを支援し、コストの削減とIT・業務部門間の関係改善を実現した事例を紹介する。
ソリフル都市自治区のカウンシル(自治体)は、果敢にBYODを導入した公共機関の1つであり、同カウンシルのCIOは間違いなくBYODを奨励している。
最近、英国の公共機関でIT管理に携わる職員のための専門団体Socitm(The Society of Information Technology Management)の委員長に任命された、同カウンシルのCIO、スティーブ・ハリデイ氏は「カウンシルには多数の職員がいるが、皆、モバイル端末を所有していて、個人のメールチェックに使っていた」と振り返る。
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「職員からは自分の端末を使って業務関連のメールを受信したいという要望があったが、情報セキュリティの観点から最近まで対応できなかった。その後、BYOD市場が十分に進化してきたので、チャンスを逃すまいと飛びついた」とハリデイ氏は語る。
この自治体には約3000人の職員がいて、年間予算は1億5000万ポンド。税金から学校教育に至るまで、地方行政サービス全般を地元住民に提供している。
ソリフルカウンシルは2011年、事務所の総面積、コスト、CO2排出量を2016年までに30%削減することを決定。テレワークをこのグリーンイニシアチブの鍵とした。
ソリフルカウンシルはまず、自宅での私物端末の業務利用(Yodah:your own device at home)ポリシーを採用して、職員にカウンシルが用意したテクノロジーを使って役所のネットワークに接続し、リモートで仕事をすることを奨励した。しかしこれは、私物端末を職場で利用することを防ぐことにはならなかった。
「私物端末を役所のネットワークに接続することはできなかったが、問題はアクセス制限をすればするほど、ユーザーは巧妙に抜け道を探すということだ。例えば、メールを個別にGmailやYahoo!のアカウントに転送して、私物端末で作業をするといった具合だ。確かに、一括転送はブロックできるが、個別のメールの転送を阻止する手段はない。対抗すればするほど、リスクが高くなる」とハリデイ氏は説明する。
ソリフルは当初、米Microsoftのソリューションを導入したがハリデイ氏が満足できる使い勝手ではなく、すぐに代わりのソリューションを探すことになった。
「最初のMicrosoftのソリューションは、ユーザーインタフェースは使いにくく、BYODソリューションで最も重要なウイルス対策機能についても、ウイルス対策ソフトウェアとしてはごく一部の機能しかなかった。次に選んだソリューションは、この点がはるかに充実していた」とハリデイ氏は話す。
ハリデイ氏から適切なテクノロジーを探すよう指示された、ソリフルのIT運用マネジャーを務めるヒラリー・ステイトン氏は、米Juniper Networksが最適だと判断した。
「スタッフのアジリティが格段に上がっていたので、ハードウェアも含めて資産を最大限に生かせる方法を探していた」とステイトン氏は語る。「次のネットワークパートナーが、ソリフルの2016年の目標に沿ってBYODのレベルを次の段階に引き上げられるかどうかが重要だった」
「非常に安全で、カウンシルの全てのサービスと統合でき、何よりも多用なデバイスが混在するIT環境に適応するソリューションが必要だった。Juniperは間違いなくこれらの要件を満たしていた。現在、ソリフルではJuniper Networks SA4500 SSL VPNアプライアンスを数台導入し、職員のリモートアクセスに使っている」とステイトン氏は説明する。
システムの導入が完了すると、職員の反応は上々だった。しかも、当初計画していた以上のメリットが得られた。「金銭的なメリットも確かにあるが、ノートPCであれ、デスクトップPCであれ、iPadであれ、デスクトップハードウェアに費やされるIT関連費はわずか4〜5%だ。そのうちの数パーセントを削減できても、実際の削減額は微々たるものにすぎない」とハリデイ氏は語る。
むしろ、本当に変化したのは職員、上層部、IT部門間の関係だとハリデイ氏は考えている。
「ユーザーがピカピカのおもちゃを持っているのにIT部門がその使用を禁止したら、ユーザーとの間に壁ができ、ユーザーは何らかの抜け穴を探すだろう。“皆さんのご希望のものを用意しています”と言えば、もっと良好な関係を築ける」
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