医師不足や病院経営の悪化などで疲弊状態にあるという「地域医療」。再生計画事業や補助金を受けて各地域で医療再生の取り組みが進められている。地域医療に関するエキスパートがその取り組みを解説した。
地域における医療課題の解決を図る「地域医療再生計画」の支援を目的として設置された「地域医療再生基金」。2009年(平成21年)度第一次補正予算での「各都道府県の2つの二次医療圏の事業支援(5年間)」を皮切りに、2010年度以降は三次医療圏や東日本大震災の被災地、47都道府県全域などを対象として予算金額を拡充してきた。二次医療圏を対象とした最初の事業は2013年度末で区切りを迎える。各地域の医療再生の取り組みは成功したのだろうか。
本稿では、自治医科大学 地域医療学センター長、梶井英治氏が、2014年2月15日に岩手県が開催した「地域医療再生シンポジウム 〜岩手の今、日本の明日〜」の基調講演「日本の医療の現状・地域医療の再生における課題」で語った内容を踏まえ、地域医療再生の現状や今後の施策の方向性などを整理する。
梶井氏は、厚生労働省の「地域医療再生計画に係る有識者会議」の議長を務めており、地域医療の研究や地域医療の充実に向けた啓発活動に取り組んでいるエキスパートだ。基調講演では、地域医療の再生における課題とともに地域医療を活発化させた事例を紹介。地域医療体制の確保や拡充に向けて必要な要件を提言した。
地域医療の崩壊とは、地域内で安定的・継続的な医療提供体制が成り立たなくなる事態を指す。梶井氏はその主な要因として以下の5項目を挙げた。
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