主要な認証手段として広く利用されているにもかかわらず、パスワードはセキュリティインシデントの元凶となる存在だ。どのような攻撃やエンドユーザーの行動がセキュリティを脅かすのか。
パスワードはユーザー認証の方法として広く使われているが、さまざまな攻撃や不正アクセスを引き起こす、セキュリティインシデントの元凶でもある。通信事業会社Verizonがまとめた「2019 Data Breach Investigations Report」(2019年度データ漏洩/侵害調査報告書)によると、不正アクセスが絡む情報流出の約80%が、パスワードなど認証情報の盗難や使い回しに関連しているという。
パスワードはそれほど危険であるにもかかわらず、なぜいまだに使われ続けているのだろうか。代替手段は存在する。しかしその場合はどれくらいセキュリティを強化できるのか、どれくらいのコストが必要なのか、ユーザーにとってどれくらい使いやすいものなのかなど、検討すべき事項は山積みだ。
パスワードの最小文字数を決めることから、定期的なパスワードのリセットを義務付けることまで、代替手段を利用しなくてもパスワード認証のセキュリティを強化できる方法は存在する。
パスワードにはセキュリティリスクが付きまとう。例えば「ブルートフォース攻撃」(総当たり攻撃)は、何通りものIDとパスワードの組み合わせを入力することにより認証突破を試みる。「キーロガー攻撃」は、デバイスのキー入力を監視するためのマルウェアを利用してIDとパスワードの組み合わせを推測する。人の心理的な隙を狙って秘密情報を入手する手法である「ソーシャルエンジニアリング」によってログイン情報をだまし取ろうとする「フィッシング攻撃」にも、パスワード漏えいのリスクがある。
パスワードの安全性が低下する原因は何だろうか。
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