ソニーが、新興のサイバー犯罪集団Ransomed.vcによる攻撃を受けた可能性がある。Ransomed.vcの説明は事実なのか。そもそもRansomed.vcとはどのような集団なのかも含め、情報を整理しよう。
ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃を実施する新興のサイバー犯罪集団「Ransomed.vc」は、ダークWeb(通常の手段ではアクセスできないWebサイト群)で情報を公開し、ソニーのシステムに侵入したと主張している。本稿執筆時点でソニーは攻撃を受けたかどうかについてコメントしていない。Ransomed.vcの主張は本当なのか。そうだとすれば、ソニーを攻撃した目的は何なのか。
ダークWebで、Ransomed.vcはソニーの全システムに侵入し、データを盗んだと説明。ソニーに身代金は要求せず、データを販売すると述べる。Ransomed.vcが公開した脅迫文には、盗んだと主張するファイルのツリー構造図が含まれている。ファイル数は6000個弱だ。今回の攻撃で、ソニーのシステムは暗号化されていないとみられる。
Ransomed.vcは攻撃活動を開始してまだ日が浅く、攻撃の手法や狙いについてほとんど知られていない。セキュリティ専門家によれば、Ransomed.vcは自組織を「レッドチーム」だと出張している。レッドチームとはセキュリティの弱点を検証したり指摘したりする組織だ。ダークWebで、Ransomed.vcは「企業に存在するセキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性を示し、安全策の強化に取り組むための情報を提供する」と説明している。ペネトレーション(侵入)テストを実施し、その対価として対象企業に報酬を請求するという。
今回のRansomed.vcによるソニーへの攻撃について、セキュリティベンダーMalwarebytesのマーク・ストックリー氏は「攻撃者側が主張しているだけで、うのみにするのは危険だ」と述べる。「Ransomed.vcは他のサイバー犯罪集団と同様、自身を『ペネトレーションテスター』と呼ぶが、単なる金銭目的だという可能性がある」(同氏)
セキュリティベンダーBarrier Networks最高技術責任者(CTO)のライアン・マコネチー氏によると、Ransomed.vcは新興の攻撃集団でありながら活動が盛んで、金融機関やIT企業を狙った攻撃に関与している。同氏はRansomed.vcによるソニーへの攻撃に関して「事実である可能性が高い」とみる。サイバー犯罪集団にとっては、攻撃の偽情報は自組織の評価を落とすことになり、得られる利益の減少につながりかねないからだという。
「攻撃が事実であれば、ソニーのセキュリティ対策が不十分だったことになる。その場合、ソニーは今後の攻撃を防ぐために防御を強化しなければならない」。マコネチー氏はそう指摘する。
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