Web会議デバイスにおけるWeb会議ツールの相互運用性を改善する意向は、Microsoft、Zoom、Ciscoの主要ベンダー3社が共通して持っている。それでも専門家は、相互運用性の実現について懐疑的だ。その理由は。
Microsoft、Cisco Systems、Zoom Video Communicationsは、Web会議デバイスにおけるWeb会議ツールの相互運用性について改善の意向を示している。専門家は「1台のWeb会議デバイスだけで各社のWeb会議ツールを使えるようになる、簡単な方法が必要だ」と強調する。ただし専門家は、ベンダーがこの問題を解決するのは困難だと考えている。
本稿は、2022年3月に開催したコミュニケーションツール関連イベント「Enterprise Connect」のパネルディスカッションの内容を基に、専門家の見解を紹介する。代替となる解決策はあるのか。問題の解決がなかなか進まない理由とは。
MicrosoftのTeamsデバイス部門でバイスプレジデントを務めるイリヤ・バクシュタイン氏は、「Web会議ツールは『WebRTC』(Web Real-Time Communication)のようなオープンソース技術を採用すべきだ」と語る。そうすれば会議室に置いておくWeb会議デバイスがWeb会議ツールに接続する際、デバイスにインストールするアプリケーションではなく、Webアプリケーションを使って「Microsoft Teams」「Zoom」「Cisco Webex」といった複数のWeb会議ツールに接続できる。だがパネルディスカッションでは、他のパネリストから「Webアプリケーションだと応答速度などの性能が落ち、各社のツールを切り替えるメリットが相殺される」との懸念が挙がった。
「Web会議ツールベンダーは、相互運用性の問題を解決しない恐れがある」と、PC周辺機器ベンダーLogitech Internationalでビデオコラボレーショングループ部門のバイスプレジデントを務めるスコット・ウォートン氏は述べる。例えばインスタントメッセージ(IM)は、数十年前から存在する技術にもかかわらず、汎用(はんよう)性のあるクライアントソフトウェアはない。「2008年に動画の相互運用性を解決するための会社を実際に立ち上げた私が、このパネルディスカッションに参加している事実が、その取り組みが成功しなかったことを示している」とウォートン氏は自嘲気味に語る。
Web会議ツールベンダーが特に重視してきたのは会議室機能であって、相互運用性ではない。Microsoft、Zoom Video Communications、Cisco Systemsがこれまで力を注いできたのは、テレワーカーとオフィスワーカーが同様の体験を得られるようにすることだった。オフィスの会議室からWeb会議に参加するメンバーのボディーランゲージを読み取りやすくなる機能や、オフィス勤務の従業員がチャットをはじめとするデジタル要素にアクセスしやすくする機能の追加、強化などだ。
オフィスワークとテレワークを組み合わせる「ハイブリッドワーク」に対する社会的なニーズの高まりに、企業が応じようと努めるにつれて、相互運用性の重要性は増していく。ハイブリッドワークの生産性を高めやすくするために、ベンダーにはWeb会議デバイスの問題点を改善する責務がある。テレワーク時には当然できていたように、オフィスの会議室で使うWeb会議デバイスでも複数のWeb会議ツールを簡単に切り替えられる状態が望ましい。
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