「CASB」「CSPM」「CWPP」といったクラウドセキュリティツールには個々にどのような役割があるのか。3つのセキュリティツールは何が違うのか。そのポイントを紹介する。
システムをクラウドサービスに移行する際に忘れていけないのは、クラウドサービスに適したセキュリティの構築だ。IBMのセキュリティ部門IBM Securityからの委託で調査会社Ponemon Instituteが実施した調査によると、2023年にPonemon Instituteが調査したセキュリティ事故のうち、82%はクラウドに関係したものだった。このクラウドには、プライベートクラウドとパブリッククラウドが含まれる。
利用が広がるクラウドセキュリティツールとしては、以下の3つがある。
これらのセキュリティツールで何ができ、それぞれの役割はどう違うのか。CASB、CSPM、CWPPの特徴と違いを解説する。
CASBはブローカー(仲立人)のようにクラウドサービスとユーザーの間に入り、各種の役割を担う。クラウドサービスの利用状況を可視化したり、エンドユーザーがクラウドサービスにアクセスする際にセキュリティポリシーを強制的に適用したりする仕組みだ。CASBを利用することで、クラウドサービスへのアクセスを監視し、不正アクセスやデータ流出の有無を把握できる。IT部門が承認していない「シャドーIT」の管理にも有効だと考えられる。
CSPMはクラウドサービスの「セキュリティ態勢の管理」に重点を置く。セキュリティ態勢とは、クラウドサービスの設定が正しいかどうか、誤設定によるセキュリティリスクが生じていないかどうかなど、セキュリティの仕組みや機能の状況に関する概念だ。CSPMはクラウドサービスの設定を監視し、脆弱(ぜいじゃく)性やコンプライアンス上の問題を特定すると同時に、修正方法を提案する。特に複数のクラウドサービスを組み合わせた「マルチクラウド」の保護策としてCSPMは有効だ。
CWPPはクラウドサービスにおけるワークロード(アプリケーション)の脅威を管理するためのものだ。クラウドサービスの構成管理における不備の他、DDoS(分散型サービス拒否)攻撃、情報流出、マルウェア感染といったリスクを特定し、対策を講じる。CWPPは、仮想マシンや物理サーバ、コンテナ、サーバレスサービスコンピューティングサービスなどのセキュリティの管理や監査をする機能も備える。
後編は、CASB、CSPM、CWPPの主な違いを取り上げる。
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