公共インフラのシステム構築を多く手掛けてきたNTTデータ。同社はパッケージが主体となりがちなシステム提案において、「小さく生んで大きく育てる」というアプローチで地域医療連携に取り組んでいる。
官公庁や金融業向けシステム開発で多くの実績を持つNTTデータ。社会インフラの整備に携わってきたSIerの1つである同社は2000年以降、オーダリングや電子カルテなどの医療情報システムの導入支援に注力してきた。
地域医療連携に関して、NTTデータは2010年から地域医療のインフラとなる「医療情報連携プラットフォーム」とそのプラットフォーム上で稼働する「医療連携アプリケーション」などを医療機関や自治体に提案し、その普及に取り組んでいる。
医療情報連携プラットフォームは、複数医療機関の情報共有を実現するクラウド技術を活用した情報連携基盤だ。「統合化エンジン」を介したデータ交換処理によって、医療情報システム間でフォーマットが異なる医療情報を連携させる。各医療機関は既存の情報システムを使用しながら地域医療連携に参加できる。また、このプラットフォームでは、シングルサインオンやアクセス制御機能、患者ID連携機能なども提供している。
さらに、同社はそのプラットフォーム上で稼働する医療連携アプリケーションを開発している。その1つに同社が2010年7月に開発した「慢性疾患管理プログラム」がある。これは、地域の医療機関が慢性疾患の患者の診療方針や検査情報を共有することで、適切な時期に適切な治療を提供して患者の重症化を予防するというものだ。
具体的には、糖尿病や慢性腎臓病などの慢性疾患の重症度を評価する指標を設定し、その項目によって地域全体の患者を層別化する。検査値に異常が現れた場合は、システムが自動的に検知し、すぐに患者の疾病の状態に応じた処置を実施する。既に千葉県の「わかしお医療ネットワーク」などで採用されている。
NTTデータのライフサポート事業本部医療事業部第一医療システム統括部 医療ソリューション担当医療連携G課長の田中智康氏は「厚生労働省や経済産業省の主導により医療情報システムの標準化作業が進められるとともに、医療再生基金の設置など金銭的な面での導入支援策も講じられている。その結果、医療機関におけるシステム導入はかつてないほどの盛り上がりを見せている」と現状を説明する(関連記事:医療再生を支援する地域医療連携システム、2020年の市場規模は240億円)。
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