メインフレーム分野の技術として生まれた仮想化が異なる分野で新たな進化を遂げているように、OSもハイパーバイザーと仮想アプライアンスソフトウェアという形で生まれ変わりつつあり、この流れは今後も進んでいくだろう。こうしたOSの変化はユーザーにメリットをもたらすだろうが、その過渡期においては変化のプロセスが難航する可能性がある(ひょっとするとWindowsの方がLinuxよりも難航するかもしれない)。そこで注目されるのが、Microsoftがどのような手を打つかだ。
この重要な変化がITの世界にもたらす課題を2回にわたって取り上げる。
次世代のOSがその可能性をサーバ仮想化環境でフルに発揮するには、その前提として幾つかの重要な課題や問題がクリアされていなければならない。それらの中には、仮想アプライアンスのパッケージングと堅固性の問題、Microsoftのビジネス防衛策、業界標準策定などが含まれる。
仮想アプライアンスの利用を促進するには、サーバ仮想化ベンダーとOSベンダーが協力し、仮想マシン上で動作させる特定のアプリケーションに合わせて既存OSをスリム化してカスタマイズするプロセスを構築しなければならない。アプリケーションを効果的にサポートするのに必要なOSコンポーネントだけを仮想アプライアンスに含めれば、ベンダーはそのサイズとセキュリティリスクを軽減しながら効率性とアプリケーションパフォーマンスを高めることができる。
こうした「JeOS」(Just Enough Operating System:必要最小限のOS)という考え方は従来のソフトウェアアプライアンスの開発で利用されてきたが、仮想アプライアンスにも同様に当てはまる。
だが、仮想アプライアンスの作成にJeOSの考え方をどのように生かすかという点では、大きな問題が残っている。例えば、スリム化されて特定アプリケーションに特化した仮想アプライアンスOSを誰が定義し、開発し、パッケージングするか。そうしたOSのサポートと保守に誰が責任を持つかといった問題だ。
Linuxやそのほかの非プロプライエタリOSの場合、サーバ仮想化ベンダーとOSベンダーは、アプリケーションプロバイダーと協力してこれらの問題に答えを出さなければならない。少なくとも2社の商用OSベンダー(OSV)が、JeOSの独自の実装を既に開発、サポートしている。Ubuntuが「Ubuntu JeOS」(発音は「Juice:ジュース」)を、Red Hatが「Red Hat Appliance OS(AOS)」を提供中だ。アプリケーションプロバイダーはこうしたOSVがJeOSを提供することを期待できるほか、自ら責任を持ってJeOSを開発、サポート、保守することもできる。
そうした作業が容易に行えるように、仮想アプライアンス用のJeOS型OSを開発し、パッケージングするための自動化されたツールやプロセスが多数利用できるようになれば理想的だ。既にrPathやNovellなど数社が提供する製品により、ISVは自社アプリケーションをスリム化されたLinuxディストリビューションと組み合わせて仮想アプライアンスで動作させ、ブラウザインタフェースでその構成と保守を行えるようになっている。また、LinuxベースではないJeOSの実装も少なくとも1つある。BEA Systemsの「BEA Liquid VM」だ。これは仮想化に最適化されたJava仮想マシンであり、Javaアプリケーションが仮想化レイヤー(現在のところ、「VMware ESX Server 3」と「同ESX Server 3i」のハイパーバイザー)上で直接動作するように設計されている。
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