「無料」とは限らない点に注意
「モバイルデバイス管理」(MDM)のOSS製品と商用製品の違いは?
スマートフォンやタブレットを管理する「モバイルデバイス管理」(MDM)製品の選定に当たって、見逃せないのがオープンソースソフトウェア(OSS)製品の存在だ。そのメリットと課題を整理する。
オープンソースソフトウェア(OSS)は、IT部門にとって商用のプロプライエタリソフトウェアと比べると手が掛かる。ただし必要なリソースに投資する意思があれば、組織特有のニーズに応えることが可能だ。
選択肢は非常に限られているものの、OSSのモバイルデバイス管理(MDM)製品は複数存在する。組織がOSSに取り組む価値があると判断すれば、OSSのMDM製品について複数の選択肢を検討できる。
OSSのメリット
OSSのMDM製品は無料で利用できることに加え、組織特有のニーズに従ってカスタマイズができる。場合によっては社外の開発者の力を借りて、コード内の潜在的な問題の発見を助けてもらったり、革新的な発想を取り入れたりすることもできる。
OSSのコードは広く普及しているプログラミング言語で構築される傾向があり、比較的簡単に他のシステムに組み込むことができる。ただしそれが保証されているわけではない。
商用製品には付きもののライセンスの制限に悩まされにくいのも、OSSの利点だ。OSSに適用されるライセンスに従っていれば、組織がそのOSSをベースにした製品を商用化することさえできる。
OSSのMDM製品の課題
IT部門にとって、積極的にメンテナンスされていない製品の使用にはリスクが潜む。そうした製品は、表面からは見えない部分にセキュリティホールが隠れている可能性がある。
新技術や新しいモバイルデバイスが登場し続ける中で、動きの少ない製品は、性能や互換性の問題に見舞われることもある。そうした製品では、IT部門が他の助けを借りずに、コード全体のトラブルシューティングや修正、テストをしなければならない。製品をカスタマイズした場合、テストを通じて、自社が求める性能やセキュリティの条件を満たしているかどうかを確認する必要もある。
OSSのMDM製品は、必ずしも無料で利用できるとは限らない。カスタマイズや導入、メンテナンス、他のシステムとの連携のために、高いコストを払って専門家の助けを借りなければならないこともある。加えて製品の保守サポートにはサブスクリプション料金がかかる可能性がある。ただし保守サポートが存在していればの話だ。
一般的にOSS製品は、商用製品と比べてマニュアルなどのドキュメントが少ない。その分、IT部門が導入プロジェクトに費やさなければならないリソースは増える。一方で幅広い組織が導入しており、何千人もが開発に貢献し、大規模なユーザーコミュニティーが存在するOSS製品は、商用製品並みの信頼性や安定性、セキュリティを保つことができる。
保守サポートやサービス品質保証契約(SLA)、適切なドキュメントが付属する、商用MDM製品やエンタープライズモバイル管理(EMM)製品を使い続けることを好む組織は少なくない。一般的にベンダーは自社製品をさまざまな環境でテストする。商用製品は複数のモバイルOSを管理対象にでき、機能もOSS製品より多い傾向がある。
OSSのMDM製品の選択肢
WSO2が提供するOSSのEMM製品「WSO2 Enterprise Mobility Manager」は、Googleの「Android」とAppleの「iOS」、Microsoftの「Windows」搭載デバイスを管理できる。私物デバイスの業務利用(BYOD)と、業務用デバイスの私的利用の双方で利用可能だ。他の包括的なEMM製品と同様、MDMの機能に加え、モバイルアプリケーション管理(MAM)機能も提供する。
Teclib'が提供するOSSのMDM製品「Flyve MDM」は、Androidデバイスのセキュリティ対策と管理に利用できる。IT部門はWeb管理画面から、アプリケーションのインストール/アンストールや管理対象デバイスからのセンシティブなデータの削除ができる。パスワードの複雑性に関するルールの規定、デバイス暗号化の有効化、遠隔操作によるデバイスのロックといったタスクも実行可能だ。
Flyve MDMは有望な選択肢に思えるが、Android以外のOSは管理対象にしておらず、WSO2 Enterprise Mobility Managerほどの手堅さはない。コード共有サービス「GitHub」でのWSO2 Enterprise Mobility Managerの存在感の高さは、OSSコミュニティーがFlyve MDMよりもWSO2 Enterprise Mobility Managerの方に高い期待を持っていることを物語る。
他のOSSのMDM製品には「Commandment」「MicroMDM」などがある。管理可能なのはCommandmentがiOSまたは「macOS」の搭載デバイス、MicroMDMがmacOS搭載デバイスのみで、Commandmentはドキュメントが比較的少ない。
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