ソニーは「Mobile World Congress 2016」で、3つの新しいミッドレンジスマートフォンモデル「Xperia XA」「Xperia X」「Xperia X Performance」を発表した。実機インプレッションを紹介する。
ソニーはとっておきを隠しておくのが得意なようだ。スペインのバルセロナで開催された「Mobile World Congress 2016」(MWC 2016)では、3つの新しいミッドレンジスマートフォンモデル「Xperia XA」「Xperia X」「Xperia X Performance」を発表し、参加者を驚かせた。
これらの3モデルはいずれも「Xperia Z」シリーズを踏襲し、同じ角ばったデザインをしている。ディスプレイは5インチで、「Android OS 6.0」を搭載しているのも3モデルに共通している。相違点は、Xperia XとXperia X Performanceのカメラが「Xperia Z5」と同様に2300万画素なのに対し、Xperia XAのカメラは1300万画素しかないことだ。
また、Xperia XとXperia X Performanceのボディーは金属製(Xperia X Performanceはヘアライン仕上げ)だが、簡素なXperia XAはプラスチック製だ。ディスプレイについても、Xperia XとXperia X Performanceは1080フルHD、Xperia XAは720 HDという違いがある。なお、ディスプレイの端は、3モデル共に少し丸みのある作りになっている。このような加工は、高級スマートフォンや高性能ミッドレンジデバイスに限って見られる特徴だ。
CPUとメモリの仕様についても紹介しよう。エントリーモデルであるXperia XAが備えているのはMediaTek製オクタコア「MT6755」プロセッサと2GBのRAM、Xperia XはQualcomm製ヘキサコア「Snapdragon 650」プロセッサと3GBのRAMだ。Xperia X Performanceは最新のQualcomm製「Snapdragon 820」と3GBのRAMを搭載しており、その性能はソニーの現在の主力モデルであるXperia Z5に匹敵する。
MWC 2016でXperiaの全3モデルを試した印象は、なかなか良いものだった。Xperia X Performanceについては、LGの「LG G5」、Samsung Electronicsの「Galaxy S7」「Galaxy S7 edge」など、MWC 2016で展示されていた他社の主力モデルの評価に紙一重で迫るほどのスマートフォンといえよう。だが、LG G5が採用した革新的なデザインや、Galaxy S7 edgeが搭載したSamsung最新の高級ディスプレイなどに比肩する呼び物は、Xperia X Performanceにはない。
Xperia X Performanceはヘアライン仕上げの金属製で、淡い色合いと相まって非常にモダンな外観で、パフォーマンスも兼ね備えている。デザインを除いてXperia Z5と同等の性能を備えているのがうれしい。Xperia Z5のパフォーマンスの滑らかさ、ディスプレイ品質、カメラ性能は称賛に値するものだからだ。
Xperia Xも魅力的なスマートフォンだ。手触りの良い金属製でコンパクトなボディーは、ミッドレンジ市場で最も洗練された外観のスマートフォンの1つといえるだろう。Xperia XのディスプレイとカメラはXperia X PerformanceおよびXperia Z5と同等だが、全体的な処理能力の点では及ばないことがはっきりと感じられた。
といっても、Xperia Xのパフォーマンスに問題があるわけではない。日常的なタスクであれば快適にこなせるだろう。同じことがXperia XAにもいえる。ただし、Xperia XAの場合、多くのリソースを必要とするアプリやサイトを利用して負荷が掛かると限界が見えてくる。この処理能力が足りない分の魅力を補っているのがデザインだ。Xperia XAは、明るいカラーバリエーション、プラスチック製の頑丈な本体、スリムな縁のディスプレイなどでMWC 2016の参加者を魅了した。写真の品質が上位モデルのXperia X、Xperia X Performanceに及ばないことが唯一少し気掛かりな点だろう。
ソニーが主力モデルに匹敵するミッドレンジスマートフォンを発表したのはうれしい出来事だ。新しいXperiaの3モデルにはスマートフォンとしての目新しさはなく、VR対応の曲面ディスプレイを搭載していないかもしれない。だが、さまざまなタスクに使用するベーシックなスマートフォンとしては、高評価なモデルといえよう。
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