顧客など外部の人間に対して企業ブログにコメントの書き込みや質問を許可したら――そして、そうした人々が著作権付きのテキスト、画像、映像などのコンテンツを投稿したら――会社は著作権侵害の責任を負うことになる。さらに悪いことに、会社は第三者の著作権を侵害したとして、損害賠償を求められることになる。それを避けるには、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の「セーフハーバー(避難港)」条項の適用手続きをする必要がある(訳注:日本では同等ではないが、「プロバイダー責任制限法」がこれに当たる)。
DMCAの保護を受けるには、米国議会図書館の代理人を指名し、必要な書類を用意してDMCAの規約に従えばいい。
DMCAの登録手続き(非常に簡単な予防策だ)が終わるまでは、顧客などの外部の人間からのコメントを受け付けてはならない。
読者からのコメントを掲載前にチェックし、編集し、必要とあれば削除するために、弁護士またはそれに相当する担当者を配属するべきだ。不適切なコメントはたった1つでも、裁判や規制当局による捜査、炎上を引き起こすのに十分なのだ。
企業ブログ特有のリスクを考慮して、経営者はブログの記事やコメントを掲載前にチェックし、中傷や不正確な内容、著作権を侵害する内容、機密情報を含むものなど、不適切・不愉快なコンテンツ、法や秩序を乱すようなコンテンツの掲載を回避しなければならない。
そうしたチェックで問題のあるコメントは却下すること。そのチェックを通過したコメントは、注意深く編集する。単純な間違えは勝手に修正して構わないし、読みやすくするためにブログを書いた社員に内容の修正を提案してもいい。社員ブロガー全員に文章トレーニングを受けさせるのも一考だ。

自分の会社についてどんなことが書かれているか追跡し、コメントスパムやスプログの回避のために、ブログ監視ツールを使おう。AMAとイーポリシー・インスティテュートの調査によると、企業の12%は定期的にブログ界を監視し、自社について書かれていることを追跡している。いい考えだ。あるブログ調査によると、マクドナルドについての顧客や従業員、フランチャイズ加盟者による書き込みは、90日間で67万5000件あったという。
ブログ界を監視するために、複数のブログ検索エンジンを採用するといい。Technorati、Google News Alerts、Daypop、Feedster、IceRocket、BlogPulseといった検索エンジンは、1500万〜2000万のブログをチェックしている。
ブログの監視は、会社の社員や製品について社員、競合、一般ブロガーなどが何を言っているか確認する最上の方法だ。また、これは企業ブログのコンテンツがスプロガー(スパムブログの発信者)に盗用されていないかどうか判断する効果的な手段でもある。
ブログスパムと戦おう。急増するスプログ攻撃やコメントスパムという難題を技術で解決しようという取り組みが行われているが、企業ブロガー(個人ブロガーも)も、スパムと戦うためにできるだけのことをすべきだ。
ブログスパムには、スプログとコメントスパムという2つのタイプがある。スプログというのはいんちきなブログだ。典型的な内容は、まともなブログから盗用したテキストと、広告主のサイトへのリンクと意味不明なテキストの混成物になっている。ブログ検索エンジンのTechnoratiによると、新しいブログのおよそ6%は、実際にはスプログだという。
コメントスパムは、まともなブログへのコメントの形で現れるが、実際はブログの内容に無関係な偽読者からのものだ。コメントスパムの送信者の目的は、読者に宣伝を見てもらったり、読者をだまして広告主のサイトに誘導することだけだ。
ブログの内容は永遠に残る。リンクやパーマリンク(記事への直接リンク)、トラックバックやRSSのせいで、事実として不正確だったり間違っている記事が1つのブログから何百万ものブログへと広がり続けることになる可能性がある。それは保管され、永遠に新しい読者に読まれることになる。
とはいえ、前向きに。コンテンツ絡みの災難に遭う前に明文化されたポリシーを策定し、社員を教育することで会社を守ろう。社員ブロガーをルールで指導しないと、彼らはブログ界ののびのびした自由な文化に染まってしまうだろう。
ブログは企業やブランド、個人を攻撃する驚異的な武器になる。
ある法律の専門家によると、組織だったブログ攻撃の60%は、ブロガーに対価を支払って競争相手を非難させる恥知らずな企業幹部が裏にいる。こうした攻撃はスポンサー企業の痕跡をまったく残さない。悪いことに、攻撃が論議を呼ぶものだったりひどいものであるほど、そのブログへのリンクは多くなる。
「電子リスク管理の3E」を取り入れた戦略的なブログ管理プログラムを確立することで、社員のコンプライアンスを最大にし、ブログに関連するリスクを最小限にとどめよう。
包括的なブログのルールとポリシーを書面で定めること。社員による企業ブログの使い方だけでなく、個人ブログの使い方についても規定するべきだ。社員には、オフィスだろうと家だろうと、ブログに関してはこの企業のルールが適用されるということを徹底しよう。
社員にブログのリスク、ルール、規制について教育すること。教育しなければ、社員がブログのリスクを理解し、ルールを受け入れることは期待できない。企業の正式なブログトレーニングプログラムの一端として、米憲法修正第1条で保障されている権利とプライバシーが求められていることと、企業のブログに関連するリスクと責任について徹底させよう。
社内ブロガーの多くは、米憲法修正第1条によって自分のブログに好きなことを書く権利が保護されていると誤解している。それは間違えだ。米憲法修正第1条が制限しているのは政府による言論統制であって、職を保証しているわけではない。雇用期間を決めていない契約形態の場合、雇用主はいかなる理由ででも従業員を解雇することができる。もちろん、プライベートな時間に書いたブログであろうと勤務時間中に書いたブログであろうと、解雇理由になり得る。
ブログ検索エンジンを活用してブログ界を監視し、自分の会社について何が書かれているかを把握すること。また、社員による社外ブログへのアクセスを遮断することを検討しよう。それによって生産的な時間の無駄遣いや機密情報の偶然(または故意)による漏えいの機会を減らすことができる。ブログルール(を含むあらゆる会社の規則)を破ることは解雇を含む懲戒処分に値することを社員に示すことにより、企業ブログポリシーを強化しよう。
本稿はナンシー・フリン氏の著書「Blog Rules: A Business Guide to Managing Policy, Public Relations, and Legal Issues」(Amacom、2006年)からの抜粋であり、著作権はナンシー・フリン氏に帰属する。