米Microsoftとの長期契約を活用し、IT導入を進めてきた英Paul Smith。同社は次の展開としてプライベートクラウドの構築に着手した。同社CIOのビンガム氏にIT戦略を聞いた。
リー・ビンガム氏は、ファッションブランドの英Paul SmithでIT部門の責任者を務めている。彼の部門には15人のメンバーが所属し、英ノッティンガムの本社からグローバル規模でビジネスをサポートしている。
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同社ITシステムの一元管理モデルは3層構造から成り、本社と英国にある同社のデータセンターが第1層。仏パリ、伊ミラノ、米ニューヨーク、日本の東京など、ファッションの中心地にある支店が第2層。同社の35店舗の小売店が第3層を構成する。
同社は、IT部門の応答性と運用効率の向上を目的としたハイブリッドクラウド戦略の一環として、米Microsoftの一連のサーバ製品を使用している。
Computer Weeklyがビンガム氏に初めてインタビューしたのは10年前。同社がWindows 2000からWindows Server 2003に移行したときのことだ。それから10年、同氏はMicrosoft Azureの導入へと歩みを進めている。Paul SmithはMicrosoftと長期エンタープライズ契約を交わしている、と同氏は話す。
同社は、12年にわたるMicrosoftとの連携で、Microsoftのサーバインフラの標準化を行ってきた。「現在の環境は安定している。この環境を基準にして、時間をかけて比較していく」とビンガム氏は話す。
これまでのITはオーダーメードだったが、業界標準のツールも利用可能になってきた。ハイブリッドアーキテクチャでITサービスを社内に提供する場合のコスト効率は、こうしたツールを利用することでベンチマーク測定できるだろうと同氏は考えている。同氏は、社内スコアカードを使ってITがビジネスにもたらす価値を測定しながら、Paul SmithのIT部門を世界レベルに引き上げることを目指している。
優先度が高いのは運用効率だ。同氏によれば、Microsoft System Center 2012 R2とWindows Server 2012を使用することで、サーバインスタンス1つ当たり数千ポンドのコストを削減できるという。
「アジリティと継続的なイノベーションも大きな測定基準であり、先を見越した行動が必要だ」
この10年でITの役割は変化し、ビジネス戦略を実現する手段になったと同氏は言う。
「ITはかつて必要悪だった。誰もがITを必要としていたが、Paul Smithのビジネスにとっては戦術的なサービスだった。現在はこれが大きく変化し、ITはビジネスを成長させるための戦略的なサービスとなった」と同氏は述べる。「ITは、ビジネスにとっても、戦略的支持者や実行者にとっても、非常に重要な要素になっている」
例えば、Eコマースはビジネスに不可欠となったが、それを促進している原動力はITだ。Paul SmithではWebとEコマースを戦略的チャネルと見ている。
Paul Smithのクラウドへの歩みは、Windows Server 2008 R2への移行後、プライベートクラウド用に新しいアーキテクチャを構築する必要が生じたことから始まった。
「動的で、柔軟性が高く、コスト削減できるものを求めており、SOA(サービス指向アーキテクチャ)も希望していた。そこで、利用可能なクラウドモデルとMicrosoft製品の検討を始めた」とビンガム氏は話している。
多くの企業と同様、Paul Smithでも物理ITインフラから仮想環境に移行して、コスト削減を実現してきた。Microsoftのクラウドコンピューティングへの取り組みは、2005年にインターネットベースのメールセキュリティサービス企業、米FrontBridgeを買収したことに始まる。Paul SmithではExchangeをサポートするインフラの一部として、Microsoftのオンラインメッセージフィルタリングサービスを使用している。
「ビジネスの要件が頻繁に変化するようになり、確実かつ迅速なITの提供が必要になっている。クラウドは、コストの管理や俊敏さと応答性の向上に役立つ」と同氏は話す。「例えば、ビッグデータのセットをAzureクラウドに配置すれば、サービスの提供先の選択肢が大きく広がる」
ビンガム氏は、Paul SmithのSOAとハードウェアを将来のビジネス戦略をサポートできるものにするとして、次のように述べた。
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