CASB、CSPM、CWPPとは? 混乱しやすい「セキュリティ3種」の違いクラウドセキュリティツールを比較【前編】

「CASB」「CSPM」「CWPP」といったクラウドセキュリティツールには個々にどのような役割があるのか。3つのセキュリティツールは何が違うのか。そのポイントを紹介する。

2024年08月01日 05時00分 公開
[Amy Larsen DeCarloTechTarget]

 システムをクラウドサービスに移行する際に忘れていけないのは、クラウドサービスに適したセキュリティの構築だ。IBMのセキュリティ部門IBM Securityからの委託で調査会社Ponemon Instituteが実施した調査によると、2023年にPonemon Instituteが調査したセキュリティ事故のうち、82%はクラウドに関係したものだった。このクラウドには、プライベートクラウドとパブリッククラウドが含まれる。

 利用が広がるクラウドセキュリティツールとしては、以下の3つがある。

  • 「CASB」(Cloud Access Security Broker)
  • 「CSPM」(Cloud Security Posture Management)
  • 「CWPP」(Cloud Workload Protection Platform)

 これらのセキュリティツールで何ができ、それぞれの役割はどう違うのか。CASB、CSPM、CWPPの特徴と違いを解説する。

「CASB」「CSPM」「CWPP」の違いはこれだ

会員登録(無料)が必要です

CASB(Cloud Access Security Broker)

 CASBはブローカー(仲立人)のようにクラウドサービスとユーザーの間に入り、各種の役割を担う。クラウドサービスの利用状況を可視化したり、エンドユーザーがクラウドサービスにアクセスする際にセキュリティポリシーを強制的に適用したりする仕組みだ。CASBを利用することで、クラウドサービスへのアクセスを監視し、不正アクセスやデータ流出の有無を把握できる。IT部門が承認していない「シャドーIT」の管理にも有効だと考えられる。

CSPM(Cloud Security Posture Management)

 CSPMはクラウドサービスの「セキュリティ態勢の管理」に重点を置く。セキュリティ態勢とは、クラウドサービスの設定が正しいかどうか、誤設定によるセキュリティリスクが生じていないかどうかなど、セキュリティの仕組みや機能の状況に関する概念だ。CSPMはクラウドサービスの設定を監視し、脆弱(ぜいじゃく)性やコンプライアンス上の問題を特定すると同時に、修正方法を提案する。特に複数のクラウドサービスを組み合わせた「マルチクラウド」の保護策としてCSPMは有効だ。

CWPP(Cloud Workload Protection Platform)

 CWPPはクラウドサービスにおけるワークロード(アプリケーション)の脅威を管理するためのものだ。クラウドサービスの構成管理における不備の他、DDoS(分散型サービス拒否)攻撃、情報流出、マルウェア感染といったリスクを特定し、対策を講じる。CWPPは、仮想マシンや物理サーバ、コンテナ、サーバレスサービスコンピューティングサービスなどのセキュリティの管理や監査をする機能も備える。


 後編は、CASB、CSPM、CWPPの主な違いを取り上げる。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社野村総合研究所

脆弱性対策をつまずかせる「3つの要因」とは?

サイバー攻撃が増加している。しかし、システムの多様化が進む中、「脆弱性情報の収集」「対象システムの把握」「対応プロセスの管理」がスムーズに行われず、適切な脆弱性対策ができていないケースがある。これらを解決する方法は?

製品資料 NTTデータルウィーブ株式会社

連携が難しく管理が複雑化しやすい? SASE導入でよくある課題を一掃する方法

ネットワークとセキュリティの機能を一体化したフレームワーク「SASE」が注目されている。一方で、SASEはさまざまな機能で構成されるため、高評価のツールを組み合わせることが多いが、これが後悔の種になることもあるという。

市場調査・トレンド NTTデータルウィーブ株式会社

ネットワーク・セキュリティ担当者1000人への調査で見えた、SASE導入の現在地

近年、SASE(Secure Access Service Edge)への注目度が高まっているが、その導入は決して容易ではない。そこで、ネットワークおよびセキュリティ、そしてSASEの導入・運用にまつわる課題を明らかにするため調査を実施した。

技術文書・技術解説 アイティメディア広告企画

セキュリティの新トレンド、「認証」技術のアップデートを実現するポイントとは

クラウド時代に重要性を高めている「認証」技術。サイバー攻撃を未然に防ぐためには、この技術のアップデートが急務となっている。具体的にどのようなツールがあるのか、導入効果や利用シーンとともに見ていく。

製品資料 アイティメディア広告企画

ゼロトラストを実現する「SASE」、製品選定の4つのポイントとは

クラウド技術が急速に普及した今、従来の境界型セキュリティに代わるアプローチとして「ゼロトラスト」と「SASE」が注目度を高めている。両者の概要やメリットを解説するとともに、SASE製品の選定ポイントや主要製品を紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news253.jpg

「AIエージェント」はデジタルマーケティングをどう高度化するのか
電通デジタルはAIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI」の大型アップ...

news163.jpg

「政府」「メディア」への信頼度は日本が最低 どうしてこうなった?
「信頼」に関する年次消費者意識調査の結果から、日本においても社会的な不満・憤りが大...

news062.jpg

「Threads」が広告表示テスト開始 企業アカウント運用のポイントとは?
Metaのテキスト共有アプリ「Threads」で広告表示のテストが開始され、新たな顧客接点とし...