EDRとアンチマルウェアは、どちらも企業のエンドポイントを保護する上で役立つセキュリティツールだ。両者に期待できる利点の違いを解説する。
企業が必要とするセキュリティツールの一種である「EDR」(Endpoint Detection and Response)と「アンチマルウェア」(アンチウイルスとも)は、エンドポイントを脅威から保護するという点で共通している。ただし両者には幾つもの違いがある。それぞれのセキュリティツールを活用することで何が可能になるのか。EDRとアンチマルウェアの長所や、期待できる利点を比較する。
EDRはエンドポイントでの検出と対処を担うツールだ。EDRには以下の利点が期待できる。
全てのエンドポイントで、何が起きているのかをリアルタイムで把握できるようにする。
「CCPA」(カリフォルニア州消費者プライバシー法)、「HIPAA」(米国医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)、欧州連合(EU)の「GDPR」(一般データ保護規則)など、データプライバシー関連法令の順守にEDRは役立つ。EDRは企業の全エンドポイントデバイスを監視するので、誰がどのデータにアクセスしているのか、データ漏えいが起きていないかどうかといったことをセキュリティ部門が確認できるようになる。データ侵害が発生した場合にも、被害の食い止めに活用できる。
データの収集に加えて、リスクを軽減するための以下の対処も可能だ。
EDRは、収集した情報やデータを「SIEM」(Security Information and Event Management)のような中央管理のセキュリティシステムに送信する。こうした仕組みは、セキュリティ部門が迅速に脅威を把握するとともに、脅威検出に要する平均時間(MTTD)と対処に要する平均時間(MTTR)を短縮する助けになる。各エンドポイントデバイスを個別にスキャンするよりも、素早く効率的なセキュリティ対策を実現するのに有用だ。
アンチマルウェアはマルウェアへの感染を防止するためのツールだ。アンチマルウェアには以下の利点が期待できる。
1台のエンドポイントに対して、全てのファイルとフォルダを対象とした包括的なスキャンを実行し、マルウェアを検出する。セキュリティ部門は都合の良いスケジュールを設定し、手動もしくは自動でスキャンを実行する。
エンドポイント丸ごとだけではなく、メールの添付ファイルなど、1つのファイルだけを対象としたスキャンも可能だ。
マクロ(アプリケーション自動操作機能)を悪用したMicrosoftの表計算ソフトウェア「Microsoft Excel」のファイルなど不審なものを検出した場合、それを駆除もしくは無効化できる。
スキャンが完了すると、エンドポイントの安全度を総合的に評価してスコアを出す。このスコアを活用して、セキュリティ部門は自社のエンドポイントのセキュリティを改善できる。
次回は、EDRとアンチマルウェアの違いと、どちらを選ぶべきかを検討する際のポイントを解説する。
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