Googleが検索広告よりも「クラウドとAIの好調ぶり」を語りたがる理由AI需要でGoogle Cloudが成長

Googleの親会社Alphabetは決算報告で、クラウド事業やAI関連サービスの需要が好調だった点を強調した。これには、検索広告を主力事業として抱える同社のある意図が反映されているとアナリストは指摘する。

2025年02月28日 08時00分 公開
[Caroline DonnellyTechTarget]

関連キーワード

Google | 人工知能 | クラウドサービス


 Googleのクラウド部門「Google Cloud」の2024年第4四半期(2024年10~12月)の売上高は、前年同期比で約30%増となり120億ドルに達した。Googleの親会社AlphabetのCEOスンダー・ピチャイ氏は今回の決算発表で、クラウド事業が順調に成長している点を強調した。検索広告事業を主力とする同社が、クラウド事業への注力を強調する背景には、ある意図があるとアナリストは指摘する。

Googleが「クラウドとAIの好調ぶり」を語る事情

 Alphabetによると、Google Cloudの売上高の成長は、中核となるクラウドサービスと、AI(人工知能)技術向けのインフラおよび「生成AI」(テキストや画像などを自動生成するAI技術)関連サービスの需要拡大が主導した。

 以前Alphabetは、2024年末までにGoogle Cloudと動画共有サービス「YouTube」を合わせた年間売上高が1000億ドルを超えると予測していたが、実際にはその期待を上回る結果となった。「Google CloudのAI関連サービスは需要が急増している。YouTubeはストリーミング視聴時間とポッドキャスト分野でリーダーの地位を維持している」(ピチャイ氏)

 ピチャイ氏はGoogle CloudとYouTubeの両事業は2024年末時点で年間売上1100億ドル規模に達したと説明し、「当社は今後の成長機会に自信を持っており、その進展を加速するために、2025年には約750億ドルの設備投資を計画している」と述べた。

 Alphabetは2024年に、米国を含む世界各地11カ所で新たにデータセンターを開設した他、ハードウェアの性能向上を進めた。「Googleのデータセンターは、5年前と比較して電力単位当たり約4倍の計算能力を提供している。この効率性、スケーラビリティ(拡張性)、コストと性能のバランスの良さが、Google Cloudが選ばれている理由だ」(ピチャイ氏)

 AIモデルの学習と推論に使用する計算能力は18カ月前の8倍以上に増えているとピチャイ氏は説明し、「これからも需要拡大に対応するため、クラウド事業への投資を続ける」と語る。

 Google Cloudの新規顧客による契約数が、2024年には2023年の2倍以上に増加したこともピチャイ氏は明らかにした。「既存の顧客企業との関係も深めており、2024年は10億ドル以上の大型契約を幾つも締結し、2億5000万ドル以上の契約件数は前年比で2倍に増えた」

検索広告事業への依存は

 調査会社Forrester Researchでプリンシパルアナリストを務めるリー・サスター氏は、ピチャイ氏が決算発表でGoogle CloudとYouTubeの業績を強調した点に注目。Alphabetが検索広告事業への依存を低減させようとしている可能性を指摘する。

 「もしGoogle Cloudが単独の企業であれば、企業IT市場における立場がより堅固になり、AI関連事業が主導する形で成長した今回の結果に投資家は満足するだろう」とサスター氏は述べる。だが実際には、Google CloudはAlphabet全体のビジネスと相互に影響を及ぼし合う複雑な構造の一部だ。大規模なAI投資を要する検索広告やYouTube事業とも密接に結び付いている。

 ピチャイ氏は今回の決算発表で、Google CloudとYouTubeを一つの成功例として示し、年間売上高1100億ドルの達成を強調した。これについてサスター氏は「Alphabetが以前ほど検索広告に依存していないことを投資家に伝えようとしているのではないか」と推察。「企業のIT担当者は、長期的な投資先としてAI関連のクラウドサービスを見極める上で、Google Cloudや競合ベンダーの計画を慎重に評価する必要がある」と指摘する。

(翻訳・編集協力:編集プロダクション雨輝)

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国Informa TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

鬮ォ�エ�ス�ス�ス�ス�ス�ー鬯ィ�セ�ス�ケ�ス縺、ツ€鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス

事例 株式会社BeeX

AWS開発未経験でも成功、ロッテが実現したデータ連携基盤構築と内製化強化事例

ロッテはシステムのAWS移行を進める中、DX推進の鍵は内製化比率の向上にあると考え、内製化の強化に踏み切った。本資料では、内製化の実現に向け、支援を受けながら、初めて取り組んだAWS開発と人材育成を成功させた事例を紹介する。

製品資料 株式会社ラクーンフィナンシャル

与信審査から督促まで代行、請求書払いの問題を解消する決済代行サービスの実力

B2B取引の決済手段として多くの企業が採用している請求書払い(後払い)だが、入金遅延や未払いが発生するリスクもある。そこで、これらのリスクと業務負担を解消する決済代行サービスが登場した。本資料で詳しく紹介する。

事例 株式会社ラクーンフィナンシャル

クレカ払いだけでは顧客を取りこぼす? Chatworkなどに学ぶ決済手段改善の方法

SaaSの決済手段ではクレジットカード払いを設定するのが一般的だが、B2B取引においてはそれだけだと新規顧客を取りこぼすこともある。Chatworkやココナラなどの事例を交え、決済手段を多様化する重要性と、その実践方法を解説する。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

複雑化するIT管理をどう効率化する? 分散環境で堅固なリモート管理を行う方法

ハイブリッドクラウドやエッジコンピューティングの普及に伴い、企業が管理すべきIT資源が急増している。こうした中で注目を集めるのが、あるクラウドサービスだ。分散環境における課題とその解決策について、導入事例とともに解説する。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

運用負荷やコストが増大、複数世代にわたるIT環境のモダン化をどう進める?

AI活用やデータドリブン経営が加速する一方で、レガシーインフラが問題になるケースが増えている。特に複数の世代にわたってIT資産が混在しているインフラ環境では、運用負荷やコストが増大してしまう。この問題をどう解消すればよいのか。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

Googleが検索広告よりも「クラウドとAIの好調ぶり」を語りたがる理由:AI需要でGoogle Cloudが成長 - TechTargetジャパン クラウド 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

TechTarget郢ァ�ク郢晢ス」郢昜サ」ホヲ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ゥ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ュ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ー

2025/05/30 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...