ディープフェイク攻撃は政治家や芸能人にとどまらず、最近は企業にも被害が広がっている。対抗するためには、まず仕組みを知る必要がある。ディープフェイクの要点をまとめた。
攻撃者が仕事上の関係者や著名人になりすまし、相手をだます捏造(ねつぞう)映像「ディープフェイク」。深層学習(ディープラーニング)技術を利用して偽(フェイク)の情報を発信することから、その名が付いた。
近年は深層学習技術の進化とともに、ソーシャルメディアには個人情報があふれ、攻撃者にとってディープフェイク攻撃を仕掛けるハードルが下がっている。特にロシアによるウクライナ侵攻に伴い、ウクライナの政治家になりすましたディープフェイク攻撃が活発化するようになった。
企業にとってもディープフェイクは注意すべき脅威だ。セキュリティ専門家によれば、ディープフェイク攻撃を仕掛ける攻撃者の標的が、企業にも拡大。標的企業の従業員に不正決済をさせたり、機密情報を盗んだりするといった攻撃が発生している。
米紙『Wall Street Journal』(WSJ:ウォール・ストリート・ジャーナル)によると、2019年に発生したあるディープフェイク攻撃では、攻撃者が大手エネルギー企業の最高経営責任者(CEO)になりすまし、子会社のCEOに24万3000ドルを送金させた。この攻撃では、攻撃者は人工知能(AI)技術を使った音声合成ソフトウェアを利用し、本物の本社CEOにそっくりの声で会話をしたという。被害者になった子会社のCEOは「あまりにもリアルで詐欺には気付かなかった」と語る。
AIをはじめとした技術が進化を続けるにつれ、ディープフェイク攻撃による被害が広がる可能性がある。企業はまず、ディープフェイク攻撃はどのような仕組みなのかを把握し、自社も被害者になるリスクを認識することが重要だ。それを踏まえ、ディープフェイクにだまされないための行動について社内に通知し、従業員のトレーニングに取り組まなければならない。
中編は、ディープフェイク攻撃の種類を解説する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
Metaに潰されないために残された生き残りの道は?――2025年のSNS大予測(Snapchat編)
若年層に人気のSnapchatだが、大人にはあまり浸透していない。一方で、AR(拡張現実)開...
「猛暑」「米騒動」「インバウンド」の影響は? 2024年に最も売り上げが伸びたものランキング
小売店の推定販売金額の伸びから、日用消費財の中で何が売れたのかを振り返るランキング...
Netflixコラボが止まらない 「イカゲーム」シーズン2公開で人気爆上がり必至のアプリとは?
Duolingoは言語学習アプリとNetflixの大人気ドラマを結び付けたキャンペーンを展開。屋外...