NFTの作成と販売のためのクラウドサービス「NFT Cloud」の試験提供を進めるSalesforce。こうした同社のNFT関連事業は、従業員の批判を集めている。NFTが抱える問題点とは。
CRM(顧客関係管理)ベンダーのSalesforceは、NFT(非代替性トークン)のクラウドサービス「NFT Cloud」の提供を試みている。NFT Cloudは2022年2月の計画公表時に、従業員から抗議を受けたサービスだ。
NFTはブロックチェーンに存在するトークン(データの単位)であり、唯一無二のアイテムの所有権を表す。有形アイテムや無形アイテムを表すデジタル資産となる。有形アイテムの例には、物理的な商品やアートワークなどがある。無形アイテムの例は、楽曲の権利やデジタルメディア、コミュニティーのメンバー権などだ。
「NFT Cloudは、ユーザー企業がNFTの作成と管理、販売をするためのサービスになる」と、Salesforceの新興技術担当シニアバイスプレジデントを務めるアダム・キャプラン氏は述べる。NFT Cloudは2022年6月時点で、ユーザーを限定して試験提供している。同社は2022年10月にNFT Cloudの一般提供を開始する計画だ。
NFTはさまざまな理由から議論を呼んでいる。具体的には、
などの問題が挙げられると、NFT技術コンサルタントのジョン・ヒューズ氏は説明する。ヒューズ氏は、NFTマーケットプレースを開発するNearMint.nftのCEOを務める。
ヒューズ氏が挙げた3つの問題は全て、Salesforceの400人の従業員が署名した抗議文でも取り上げられていた。この抗議文は、同社がNFT関連事業に参入する計画を公表した際に作成された。米TechTargetはSalesforceに、これらの問題に対する従業員の懸念についてコメントを求めたが、回答はなかった。
Salesforceによると、NFT Cloudは大規模な計算処理を伴う「コンセンサスアルゴリズム」の選択を工夫し、運用に伴うエネルギー消費を抑えている。コンセンサスアルゴリズムは、ブロックチェーンにおける合意形成の正当性を確認するアルゴリズムだ。こうした姿勢は、サステナビリティ(持続可能性)を支援するという、同社の従来の主張と一致する。
一般提供開始後にNFT Cloudで利用できるブロックチェーン技術を、Salesforceの広報担当者は明言していない。ただし同社は、独自のブロックチェーン技術を構築するつもりはないと述べている。
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