ランサムウェア攻撃はかつてないほどの勢いを見せている。その背景にあるのは、攻撃集団「FunkSec」による活発な活動だ。要注意のFunkSecとはどのような攻撃集団なのか。
2024年12月はランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃件数が過去最多となったことが、セキュリティベンダーNCC Groupの調査で判明した。2024年12月に同社が確認したランサムウェア攻撃の数は574件だった。そのうちの18%が、サイバー犯罪集団「FunkSec」によるものだったという。2025年も注意しなければならないFunkSecとは何者なのか。
NCC Groupによると、2024年12月のランサムウェア攻撃件数は同社が2021年に調査を開始して以来、最多となった。2023年12月(前年同期)の387件を大きく上回っている。2024年11月は565件だったという。同社によると、2024年12月にランサムウェア攻撃者から最も狙われた業種は製造業だった。被害組織を地域別にみると、北米や欧州、アジアが多かったという。
「12月は通常、ランサムウェア攻撃が沈静化する時期だが、2024年12月はこのパターンが覆された」と、NCC Groupアソシエイトディレクターのイアン・アッシャー氏は述べる。同氏は、手口が巧妙化しているランサムウェア攻撃に対抗するために、訓練を含めたセキュリティ対策の強化が欠かせないと強調する。
NCC Groupによると、ランサムウェア攻撃が盛んな背景には、攻撃者によるAI(人工知能)技術利用の広がりがある。この動きは2024年12月に限ったものではなく、OpenAIのAIサービス「ChatGPT」が登場した2023年頃から確認されているという。AI技術を使うことによって、ランサムウェア攻撃の標的選びの精度を高めたり、フィッシング攻撃を疑われにくくして認証情報を入手したりできる。
特にAI技術を積極的に利用しているサイバー犯罪集団の一つがFunkSecだ。セキュリティベンダーCheck Point Software Technologiesによれば、FunkSecは攻撃活動の計画や管理、実行にAI技術を使っている。NCC Groupによると、FunkSecによる2024年12月のランサムウェア攻撃件数は103件だった。他のランサムウェア集団「Clop」や「Akira」を大幅に上回ったという。
FunkSecがよく使う手口は二重脅迫だ。二重脅迫とは、システムの暗号化に加え、データを盗難して暴露すると脅す手口を指す。FunkSecによる被害が報告されている地域は米国やフランス、インド、タイなど。狙われた分野も政府機関や医療機関、製造業、メディア企業、ITベンダーと幅広い。Check Point Software Technologiesによると、FunkSecはアルジェリアとつながりを持っている可能性がある。金銭目的の他に、ハクティビズム(政治的な目的のハッキング)を目的とした攻撃も実施しているという。NCC GroupはFunkSecについて、「2025年も注視すべきだ」と述べる。
後編は、FunkSec以外のランサムウェア集団の活動をみる。
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