“あのファイル”がないとマルウェアが実行可能に macOSにあった脆弱性の正体macOSに見つかった2つの脆弱性を検証する【前編】

2021年に明らかになった「macOS」の脆弱性「CVE-2021-30657」。その仕組みはどのようなものだったのか。AppleのOSに詳しいセキュリティ専門家の話を基に解説する。

2022年07月09日 05時00分 公開
[Shaun NicholsTechTarget]

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 非営利団体Objective-See Foundationの創設者で、AppleのOSを専門とするセキュリティ研究者パトリック・ウォードル氏は2022年6月6日(米国時間)、セキュリティのカンファレンス「RSA Conference 2022」に登壇。「macOS」の脆弱(ぜいじゃく)性「CVE-2021-30657」「CVE-2021-30853」について語った。この2つの脆弱性は、企業にどのような脅威をもたらすのか。

“あのファイル”がないとセキュリティチェックを回避――そのファイルとは?

 ウォードル氏によると、攻撃者がCVE-2021-30657およびCVE-2021-30853を悪用すると、アプリケーションの不適切な動作を引き起こすことが可能になる。

 CVE-2021-30657は、アプリケーションから「Info.plist」ファイル(アプリケーションの構成情報を記入するファイル)を除外するだけで、macOSが通常実行するセキュリティチェックを回避可能にする。ウォードル氏は、特定のアプリケーションにInfo.plistファイルを含めなければ、そのアプリケーションがAppleのマルウェア検知ツールの対象から外れることを発見したと言う。

 ウォードル氏によると、macOSがアプリケーションを実行するプロセスに問題がある。Info.plistファイルを含まないアプリケーションは、実行時にセキュリティチェックの対象にならない。つまり「アプリケーションにInfo.plistファイルがなければ、macOSは『問題なし』と判断する」(同氏)というわけだ。その結果、macOSを狙ったマルウェアが実行可能になる。

 2021年には、CVE-2021-30657を「ゼロデイ脆弱性」(ベンダーからセキュリティ更新プログラムが提供される前の脆弱性)として悪用した攻撃があったとウォードル氏は述べる。その後、AppleはCVE-2021-30657とCVE-2021-30853を修正した。


 後編は、CVE-2021-30853に焦点を当てる。

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