米Microsoftとの長期契約を活用し、IT導入を進めてきた英Paul Smith。同社は次の展開としてプライベートクラウドの構築に着手した。同社CIOのビンガム氏にIT戦略を聞いた。
リー・ビンガム氏は、ファッションブランドの英Paul SmithでIT部門の責任者を務めている。彼の部門には15人のメンバーが所属し、英ノッティンガムの本社からグローバル規模でビジネスをサポートしている。
本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 5月7日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。
なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。
同社ITシステムの一元管理モデルは3層構造から成り、本社と英国にある同社のデータセンターが第1層。仏パリ、伊ミラノ、米ニューヨーク、日本の東京など、ファッションの中心地にある支店が第2層。同社の35店舗の小売店が第3層を構成する。
同社は、IT部門の応答性と運用効率の向上を目的としたハイブリッドクラウド戦略の一環として、米Microsoftの一連のサーバ製品を使用している。
Computer Weeklyがビンガム氏に初めてインタビューしたのは10年前。同社がWindows 2000からWindows Server 2003に移行したときのことだ。それから10年、同氏はMicrosoft Azureの導入へと歩みを進めている。Paul SmithはMicrosoftと長期エンタープライズ契約を交わしている、と同氏は話す。
同社は、12年にわたるMicrosoftとの連携で、Microsoftのサーバインフラの標準化を行ってきた。「現在の環境は安定している。この環境を基準にして、時間をかけて比較していく」とビンガム氏は話す。
これまでのITはオーダーメードだったが、業界標準のツールも利用可能になってきた。ハイブリッドアーキテクチャでITサービスを社内に提供する場合のコスト効率は、こうしたツールを利用することでベンチマーク測定できるだろうと同氏は考えている。同氏は、社内スコアカードを使ってITがビジネスにもたらす価値を測定しながら、Paul SmithのIT部門を世界レベルに引き上げることを目指している。
優先度が高いのは運用効率だ。同氏によれば、Microsoft System Center 2012 R2とWindows Server 2012を使用することで、サーバインスタンス1つ当たり数千ポンドのコストを削減できるという。
「アジリティと継続的なイノベーションも大きな測定基準であり、先を見越した行動が必要だ」
この10年でITの役割は変化し、ビジネス戦略を実現する手段になったと同氏は言う。
「ITはかつて必要悪だった。誰もがITを必要としていたが、Paul Smithのビジネスにとっては戦術的なサービスだった。現在はこれが大きく変化し、ITはビジネスを成長させるための戦略的なサービスとなった」と同氏は述べる。「ITは、ビジネスにとっても、戦略的支持者や実行者にとっても、非常に重要な要素になっている」
例えば、Eコマースはビジネスに不可欠となったが、それを促進している原動力はITだ。Paul SmithではWebとEコマースを戦略的チャネルと見ている。
Paul Smithのクラウドへの歩みは、Windows Server 2008 R2への移行後、プライベートクラウド用に新しいアーキテクチャを構築する必要が生じたことから始まった。
「動的で、柔軟性が高く、コスト削減できるものを求めており、SOA(サービス指向アーキテクチャ)も希望していた。そこで、利用可能なクラウドモデルとMicrosoft製品の検討を始めた」とビンガム氏は話している。
多くの企業と同様、Paul Smithでも物理ITインフラから仮想環境に移行して、コスト削減を実現してきた。Microsoftのクラウドコンピューティングへの取り組みは、2005年にインターネットベースのメールセキュリティサービス企業、米FrontBridgeを買収したことに始まる。Paul SmithではExchangeをサポートするインフラの一部として、Microsoftのオンラインメッセージフィルタリングサービスを使用している。
「ビジネスの要件が頻繁に変化するようになり、確実かつ迅速なITの提供が必要になっている。クラウドは、コストの管理や俊敏さと応答性の向上に役立つ」と同氏は話す。「例えば、ビッグデータのセットをAzureクラウドに配置すれば、サービスの提供先の選択肢が大きく広がる」
ビンガム氏は、Paul SmithのSOAとハードウェアを将来のビジネス戦略をサポートできるものにするとして、次のように述べた。
本記事は抄訳版です。全文は、以下でダウンロード(無料)できます。
■Computer Weekly日本語版 最近のバックナンバー
Computer Weekly日本語版 4月16日号:クラウドの活用を阻むIT部門
Computer Weekly日本語版 4月2日号:中古ソフトウェア販売は著作権侵害か?
Computer Weekly日本語版 3月19日号:新CEOは迷走するMicrosoftを救えるか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IBM i 基幹システムを運用する企業でモダナイゼーションが喫緊の課題となる中、推進の課題も多い。そこで、「クラウド」「ノーコード開発」「API」「AI」を主軸とするIBM i ユーザー向けモダナイゼーションサービスを紹介する。
小売業界にとって、顧客体験(CX)、従業員体験(EX)の向上ならびにDX推進は重要度の高い課題である。多拠点、多店舗、他業態を展開する小売業でCXとEXをグローバルに向上する次世代のリテールコマースプラットフォームとは。
ロッテはシステムのAWS移行を進める中、DX推進の鍵は内製化比率の向上にあると考え、内製化の強化に踏み切った。本資料では、内製化の実現に向け、支援を受けながら、初めて取り組んだAWS開発と人材育成を成功させた事例を紹介する。
大容量データの送受信には、通信遅延や帯域制限の課題がある。本資料では、高速で安全なデータ送信を実現できるファイル転送プラットフォームを紹介する。導入時に気になるポイントとともに、料金プランも分かりやすく解説している。
SaaSの利用が拡大する中、ベンダー側と企業側の両方がさまざまな課題を抱えている。ベンダー側は商談につながるリードが獲得しにくいと感じており、企業側は製品の選定に困難さを感じているという。双方の課題を一掃する方法とは?
「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...